映画「エイリアン コヴェナント/コベナント」4DX2D 公開初日最速レビュー(リドリー・スコット監督、キャサリン・ウォーターストン・マイケル・ファスベンダー)無残な「プロメテウス」(2012)の失敗を超えれたか?ネタバレ有り
腐ってもリドリー・スコット
世界的人気ヒットシリーズの6作目の日本公開初日
これは仕事をサボっても見に行く価値がある。
野際陽子のシガーニーウィーバー吹き替えの緊張感が好きだったな。
3連休前の金曜日、午後0時スタートは1割入り
席は前から2席目だけど、スクリーンは近くなくて見やすい。
揺れる椅子はいいな。
楽しいな。
前作「プロメテウス」は、巨匠と呼ばれるに値する作品を作ってきたスコットが、満を持して撮りかかったスコット「エイリアン」の2作目。
芸術的な香りにこだわったのか、セリフの中で有名神話のメタファーというか、引用パクリだらけ。
そもそも乗組員が目的地を知らないバカバカしさから、随所に不明点ばかりでシナリオが破綻しているのは明らか。
SFXの完成度の高さは見事だけに、B級娯楽路線の一級品への期待が一気に崩壊・・・
アートとエログロの融合させた志の低さにガッカリ。
その失敗作から早5年。
しっかり反省し映画史に残る傑作の一作目の原点に戻って宇宙の恐怖を見せてくれるはずだ・・・・
前回見た「マッドマックス」の4DXは素晴らしかったので今回もプラス1000円の出費で彼に敬意を払う。
あらすじ)
2000人以上の入植者を乗せた宇宙船コヴェナント号は、遙か銀河系にある惑星を目指していた。その途上でクルーは人類が生存可能な惑星を発見する。そこは植生はあるが動物が確認できない。その星に謎の人物が出没。楽園と思われた星は危険な暗黒世界だった。一人、また一人と敵は侵入しては殺されていく・・・
タイトルバックがいつもながらセンスいいね。
「スターウォーズ」と180度違うけど、これぞSF映画の始まりだ。
第1作からこれは全作品で踏襲されている。
故ジュリー・ゴールドスミスの音楽も素晴らしい。
冒頭、新型アンドロイドとそれを作った技術者との間の
親子確認会話が何をいいたいのかさっぱりわからない。
嫌ーな予感がいきなりする。
この持って回った遠回しな表現とやたらシンプルなセット。
おいおい、いきなり「プロメテウス」的だぞ。
物語はいつもの様に、エイリアン惑星へ行くはめになって乗員ほぼ皆殺しということでこれはお約束でどうでもいい。
「エイリアン1」の前日譚が「プロメテウス」なのでシガーニー・ウィーバー的女子は出てこないかと思ったら、ヒロインのキャサリン・ウォーターストンが、夫を事故で亡くす愛情豊かな知的なリーダーシップを発揮していく。
宇宙船内部、外部のディティールは素晴らしい。
エイリアン惑星のセットはギーガーデザインだらけでキモ面白い。
ただしエイリアン対決はスピードと場面転換が速いが、それほど恐怖を感じない。
慣れたのもあるだろうが何か足らない。
問題1)兄弟アンドロイド(マイケル・ファスベンダー2役)が語り過ぎ。そのセリフに沿った映像で見せるものだからこの星の歴史がわかるのだが、ここが傑作「エイリアン」1,2にあった人間から見た世界観の邪魔をする。エンジニアとかの人種を、物語に入れたが為にツジツマ合わせが必要だろうが、この「驚愕の真実」は後半の逆転への布石となるのだがひねり過ぎだな。これで恐怖への意識が薄れる。
問題2)スコット病再発。過去の詩を朗読したりで教養をひけらかす。ワグナーの音楽をリクエストしたり、かつて栄えた王国の崩壊的な、どっかの詩やシェークスピア風な芸術の古典にでもしたいかのようで79歳になるこのおっさんは自身の強いコンプレックスの裏返しを映画で利用してるな。違うだろーーーー
スコットはもう昔のスコットではなかった。
50点
期待外れ大作を4DXで見て疲れたので友近で癒された。
この人は本物のピン芸人の最高峰だといつも思うな。
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映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」試写会レヴュー(監督:廣木隆一 山田涼介、門脇麦)”東野圭吾史上、最も泣ける小説”が、こうも無残な出来損ないになるのか?
