批評サムライ  ~映画・ドラマ・小説・エンタメ ★斬り捨て御免!~

責任が何でも曖昧なこの国で娯楽くらいは白黒ハッキリ!大作も小品もアダルトも興業収入も関係ない。超映画批評にない「上映途中の居眠り」が特技。シネマハスラー宇多丸氏、たまむすび町山智浩氏、シネマストリップ高橋ヨシキ氏を見習って公開初日最速レビューを心掛け評価は点数制。地方在住フォトグラファーがど田舎のシネコンでネタバレあり&あらすじ&見たまま感想ブログ

映画「沈黙のパレード」「ガリレオ」ファンで1,2共に好きだったシリーズだけに・・・北村一輝の学芸会芝居を許す西谷弘監督何でかな。

日本のテレビドラマのミステリー連ドラとしては素晴らしいシリーズの「ガリレオ

映画は公開したら直ぐ見に行った。

容疑者Xの献身」は東野作品で唯一読んだ原作で、無駄な伏線が全くなくて納得の映画化。松雪+堤の危険な恋愛関係に共感。

真夏の方程式」は私の好きなドラマ設定「夏休み」「少年の成長」「海街」と全部入りに、杏ちゃんのビキニの特典付き、何より前田吟のいぶし銀としかいいようのない昭和の香りのする名脇役が芝居を持っていった。

満を持して9年ぶりに第3作目がスクリーンに。

敬意を表して、いつもの田舎イオン内東宝シネマ昼12時の回は3割入りでも満員感。

期待は高まるばかり。

あらすじ)

天才物理学者である湯川のもとに、アメリカから帰国した警視庁捜査一課の内海が事件の相談に訪れる。

それは、数年前に行方不明になっていた女子学生が遺体となって発見された事件で、蓮沼という男が容疑者として浮上していた。

だが蓮沼は、湯川の親友で内海の先輩である草薙が以前担当した少女殺人事件で完全黙秘を遂行し無罪となった男で、今回も黙秘を貫き証拠不十分で釈放となってしまう。

蓮沼は女子学生が住んでいた町に戻ってくるが、夏祭りのパレード当日、何者かに殺害されてしまう・・・

キャストの感想から。

福山はいつも通り。柴咲コウ=内海が戻った。柴咲はスーツ&パンツの時に体のバランスがいつも感心。歩く姿勢が歳を感じさせない。事件を観客に十分理解させる声。

ツッコミ芸人(品川とかハライチ澤部)枠が今回ないのは残念。

その分、お笑い界からシリアス枠に飯尾和樹の大抜擢で、市井につつましく生きる食堂のおやじを好演。妻役の戸田菜穂は相変わらずの美しさ。

酒向芳はまたも怪演、村上淳はこういう役は憎らしいくらい。

バイプレイヤーの方がたのアンサンブルはみんなよかった。

特に吉田羊は円熟に磨きがかかり、相克ある人物やらしたら最近ずっとNO1だ。

リーダーシップがあってかわいくて厳しくて美しくて・・

吉永小百合梶芽衣子藤純子を足して3で割ったよう。

令和残侠伝とか作ったら彼女しかいない。いまや女高倉健だ。

大人の女優界では唯一無二(福岡出身なので応援するのだ)

さて、問題は北村一輝だ。

過去の捜査ミスを引きずる表現があまりにわかりやすく深みがない。

「実におもしろい」ならぬ「実に軽い」一人学芸会。

顔が濃い分、70年代東映やくざ映画の大部屋俳優みたいな佇まいで。

他の役者がナチュラルで癖のない分、大立ち回りに見えてしまう。力みが全身から伝わるから何ら共感できない。

殺人の謎解きと同時に、親友刑事の悲しみを福山ガリレオが助ける友情が裏テーマなのに、この前提が十分伝わってこないので、スッキリしない、抜けが悪い。

地方都市の表情もパレードの群衆シーンだけで西谷が「昼顔」冒頭で見せた夏感の美しいアンバランスな感じが欠けていた。「真夏の方程式」には随所に記憶の中にある地方の輝きがあったんだけどな。

