映画「NOPE/ノープ」少ないセリフとカットバックが混乱させ、伝わらないもどかしさ満載の新感覚SFホラー。
真夏だと言うのに九州の田舎でも花火大会がコロナで軒並み中止。
空を見上げたいなーとこの映画に当たった。
アメリカ版映画トレーラー閲覧のみで前情報が一切ない。
スピルバーグの「未知との遭遇」だって、当時は新聞も特集してたし、映画雑誌も複数あって情報はあった。
今は新聞読まないし、雑誌も読まない。映画情報は少なめがよろしい。
この監督、デビュー作の「ゲットアウト」を見ているが笑うツボが合わなくて(シニカル過ぎ)何か波長が合わない。スカッとしない。
しかしホラー映画初のIMAX撮影ということで500円プラスして観たいところだが、福岡は1館しかないのだ。しかも遠い。
いつものご近所巨大スーパーの最終回に滑り込んだ。
あらすじ)
田舎町で広大な敷地の牧場を経営し、ハリウッドの撮影用の馬を貸し出して生計を立てているヘイウッド家。ある日、長男のOJが家業をサボって町に繰り出す妹エメラルドにうんざりしていたところ、突然、空から異物が降り注いでくる。その謎の現象が止んだかと思うと、目の前で悲劇が起こっていた。それから数カ月後、OJは心の傷を癒せないままに父の家業を継ごうと必死だったが、あの異常現象に挑むことを決心する。
基本、砂漠と牧場と空(UFO)が主役で
官憲(NASA、FBI、警察、謎の組織等)は現れない。
だから彼らから逃げるサスペンスはない。
UFOとの対決のみ。
素人4人(口数少ない兄、風見鶏の妹+電気オタク+カメラマン)組がUFO写真動画を撮り儲けたいという、嫌な功利主義を見せられる。
主人公の描き方が(特に牧場の兄と妹)不足している。
そのくせ、過去のサルの殺人シーンを放り込んだり意味ありげなカットが邪魔をする。
オープニングの父親の死以降、この牧場の現実がリアルにわからない。
金儲けも、組織に隠された真実の究明の要素もなく彼らに共感はできない。
アメリカ発の動画の主の祖先とか、子役時代にサルに襲われた経営者とか。
何かのメタファーらしきイメージが多様されるも説明ないからさっぱりわからない。
いろんな映画のオマージュは感じる。
「宇宙戦争」、「ノー・カントリー」、「北北西に進路をとれ」
映像も、効果音も、SFXも素晴らしいが
主人公をただ傍観するだけに終始する。
もしかしたら失ったものを取り戻す、青春映画になりえたかもしれない。
仏「冒険者たち」(1967年)
アラン・ドロン、リノ・バンチェラ、ジョアンナ・シムカスのように。
海を砂漠になり、ギャングはUFOになっただけ。
ホラーだろうが青春映画になれるのだ。
そこには挫折した主人公が、立ちはだかる何かと戦う理由と勝利が必要だ。
彼らを応援したいのに、そうはさせない脚本の失敗。伝わらないもどかしさ、なんだかな。
この手の映画は、公開後作品の解説動画がネットで続々UPされるが、メタファー祭りはうんざり。映画+YouTube解説で初めて完結は実に映画人として不誠実。
上演時間内にすべて納得させないでどうするよ。
この監督はなんか勘違い野郎だな。
50点