東野圭吾史上、最も泣ける小説とかいうキャッチコピーだが、直木賞獲った「容疑者Xの献身」しか読んでいない。
ちなみに小説にかかわらず本読んで泣いたことが一切ない。
ガリレオシリーズがドラマでは好きなので応募していたら試写会ハガキが届いた。
平日の19時、開始直前にいつものシネコンに向かうと空き席はわずか。
九州のど田舎にこんなに人が入っているのは初めてだ。
人気作家故か、無料招待だからか・・・
人が多いのもたまにはいいね。
日本映画をみんなで応援してるような錯覚に陥る。
あらすじ)
2012年、養護施設で育った敦也たち3人が盗みを働き逃げ込んだ廃屋。その店の郵便受けに届いたのは1980年に書かれた手紙でした。かつて雑貨店を営んでいたという店の名はナミヤ雑貨店。
店主の浪矢雄二は困っている人たちから手紙を受け相談に乗っていました。浪矢の代わりに返事を書く敦也たち。見ず知らずの誰かのために真剣に悩み、今まで他人と関わることすら避けてきた敦也たちの中で何かが少し変わり始めます。
1980年に住む浪矢雄二と2012年に生きる敦也たちの間の手紙を介した奇妙な交流。そしてナミヤ雑貨店に起きる奇蹟とは?
冒頭の1960年代後半の商店街の街並みがいいね。
ところが2012年に変わると3人のチンピラが現れる。
ということは、私の苦手なタイムスリップ物か?
昨年の「君の名は。」しかりもういい加減にして欲しい。
いったい目の前の時制はいまどうなってるんだ、と考えても考えてもわからない。
考えてるうちの、次の展開が始まっていてついて行けない。
物語的にはこれ使うと世界のどの時代にも
どんな有名人でも簡単に会える。
死んだ父にもおばあちゃんでも、織田信長でも、ヒトラーでも
イエス・キリストにもブッダでも・・・もうドラマに不可能はない。
ただし基本、禁じ手でしょう。
しかしそこは監督が今年見た日本映画のベスト「彼女の人生は間違いじゃない」の廣木隆一。
わかりやすく伏線は見事に回収され、禁じ手はむしろ必然の背景に変わり、感動の淵に観客を置いてきぼりにしてくれるだろう信頼がある。
最近の若い役者はほとんど知らない。
Hey!Say!JUMPも山田涼介も・・・さっぱりわからない。
ハンサムなんだろうが無理やり西洋化したような不自然な顔の山田が
頭のきれるリーダーを割と自然にクールに演じる。
ところがこの映画は同じ監督作品とは思えない。
いろんな世代の悩みを西田がが返事を返し、それによって変わっていく人達のその後が描かれるのだが・・・
至るところに”感謝”とか宗教団体の冊子のような安っぽい言葉が、限りなくセリフで役者に言わせる。このセンスの無さは酷い。
どう考えているかを行動で見せずに、セリフで言われても共感なんかない。
セリフ過多・・・出来損ないの多くはこれで失敗する。
さらに、観客を泣かそうと、じいさん、ばあさんは体を悪くする。
若者は自殺を試み、火事で焼かれる。
若くして亡くなった恋人が突如あらわれて(幽霊なのか?なんなのか?)昔話のシーンはもはや何がなんだかさっぱりわらない。
中途半端なBGMが絶えず流れ涙腺を刺激する。このメロディが近所のスーパーの買い物サウンドの様で酷い。
山下達郎の歌が流れるエンドタイトルで不快感は頂点に達する。
歌で作品のテーマを歌うならば、先に流せばいい。
この2時間を見せといて歌で要約なんかするなよ。
(仮に感動する人がいるとして)客の余韻を最後にぶち壊してどうするよ。
先に流してくれれば上映時間4分で終わってみんなハッピーではないか。
2時間かけて、昭和と平成の2つの時代がどうしてつながるのか不明のまま、倫理を、人の道をスクリーンでこれでもかと押しつけて、感動と勘違いさせる嫌らしさは、どこかの宗教団体の戦略とそっくりだ。
新種のマインドコントロールか?