ガリレオがあんなキャラだけに、対峙する側に、堤真一前田吟など過剰なエネルギーを持つ人が必要なのだ。今作は誰もいなかった。

3作通じて今回初めて下手を打ったな西谷弘。

70点

秋からのテレビドラマ版新シリーズに期待するしかない。

UNEXTドラマ「ジ・オファー」マフィアと上司とスタッフと戦う中間管理職が如何にして傑作「ゴードファーザー」を制作したか。

映画ファンならずともドラマのお手本傑作「ゴッドファーザー」(1971年)

家族愛、兄弟愛、恋愛、殺人、恐喝、暴力、復讐・・・

脚本と演技のすばらしさオンパレード。

愛から死までふり幅の大きさで観客をワシつかみにした70年代最高の1本

70年代のコッポラは、同年代の「エクソシト」のフリードキンと並んで凄かった。

その内幕が50年年ぶりに明らかになるとは・・・

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あらすじ)

 映画製作の夢を抱え、これまでのキャリアを捨てパラマウント・ピクチャーズに入社したラディは、売り上げ低迷を危惧しヒット映画づくりに躍起になっていたパラマウント社のプロデューサーのロバートから、当時NYで話題になっていた小説「ゴッドファーザー」を低予算でヒットさせるよう無茶振りを受ける。

「ギャング映画は売れない」とされていた当時の映画業界では異例とも言われたこの大博打をめぐり、キャスティングや演出に不満を吐くスタジオと、「商業映画ではなく芸術作品を作りたい」と主張する監督のコッポラと原作者のプーゾ、ぶつかりあう2つの思惑にラディは翻弄される。

 さらに、マフィアの実態を綴る小説に反対する実在のマフィアたちが、映画製作中止を求めスタジオを襲撃する事態に・・・

細部まで何回も見た傑作映画の裏側メイキングへの興味、マフィアの物語をマフィアの町(ニューヨーク)で撮影すると本物が介入してくるホラー、巨大映画スタジオの資本家たちの介入のサスペンス、ハリウッドに集まる曲者だらけの中での友情、何者でもない男がやりきって成功するロッキー要素・・・成功するテレビシリーズがそうであるような満載感。

東のNETFLIX「全裸監督」に対する、西のUNEXT「ジ・オファー」が誕生した。

映画公開から50年たって、それぞれ故人になったり引退したりした中、今もマフィアはいるし、巨大スタジオ(パラマウント)はあるしメイキングとはいえ大丈夫なのか?国民の数と同じくらいの銃の存在(3億弱)が許されるのに・・・

恐ロシア以上に怖いアメリカの恐怖も感じる。

 

近年ドラマ界隈屈指の傑作であることは間違いない。

 

100点

 

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映画「NOPE/ノープ」少ないセリフとカットバックが混乱させ、伝わらないもどかしさ満載の新感覚SFホラー。

真夏だと言うのに九州の田舎でも花火大会がコロナで軒並み中止。

空を見上げたいなーとこの映画に当たった。

アメリカ版映画トレーラー閲覧のみで前情報が一切ない。

スピルバーグの「未知との遭遇」だって、当時は新聞も特集してたし、映画雑誌も複数あって情報はあった。

今は新聞読まないし、雑誌も読まない。映画情報は少なめがよろしい。

この監督、デビュー作の「ゲットアウト」を見ているが笑うツボが合わなくて(シニカル過ぎ)何か波長が合わない。スカッとしない。

しかしホラー映画初のIMAX撮影ということで500円プラスして観たいところだが、福岡は1館しかないのだ。しかも遠い。

いつものご近所巨大スーパーの最終回に滑り込んだ。

あらすじ)

田舎町で広大な敷地の牧場を経営し、ハリウッドの撮影用の馬を貸し出して生計を立てているヘイウッド家。ある日、長男のOJが家業をサボって町に繰り出す妹エメラルドにうんざりしていたところ、突然、空から異物が降り注いでくる。その謎の現象が止んだかと思うと、目の前で悲劇が起こっていた。それから数カ月後、OJは心の傷を癒せないままに父の家業を継ごうと必死だったが、あの異常現象に挑むことを決心する。

