映画「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリンで描くメキシコ国境麻薬戦争の情け容赦ない人間模様と無常感の傑作。デニトロ祭!
パート2を待ったことがない最近のアメリカ映画で
本当に待ってました。
いつものド田舎シネコンのいつもの席(後方、右斜め)から
コーヒーとポテトでわずか数人の客と公開初日を向かい合う喜びと言ったらない。
とにかく前作「ボーダーライン」(2015)がまず素晴らしかった。
殺ったら殺り返す感。
この映画で監督ドゥニ・ビルヌーブを知りセンスに脱帽
(次の映画「メッセージ」も100点)
今回は監督を変えて、エミリー・ブラントから少女に変えて?
前作で音楽を担当したヨハン・ヨハンソン死後(2018年2月)どう変わったか?
トランプ登場後のメキシコ国境がどう扱われるのか?
興味は尽きない。
あやすじ)
アメリカ国内の商業施設で市民15人の命が奪われる自爆テロ事件が発生。 犯人一味がメキシコ経由で不法入国したと睨んだ政府は、 国境地帯で密入国ビジネスを仕切る麻薬カルテルを混乱に陥れる任務を、 CIA工作員のマット・グレイヴァー(ジョシュ・ブローリン)に命じる。 それを受けてマットは、 カルテルへの復讐に燃える旧知の暗殺者アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)に協力を要請。 麻薬王の娘イサベル(イザベラ・モナー)を誘拐し、 カルテル同士の戦争を誘発しようと企てる。 しかしその極秘作戦は、 敵の奇襲やアメリカ政府の無慈悲な方針変更によって想定外の事態を招いてしまう。 メキシコの地で孤立を余儀なくされたアレハンドロは、 兵士としての任務と復讐心、そして人質として保護する少女の命の狭間で、 過酷なジレンマに直面していく・・・
まず主演の存在感が群を抜いてる。
違法行為を躊躇わないジョシュ・ブローリンと、マフィアとしか思えないベニチオ・デル・トロ。
そして物語の構成の妙。マフィア同志を争いさせて壊滅させる黒澤明の「用心棒」スタイル。(と見せかけて意外な展開がある)
スマホのような感覚で武器を扱うアクション(特に音響)のリアルさ。
テキサス砂漠の叙情感とメキシコの猥雑感のマッチング。
特に、前作になかった作戦オペレーションルームを中心とした航空動画の浮遊感。
などなど、血を大量に見るのと同様に、そこに至る双方の情報を存分に見せられる。
麻薬戦争の現場は情報戦なのだとわかる。
全編を支配する感情は日本人からすると最も遠い無常感・・・
情けの「な」の字もありゃしない。
一部の国(カナダとか)と地域(オレゴンとか)で制限付きながらコカイン解放が進むが、これを見る限り、国境地帯が砂漠である限り、密入国者と警察の果てしない戦いは続く。
ドラマとしても現状認識としても見た方がいい。
そしてパート3でこの音をまた聞きたい。
Sicario by Jóhann Jóhannsson- The Beast
100点