余りのバカバカしさと情けなさで席をしばらく立てなかった。
チケット買わなくてよかった大賞のぶっちぎり1位。
この手のテレビドラマはあっても金を獲る映画であってはいけない。
日本映画の品位をどこまで傷つけるつもりか。
美術も撮影もジャニーズ系の役者以外みんなよかったけどな。
「SFです」と言い訳できたら何やっていいと勘違いしている脚本家と、何をしたいのかビジョンのないまま、映画ファンを異次元のカオスに連れて行く迷走監督とのやりたい放題の大失敗作。
0点
小説は、自分の時間で、戻りつ何度でも確認しながら読めるので
映画の作法とは別の生き物で、素晴らしいのかも知れない。
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映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」監督ヨン・サンホ パンデミックゾンビ+韓国新幹線KTX=コリアン・ポセイドンアドベンチャーになれずに残念。
すっかり秋の気配の北部九州。
いつものど田舎シネコンに向かうと金曜の夜なのにほとんど人がいない。
明日9日から話題作(三度目の殺人、散歩する侵略者、ダンケルク等)が一挙公開なので少ないのか・・・
上映中では見たい映画はこれしかなかった。
大スクリーンを20人くらいで見る。
若い世代の韓国映画にはとても才能を感じる。
荒削りだけどユニーク。
日本映画よりもハリウッドに近く、過剰演出が長く続く。
日本映画はイケメンばっかりだけど、韓国はブサイクも主役を張れる。
あるいはサブキャラはほとんどブサイクでブサイクおじさんとしては大いに共感できる。
この親しみやすさが寅さん無き日本映画界には欠けてる。
あらすじ)
敏腕ファンドマネージャー・ソグは多忙な仕事の中、別居する母のいるプサンへ、すれ違いの多い娘スアンとソウル発、釜山行きの高速列車KTXに乗る。
発車する直前、不可解な動きをする少女が乗車する。スアンが窓の外で、駅員が襲われるという事態を目撃。ホームレスの男はトイレに籠って「みんな死んだ」とつぶやく。
突如少女が乗務員の首に噛みつく。襲われた乗務員は感染し凶暴化、次々と乗客を襲い車内はパニックに・・・
鉄道好きには韓国高速鉄道KTX(Korea train express)の内部が見れて楽しいだろう。
冒頭の鹿をはねたシーンからなんか「ツインピークス」的で期待させる。
主演俳優はイケメンだけど家庭は破たん、子供に愛情注げない十字架を背負う。
娘は母と住めない寂しさと父が好きだけどそうは言えない健気さ。
この親子を主人公にしたのが凄くいい。
パニック映画は非力な者が主人公になるべきだ。
ソウル発のパンデミックゾンビは韓国では凄いリアルだろう。
これは北朝鮮の化学兵器攻撃がメタファーは明らか。
プサン迄無事つけるのかの物語は、この親子が真の愛情を取り戻す背景に使う。
ここが憎い。
これは70年代の傑作アドベンチャー「ポセイドンアドベンチャー」を思い出す。
ひっくり返った巨大客船の底(上)をめざす一団に襲う様々な試練が、愛と別れを生み出し、大いなる犠牲の果てに果実を得る。
韓国の新幹線で閉じられた空間を作り出し、自分たちの頭と体だけで敵と戦う。
さらに敵は死なない。
噛まれたら、味方が敵になる面白さ。
乗客のキャラ設定がうまい。
ただゾンビが乗客を食うシーンがだんだん冗長で嫌になって
途中30分くらい寝てしまった。
随所にスクリーンが汚いくらいにゾンビで埋め尽くされる。
この過剰さは国民性だろうな。
このクドさがハマる人はハマるだろうけど。
集団ゾンビオリジナルティーを見せたがっている演出が見え見えで