基本、砂漠と牧場と空(UFO)が主役で

官憲(NASA、FBI、警察、謎の組織等)は現れない。

だから彼らから逃げるサスペンスはない。

UFOとの対決のみ。

素人4人(口数少ない兄、風見鶏の妹+電気オタク+カメラマン)組がUFO写真動画を撮り儲けたいという、嫌な功利主義を見せられる。

主人公の描き方が(特に牧場の兄と妹)不足している。

そのくせ、過去のサルの殺人シーンを放り込んだり意味ありげなカットが邪魔をする。

オープニングの父親の死以降、この牧場の現実がリアルにわからない。

金儲けも、組織に隠された真実の究明の要素もなく彼らに共感はできない。

アメリカ発の動画の主の祖先とか、子役時代にサルに襲われた経営者とか。

何かのメタファーらしきイメージが多様されるも説明ないからさっぱりわからない。

いろんな映画のオマージュは感じる。

宇宙戦争」、「ノー・カントリー」、「北北西に進路をとれ」

映像も、効果音も、SFXも素晴らしいが

主人公をただ傍観するだけに終始する。

 

もしかしたら失ったものを取り戻す、青春映画になりえたかもしれない。

仏「冒険者たち」(1967年)

アラン・ドロン、リノ・バンチェラ、ジョアンナ・シムカスのように。

海を砂漠になり、ギャングはUFOになっただけ。

ホラーだろうが青春映画になれるのだ。

そこには挫折した主人公が、立ちはだかる何かと戦う理由と勝利が必要だ。

彼らを応援したいのに、そうはさせない脚本の失敗。伝わらないもどかしさ、なんだかな。

この手の映画は、公開後作品の解説動画がネットで続々UPされるが、メタファー祭りはうんざり。映画+YouTube解説で初めて完結は実に映画人として不誠実。

上演時間内にすべて納得させないでどうするよ。

この監督はなんか勘違い野郎だな。

 

50点

 

映画「ドライブ・マイ・カー」近年邦画の最大収穫。西島に重ね合わさる家族嵐と、瀬戸内の穏やかな海風とで胸いっぱいになる。

昨年末、家庭で大きな事件があった。

人生には「上り坂、下り阪、まさか」の3つの坂があると聞くが

この「まさか」が数か月の間に5回やってきた。

「エー、ウソだろう」の連発。

 

年が明けて嵐は去っていったが心象風景では

小舟に乗ってフラフラになっていた時この映画を見た。

染みたな。

こんなことで立ち止まってはいけない、とそう思った。

あらすじ)

 脚本家の妻を突然亡くした舞台俳優の家福。2年後、喪失感の拭いきれない彼は、演出を任された演劇祭に愛車で向かった先で、専属ドライバーのみさきに出会った。

 口数の少ない彼女が運転する愛車で過ごす時間の中で、家福は妻の残した秘密に向き合っていく・・

 

村上春樹の本はリトマス試験紙みたいに知識や感性を測られてくる。

「1Q84」とは相性が悪く、足掛け4年読んでる「騎士団長殺し」は傑作「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」のようなわかりやすくはないが主人公には共感できる。

一緒に暮らしてはいるが気持ちが相手にない感覚。

セックスはするがそれだけのこと。

西島が自分と重なってくる。

この映画は俺が主人公なのだと思った。

西島は舞台を愛し、自分は撮影を愛す。

瀬戸内パートが最高にいい。

ロケがこんなに見ごたえのある映画を久しぶりに見る。

ただの風景でなく、心象風景のレフ板となって西島を補足する。

素晴らしいとしか言えない。

死んだ妻、無口なドライバー、狂った役者、信じあった異国の夫婦

言葉が交じり合って、感情がせめぎ合って

逃げない境地へ向かう過程が描かれる。

言葉が出ない。

スクリーンで向かい合うに値する

驚くべき現代ドラマの最高にして最前線の1本。

100点しかありえない。

 

 

映画「キャメラを止めるな!(吹替版)」10年に1本の傑作がフランスでリメイクされだが・・・・

プーチンは死なない、戦争は終わらない間に

安倍さん暗殺され、自民は大勝、自民党統一教会支持リストを見ると

元総理、元幹事長、元大臣・・・みーんな宗教団体を名乗る反社とズブズブで

 