ただのホラー映画にしてしまった。
これら冗長シーンをカットすれば新種のアクションホラー・ラブストーリーになれたのに残念。
60点
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映画「エル/ELLE」監督:ポール・バーホーベン 大女優イザベル・ユペールの快演を堪能する、うつの時代の、異常な寛容と快楽主義の不協和音が快感に変わる様を味わえる変態ドラマ
ハリウッド映画ばかりだと、一か八かで失敗作(マミーだの、ワンダー何とかだの)に当たる可能性が最近高い。
そんな中、ヨーロッパ映画で、「ピアニスト」のイザベル・ユペールだし、現代劇だし秋が始まる9月1日の映画の日にはぴったりだ。
もともとポール・バーホーベン作品は好きではない。
「スペッターズ」「ルトガーハウアー/危険な愛」「ロボコップ」「氷の微笑」とか通俗で下品で不快。
無軌道な若者のリアリズムと言えば聞こえはいいがとんがった表現に自己満足してるような志の低さが嫌いだ。
その通俗監督の新作に63歳のイザベル・ユペールとフランス資本で組んだ。
世界が「衝撃」×「絶賛」!! 賞レース席巻の極上エロティックサスペンス。
大げさなキャッチコピーはいつもの宣伝部の大盛りと割り引いても
少しはバーホーベン改心したのか?は気になる。
座席数の少ない名画座の19時はほぼ満員。
あらすじ)
ゲームソフト制作会社社長で独身のミシェル。離婚して息子と母がいる。
突然、自宅に侵入してきた覆面男にレイプされる。警察に訴えることもなく何事もなかったかのように今まで通りの生活を送ろうとするミシェルだが、襲われた記憶がフラッシュバックする。
犯人が身近にいることに気づいたミシェルはその正体を突き止めようとするが、自分自身に潜んでいた欲望や衝動に突き動かされて思わぬ行動に出る・・・
バーホーベンの映画というよりイザベル・ユペール映画だ。
彼女の雰囲気、モード、空気感を楽しむ。味わう。
60オーバーでかわいい、セクシー、わがまま、不道徳、不潔、ふしだら・・
この感覚は20~30代ではだせるだろうか?
熟女が何歳から知らないが、こんな素敵な熟女をスクリーンで見たことがない。
フランス人はこんなにセックスばっかりしてるのか?
親友のパートナーでも、隣人でも、手当たり次第。
羨ましいというよりこれでは人間関係無茶苦茶になるだろうに。
彼女は大量殺人者の娘であることが次第にわかる。
変態ゲームソフト社長でもある。
この2つの影が無軌道に見える彼女の行動を理解させる。
10代で汚名を着せられ、恐らくつらい思春期を送らざるを得なかった。
生きていくのは自立して強くないといけない。
起業しそのゲームはより過激になっていく。
超バイオレンス、変態、下品、不道徳・・
これを60過ぎのおばあちゃん(劇中孫が生まれる)が演じる。
無理してない。自然体で来るものを断らない。
この異常な人の異常な寛容さ、快楽主義が痛快だ。
20代の美女ではない、63歳の老女の姿を通して
この化学変化と不協和音が快感になる。
先進国でヒットする理由がわかる。
物語はどうでもいい。
衝撃の結末もあってもなくてもいい。
犯人が誰かもあまり意味はない。
正解のないうつの時代にうつ映画のストレートをど真ん中に投げてきた。
2大巨匠うつ監督と呼んでいる
ミヒャエル・ハネケ、ラース・フォン・トリアーの系列に並ぶ。
イザベル・ユペール主演がこの映画のすべて。
絶世の美女はスクリーンの沢山いたが
60代でこれだけ輝いた女優を知らない。
例えば「オリエント急行殺人事件」(シドニー・ルメット監督)でカムバックしたイングリッド・バーグマンなど稀にある。
大女優の復活はゲスト扱いか、現役の女感のないおばあちゃん扱いが基本。
50代以上の熟女を主演にしない映画界は不自然だ。
日本にも素晴らしい50代が沢山いる。
沢口靖子、YOU、小泉今日子、真矢ミキ、山口智子、天海祐希、石田えり、中田喜子、片平なぎさ、高橋ひとみ・・・
彼女たちの性愛をスクリーンで見たいといつも思うがそんなドラマは見たことがない。
映画の帰りである女優のニュースを聞いた。
武井咲の「黒革の手帖」の演技が話題になっているは知っていた。
それよりも大手プロダクション所属で、ドラマ主演を張る次期看板女優が
誰が誰だかわからないなんとかザウルに中出しされて即妊娠、結婚の不道徳さは称賛に値するが、23歳の小娘なんかエンタメで見たくない。
この国はいつまで子供文化のままなのか。
30年待って日本のイザベル・ユペールになった武井咲なら見たい
熟女ドラマはもはやヨーロッパからしか来ない。
100点
次回「三度目の殺人」(監督:是枝裕和 福山雅治×役所広司×広瀬すず )
1年で一番自殺の多い9月1日問題。9月は「時任三郎」になろう。山田太一脚本の傑作ドラマ「ふぞろいの林檎たち」が今こそ輝く。”死ぬ気ならば、学校から、家族から、地域から逃げろ”と言いたい。【いじめ自殺防止のための共同宣言】
今月、ドラマ史上最も尊敬し、作品を見てきた脚本家・山田太一氏が病気療養中の記事が出た。
”『男たちの旅路』『岸辺のアルバム』『ふぞろいの林檎たち』──テレビ史に残る多くの名作ドラマを生み出してきた脚本家・山田太一氏。久しく新作が発表されていないが、この間、自身に大きな変化があったという。老年時代を題材とした作品も多い山田氏が、83歳になった今、自身の「老後」について初めて語った。”
詳細は・・・
「岸辺のアルバム」「ふぞろい」「男たちの旅路」・・・
70年代、まだネットがない、DVDも、ゲームも、スマホのない時代
娯楽の王様はテレビで、一人彼の作り出す問題提起が伝わった。
他の脚本とは違うのが子供の私でもわかった。
数百人はいるであろう脚本家の中で、次から次へ志の高いドラマを量産するクリエイティブに子供心に脚本家になりたい、と密かに思った。
(30歳過ぎてシナリオセンターに通い、真似事を書いてみたりした)
その山田太一の新作がもしかして見られない・・・
youtubeで作品を探したら
「ふぞろいの林檎たち」パート1の1、2を見る。
面白い、役者が生き生きしてる。
登場人物のキャラ立ちが完璧だ。
このアンサンブルが楽しい。
そして、第3話
就活中の時任三郎が警備員のバイト中のエピソードがある。
当時も強烈な印象だったことを思い出した。
この短いサリフで命のやりとり(死にたい VS 死なせない)シーンは
今まで見てきた全てのドラマの中で最高にしびれる。
部長「出ていきなさい」
時任「行きません」
部長「いきなさい」
時任「行きません」
当時の私なら声も掛けないし、すぐに立ち去るだろうな。
このエピソードから物語は意外な展開に膨らんでいく辺りが
並みのシナリオではない巧さに驚く。
具体的で、現実的で、本質的だなーと。
今見ても風俗は変わっても人間の悩みと行動は変わらない。
抽象的で、非現実的で、表層的な若者ドラマだらけの中で
今でも山田ドラマは他の追随を許さない訳だ。
そういう第3話を見ていると今週9月1日を迎えることに気がつく。
この一か月くらい「時任三郎」になろうと思う。
周りの子供たちをよく観察しようと思う。
家族であろうと、親類であろうと、誰の子であろうとだ。
多少のトラブルはあるかも知れない。
変なおじさんが子供に声を掛けている・・・と。
スマホ時代は即写真撮られて、110番だ。
それでもいい。おせっかいは100も承知だ。
普段と違ってないか?