国民が勝利させた与党は、不自由統一党と判明するも後の祭り。

3年は選挙がないので、日本の国家運営は支離滅裂が当面続くと判明したこの夏・・・

 

暑気払いに、2018年夏、満員の映画館を感動の渦にした傑作を

オールフランスのセンスでホラーとコメディとヒューマンがどう洗練されたか

確認しに行った。

 

(以下参照)

 


いつも行くシネコンは巨大スーパーの海の日で祝日

ファミリー層が闊歩する中、このスクリーンは自分ただ一人。

4年前の熱気のねの字もありゃしない。

 

あらすじ)

フランス人監督のレミーのもとに、日本で大ヒットした映画のリメイクをカメラ1台でワンカット撮影し、生放送するよう依頼が届く。わがままばかりのキャストや話のかみ合わない日本人のプロデューサーに、空気の読めない映画監督志望の娘と、熱中すると現実とフィクションの区別がつかなくなってしまう妻が加わったことで、本番直前まで現場は大混乱に。不安が渦巻くなか、ついに本番が始まる。

 

 

オリジナルにあった終始チープな感じがフランス版にはない。

冒頭30分のワンカットがグリーン豊富なシネマルックで

殺風景な施設だけど小綺麗で不気味さを感じないのだ。

役者の小芝居感がいただけない。妙に上手い。

 

「カメラは止めない!」

このセリフはタイトルなんだからオリジナルのように力入れないといけない。

さらっと言うなよ。

メリハリの感性が国民性で違うのだろうか?

違うな、センスがないんだな。

冒頭のホラーパートが終わると制作前のヒューマンパートが始まる。

そんなに売れてない映像監督の儲かってなさそうな仕事と家庭のドラマになる。

ここで現実と理想のギャップを見せつけないとラストの感動へと昇華しない。

だが・・・さらっとしてる。

伝わらない小芝居が続く。

眠くなったので抵抗を止める、しばらく寝た。

誰もいない映画館は最高のベッドにもなる。有料だけど。

起きたらまだ小芝居やってた。

唯一の日本キャスト竹原芳子はあの竹原芳子ではなかった。

もっと大爆笑の脚本に変更できただろうに。

ことごとく中途半端だ。

ラストの意外性がないのは当然だが追体験も味わえない。

箸休めに作ったような適当感に溜息も出ない。

足りないのだ、圧倒的な作家の熱量が。

 

傑作のリメイク失敗作くらい悲しいものはない。

0点

 

映画「シン・ウルトラマン」活劇と思わせて、またも官僚群像劇からの対話ドラマへ。主役は斎藤工から長澤まさみに移り、まさかの山本耕史に着地する不思議な興奮。史上最高の山本耕史が「私の好きな言葉です」

プーチンは戦争開始数か月以内に暗殺、もしくはクーデター派に拘束されると信じていたが・・

 

終わらない戦争のせいで映画を見る気力を失せていたが、「シン・ゴジラ」チームの実写映画であれば待っていられない。

TV版ウルトラマンをリアルタイムで見た者としては昭和SFへの郷愁がある。

脚本庵野が若き日に主演したウルトラマンムービーも見た。

何といっても2016年「シン・ゴジラ」の熱気を今でも覚えている。

東日本大震災後の危機管理(地震津波放射能)意識が残る中「ゴジラ」の出現とそのコントロールを為政者側から描く斬新さと、暴れまくるリアリティを大スクリーンでのみ体感できる面白さに邦画で初めて堪能した。

 

そのチームが作る、新たな危機管理パート2なのだから期待しない方がどうかしている。

脇に今年最高の映画だった「ドライブ・マイ・カー」の西島が出るし

予告で見た長澤まさみのスーツ姿も様になっていた。

 

さらに、GW前にオープンしたばかり「ららぽーと福岡」

東宝シネマズには九州初の轟音シアターができているではないか。これは行かねばならない。

 

シュワッツ。

巨大ガンダムには何の興味もないが、立駐内の位置確認には最高のランドタワーになっている。帰りは本当に車まで迷わなかった。イメージの勝利だわ。

平日にもかかわらず人が多い。コロナ前に戻った感がこのモールにはある。

出来たての映画館は心地良い。

料金は(轟音は追加料金がないのだ)1200円なのにパンフが2000円オーバーでどうかしてる。

このアンバランスはウルトラシリーズのメタファーか?