言葉が少なくないか?
異常に明るくないか?
体にあざや傷がないか?
サインを出しているんじゃないか?
彼らを守るべき学校では
「いじめ」という名の校内暴力に
学校、教育委員会の原因解明にあたり
いじめはなかった、軽微だったとする隠蔽工作が
日本全国で続々明らかになっている。
教育委員会主導で第三者委員会を作っても
信憑性を担保しようとしてもそこでも先に結論ありき
の人選されたら核心に向かわない。
教育機関は、自らに傷がつくのを恐れているのだろうか?
2、3年したら人事異動だ。
原因不明で、何もなかったことにしたい。
いじめとなれば加害者児童とその家族への対応もある。
子供は学校と家しか行く場所を知らない。
近くに小学校があり、その横が海岸なので9月1日は8時前後に松林を歩く。
始業時間までに学校に来たけれど
体が中に入れない、行きたくない子たちが
海岸にランドセル背負っているかも知れない。
発見されないようにポツンと座っている様な気がしてならない。
私もそうだった。
発見されにくい校舎の裏やトイレに隠れたことがあった。
そういう子がいれば以下の様なことを話すつもりだ。
学校に行きたくなかったら、行かなくてもいい。
学校が君にとっての地獄なら、行かなくてもいい。
ただ、教えてほしい、何があったのか?何が起きたのか?
もし、今、話すことがつらかったら、話せるときまで私たちは待っている。
命はリセットできない。
想像してほしい。
君がいなくなってしまったら、君の大好きな人たちがどれだけ悲しむのか。
君につらい思いをさせた人たちは反省するのか?罪を償うのか?
逃げる場所は必ずある。
もしも、君が逃げるなら、この宣言に賛同したすべての団体とすべての人たちが、君の逃げ場を探す。
もしも、君が戦うのなら、この宣言に賛同したすべての団体とすべての人たちが、君を徹底的にサポートする。
私たちは、君が声をあげてくれないと、君を見つけ出すことができない。
だから教えてほしい。
私たちは、君の話を聴く。
君の元へ駆けつけて、直接助けることもできる。
だから、ちょっとだけ勇気を出して連絡してほしい。
一人では大変なら、私たちに連絡してくれればいい。
必ず、その勇気に報いるサポートをする。
(いじめ自殺防止のための共同宣言)より
【電話相談・メール】
【電話相談】
チャイルドライン(18歳未満、日曜を除く16〜21時)TEL:0120-99-7777
24時間子供SOSダイヤル TEL:0570-0-78310
よりそいホットライン(24時間)TEL:0120-279-338
「ふぞろい」はパート4で止まっている。
石原真理子問題が解決しない限りパート5はない。
彼女のブログを見ると・・
宇宙と会話しているのか?
精神世界の樹海で、出口を見失った旅人か?
いや出る気もない、自分探しの一人宗教の教祖かな
これでは解決する訳がないので・・・もう見られないんだろう残念。
シリーズを通して
普通に生きてる20代の若者が
思い通りいかない、上手くいかない人生に
何とか折り合いつけながら、恋をして
家庭を持って、仕事に疲れ、夢敗れ、生き方を模索する
「生きてりゃいいんだ、生きてるだけで、仲間がいれば」
だからこそ10代で死なれちゃたまらない。
自分の子とか関係ない。
おせっかいおじさん、おばさんになろう。
子供たちの仲間として
次回は 映画「エル ELLE」を予定
映画「ワンダーウーマン」公開初日レビュー (パティ・ジェンキンス監督、ガル・ガドット)DCコミック実写映画の典型で、女性戦士へ共感が出来ない、アクション偏重の残念作。
なんか最近のシネコンはハリウッドの漫画実写化のオンパレードで
くも男、スーパー男、こうもり男
緑っぽい変身する男、機械のスーツを着たり・・・
全くその手の嗜好がないので何がなんだかさっぱりわからない。
映画が楽しければいいのだが
どの映画も頭の5分、10分でもう帰りたくなる。
映画というより、TVマーケティング(番組タイアップやCM)によって
釣られた魚?、金払ってイベント動員されたバカな客か?
悲しくなる。
その時楽しければ、カッコ良ければいい客が世界中に数億人いて
関連グッズがまたバカ売れ、シリーズ化してさらにガッポリ
話題が尽きたら、違うキャラと組み合わせる・・・
「失楽園」で言う「強欲」とかこのことか。
昨年「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」というのが
公開されたようで(見ていない)そこで「ワンダーウーマン」が突如現れる。
確か70年代の海外ドラマをリアルで見たな。
この時から私はアメコミの派手さが気に食わない。
つげよしはる、蛭子などガロ派であり
ゴルゴが青春だったので日本の漫画、劇画のクオリティが世界最高と勝手に
思ってるのでこの余りにC調な勧善懲悪が耐えられない。
青少年男子にはこの体とコスチュームをテレビで放映するのは
今思えば犯罪だよね。
さてそんなDCコミック嫌いなおじさんが見た映画「ワンダーウーマン」
を見た訳は、映画「モンスター」を演出したパティ・ジェンキンスが監督となれば
何かメッセージがあるはず。
女性の、女性による、女性のための映画とか・・・
並みのハリウッド大作とは違うだろうと。
初日は、いつものど田舎シネコン金曜15時、2割入りで始まった。
あらすじ)
女性だけが住む島で育ったアマゾン族の王女ダイアナは、幼い頃から戦士になることを夢見ていた。成長したダイアナは海岸で墜落事故を起こしたスティーブ・トレバーを救出する。
真実の投げ縄を使ってドクターポイズンがマスタードガスの新兵器を開発していることを聞き出し、「外の世界」の悲惨さにショックを受ける。戦いの神アレスの関与を確信したダイアナは、トレバーとともに「外の世界」へと戦争の早期終結のためロンドンへ向かう。
スティーブが集めた仲間の力を借りつつ、戦場の最前線や要人の祝賀会へ赴きアレスを探すが・・
冒頭の島のシーンのアマゾン族は美女しか出てこない。
その中で少女ダイアナが戦士に変身していく。
日本女性だと応援したいけど
白人女性がこれやるとなんか恐ろしいな。
緑の色味がやりすぎの様でもあるけど、現実離れの世界観を与えてくれる。
ロンドンシーンは一転してHDR(ハイダイナミックレンジ)のオンパレードで見る価値があるが、やがて慣れてくる。
アクションシーンはSFX技術の最先端なんだろうけど
だから何? と。
どのアクションシーンも長過ぎる。
「インディージョーンズ」の第一作を見よ。
アクションが魅力なのは、非アクションが楽しい時だけ。
庶民生活に初めて触れるという点で「ローマの休日」があるが、このアマゾネス美女をアン王女と考えれば、非アクションはもっとワンダーな映像になったはず。
ここで共感が出来ないので、アクションだけが浮いてしまいバランスが欠いている。
パティ・ジェンキンスらしさはどこにも見られず、ただのDCコミック映画監督になってしまい、今回もただのバカな客になったしまった。
訴えたかったことは何なのか?
女性の解放をアクションで見せただけではヒットはしても心を撃たない。
「マミー」ではすぐ帰りたくなったが、ガル・ガドットは魅力で見留まった。
少女と大人の真ん中で、正義感の塊りで、恋する乙女で、ドイツ兵をこれだけ殺す女性を初めて見た。
ただの美女、セクシーとは違う彼女の人間性が時々見える。
シリアスなドラマでは見たいな。
20点
傑作映画シリーズ100本|No 003 「エクソシスト」ウィリアム・フリードキン監督 リンダ・ブレアー、マックス・フォン・シドー、エレン・バースティン 音楽:マイクオールドフィールド 44年前の体験は余りに強烈でいつ見てもその完成度に驚くばかり!