客席は4割。月曜日のお昼にしては多い。前方スクリーンに轟音マークのスピーカーが数台ある。座席も大きく、短い足も延ばせる。

環境は整った。

ブザーが鳴る。

あらすじ)

 巨大不明生物=禍威獣(カイジュウ)が次々と出現するようになり、混乱を極める現代日本

 対抗するため、政府は、防災庁、および専従組織「禍威獣特設対策室」(通称:禍特対(カトクタイ))を設立する。

 やむことのない禍威獣たちの攻撃によって、人類が限界を超えそうになった時、大気圏外から謎の巨大な人型飛翔体が現れた─。

 禍特対メンバーのひとり、神永新二。警察庁公安部より出向した優秀な国家公務員だが、メンバーと協調せず、一匹狼的な行動をとる謎の多い人物だ。

 ある日、神永のバディ(相棒)として新たに禍特対に着任した分析官・浅見弘子は、神永の秘密を知ることになる・・・

冒頭からウルトラQでお世話になった怪獣たちが出てくる。

この数分で日本にだけ現れる不思議と、対応できている優秀さを存分に感じる。

画面テンポの速さ、官僚用語の多さが情報処理が追い付かない6年前を思い出されて、庵野=樋口モードが既に心地良い。

この感覚は洋画含めて滅多に味わえない。

また例によって登場人物のプライベート描写はない。

この振り切り方がお涙頂戴過多の邦画にない素晴らしさ。

現代日本、泣いてるヒマなぞありはしないのだ。

 

さて、放射能を食べる新怪獣の出現に絶体絶命。

そこに突然、空からウルトラマン登場。

ラインマーカー跡の様な光線が山を破壊してゆく。

ゴジラは社会を壊すが、こっちは人助け。

 

しかし何故? 何で知ってる? どこから来たの?

TV版知ってるから何てことないけど若い世代は???だらけだろう。

しばらくするとが宇宙人が本部に突如現れ日本語を話す。

情報処理がかなりキャパオーバーしているのでもはや気にもならない。

しかし長澤まさみの〇〇には驚いた。

こういう展開は予想外で日本映画史に残る歌舞伎ものだ。

「空想特撮映画」のキャプションはこのことだったのか。

目じりの皺まで見えて実に美しい。日本女子は素晴らしい。

斎藤工の背景が描かれないから共感が生まれない作りになっている。

半分人類の斎藤より、匂い、スカートの中、尻つねる、が気になる等身大のキャリアウーマンに興味と共感が移る。

ここで主役が完全に入れ替わった。

ところがだ。

あの山本耕史がいつも以上の微笑で、メフィラス星人として登場。

美しい日本語と数々の慣用句を操り、これまで見てきたどの宇宙人役者をもしのぐ存在感で場を支配する。

白眉は半宇宙人の斎藤ウルトラマンと宇宙人同士で

車で、公園で、人類の運命に関わる問答が始まる。

何だこれは。

突如2人は居酒屋にいて酒を酌み交わす。

 

シュワッツ。

 

これはコメディか? 夢か?

山本メフィラスの去り方の潔さ。

これは別のヒーロー譚ではないのか。

 

活劇+官僚群像劇と見せかけて

宇宙人の思考を楽しむ対話ドラマに変わっていた。

庵野脚本の変化球の見事さ。

やられた。

 

ここで終わらず、仲間ウルトラマンによる計画はこのドラマでは蛇足では?

仲間が地球史上一番の悪者じゃないか。

 

様々な謎と伏線は回収されず、肩透かしはあったものの

山本メフィラスの微笑みと言葉が印象的に残る。

 

観終わって、屋上の空を見上げた。

長澤まさみがビル間にいやしないかと。

 

90点

傑作映画シリーズ100本|No 004 「ジャッカルの日」フレッド・ジンネマン監督 大統領暗殺の攻防をテロリストと警察双方の手の内を淡々と描くドミュメンタリータッチの極北

どうしたらプーチンを倒せるか?

もはや西側に出てくることはないだろう。

(中国や北朝鮮、イラン、インドなど独裁国家や武器輸出国くらいか)

 

とすれば

1、ロシア軍内部で反プーチン勢力による暗殺

(1944.7.20 ワルキューレ作戦:ドイツ軍将校によるヒトラー暗殺計画)

 

2、1人か複数での暗殺

(1963.11.22 ケネディ大統領暗殺:オズワルド単独犯行は疑わしい)

 

自爆テロは爆弾チェックが100%なので近ずくことさえ不可能だろう。

武器入手のしやすさ、情報漏洩リスクを軽減ならば

ロシア国内にロシア人として潜む反プーチン確信犯による

遠距離からのライフル狙撃か

軍人・警備警護官によるアサルトライフル連射が最も成功確率が高いだろう。

 

1973年の映画公開以降、テロリストと公安当局のバイブルとなった「ジャッカルの日」が今月に入って世界中で再ブレークしている。

考えていることは皆一緒だ。

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あらすじ)

 ドゴール大統領暗殺に失敗したOASは壊滅状態となり、内部の動きを察知されたことから、外からプロを雇うことを決める。男の名。

 ジャッカルはドゴールの資料を調査し、一年のうち一度だけ、絶対に群衆の前に姿を見せる日があることを発見してそれを依頼決行日と決める。

 ヨーロッパを移動しながら狙撃銃を特注、偽の身分証、パスポート、衣装、小道具、入出国経路、車などを用意する。

 一方、フランス公安当局は、OASが外部の暗殺者を雇ったこと、その人物が「ジャッカル」と呼ばれていることを知る。

 捜査は、実績豊富なルベル警視に一任され、暗殺決行日までの頭脳戦が始まった。

 

発端は原作フレデリック・フォーサイスの小説から入った。

中学生の時に初めて読書のリアリズムに触れた。

小学生のヒーロー、明智小五郎やホームズとルパンではミステリーの面白さはわかっても世界の仕組みはわからない。

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直ぐに映画になって、今でも年に1回は見ている。

70年代の傑作は何回見ても面白いのだ。

サスペンスの全てが詰まっている。

確実な準備をしながら、邪魔な者は消していく。その手順が心地いいのだ。

テロリストの過去も家族も感情も描かない。

ただその仕事ぶりを迫っていく。

無駄なシーンが本当にない。

ジョークも笑いも涙もなくとにかく乾いている。

情け容赦ない殺人マシーンとしてのジャッカル。

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一方、パッとしないルベル警視がどんどんジャッカルに迫る人柄合戦が、頭脳戦と同等に面白い。同じヨーロッパでもイギリス人(と言われている)とフランス人の違いか。

ただヨーロッパをテロリストが移動するだけのドラマに、これほど集中させるのはフレッド・ジンネマンの手腕だ。

同じ70年代の「ジュリア」も幼馴染が大人になって戦う女になり、不穏なヨーロッパの旅がサスペンスでいっぱいになる。

1を語っただけなのに、その背景の10を知らしめる。

本物の映画作家だけが持つイメージ喚起力。

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さて

プーチンは毎年さまざまな記念日に民衆の面前に現れる。

自己顕示欲100点しかない男が世界に怯えを見せるはずがない。

ここしかない。

モスクワの衆人環視の中で殺されてこそ、民衆蜂起が起こる。

武器が「AK-12」でならカラシニコフの血統を引き継ぐロシアの数少ない輸出品であるし、戦争犯罪者にふさわしい皮肉なめぐりあわせとなる。

独裁者は世界のカメラの観る中、ロシア人により、ロシア製で、完全に排除された、と。

暗殺者に逃げ道はない。

最初から、殺す代償に死ぬ、片道切符なのだ。

 

しかし世界の至る所に名が残る。

正義の人として。

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ウクライナに栄光あれ。