日本公開は1973年7月13日
もちろんインターネットはなく、映画の情報は専門誌の「キネマ旬報」「ロードショー」「スクリーン」などで、映画評論家が先に見てきた感想をメディア経由で知るしかない。
中学生ともなれば、友達と映画館行くのが大人への第1歩
アメリカ発の大ヒットホラー映画で、悪魔つきとくれば10代が食い付かない理由は何もない。
このビジュアルが新聞の夕刊に載った時のカッコ良さ
後半、エクソシスト(悪魔払い)が、少女が住む屋敷にタクシーから降り立った直後
のシーンだ。(光の元が少女のいる部屋)
これからどんな恐ろしいことが起こるのか
悪魔VS人間の真剣勝負が見られる予感がMAXに。
Mike Oldfield - Tubular Bells ✔ (The Exorcist Soundtrack) HD
ラジオではイギリスの前衛作曲家マイク・オールドフィールズの「チューブラベルズ」の1曲がテーマ曲と鳴って、未だ見ぬ映像の恐ろしさを掛け算される。
ミニマムミュージックの繰り返し、反復にもう頭の中は授業中もこのメロディーが鳴っていた。
エクソシスト - チューブラー・ベルズ(『エクソシスト』より)
- アーティスト: ヴァリアス・アーティスト
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- 発売日: 2013/05/29
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全国の映画小僧の心は完全に鷲掴みされて公開を待つばかりだ。
仕込みは100点
あらすじ)
イラク北部。
古代遺跡で発掘するアメリカの古生物学者でありカトリックの神学者のメリン神父がいた。そこで古代からの悪霊・パズズの偶像を発見する。
10年ほど前にもアフリカで闘ったことがあり神父は、パズズの復活が近く、再び闘わねばならないことを悟る。
アメリカ、首都ワシントン
人気女優クリス・マクリールは、映画出演のため、娘を連れて高級住宅地ジョージタウンの一軒家を借りて住んでいた。
夫とは離婚し女手ひとつで娘リーガンを育てている。込みのお手伝いカール&ウィリー夫妻や、子守をする若い女性・シャロンも家にはいた。
ある夜、クリスは物音を聞きつける、天井から何か聞こえる・・・・
見終わって、言葉がなかった。
余りに怖すぎて・・・
悪魔に変わっていくリンダ・ブレアの顔が脳裏に焼き付いていた。
それから多くの恐怖映画がアメリカからイタリアから一気に日本に上陸した。
恐ろしさが足らないのだ。
取って付けた怖がらしではもう満足できない。
今では動画配信でタブレットで1日何回でも見れる時代だ。
細部を細かく見ていくと一流の映画人が最高の仕事をしているのがわかる。
「ゴッドファーザー」のマーロン・ブランドのマフィア顔を仕上げて特殊メイクNO1のリック・ベイカーの仕事術の素晴らしさ、悪魔の不気味な声や様々なBGM音響のクオリティの高さ、どこを取ってもスチール写真でいうルックが決まっている。
画面に無駄なものが見当たらない。
まさに「神は細部に宿る」
脚本と俳優陣は本当に素晴らしい。
悪魔と戦う神父を中東イランで先に紹介し、来たるべく対決の予感を感じさせる。
マックス・フォン・シドーの、現代の苦悩を一心に背負った様な表情がセリフ以上に雄弁だ。名優は息の吸う吐くで何かを物語る。
70年代最高の女優エレン・バーステイン
誰からも慕われる女優、愛情溢れる母、戦いにひるまない強さを見せつける。
母との心の距離感に悩むカラス神父のジェイソン・ミラー、少女を救い出そうとまさに命をかける。
少女を救おうとする、この3人3様の心模様と行動が名優たちの抑制ある姿勢から見えてくる。
そして余りに強烈な世界デビューを果たしたが故に、この呪縛から一生逃れられないリンダ・ブレアーの少女らしさと、それ故の悲しみ。
監督のフリードキンは、前作「フレンチ・コネクション」で大都会の事件捜査のリアリズムを見せつけた。地下鉄、モノレール、麻薬捜査、車解体・・・生の刑事の執念が見えた。
この映画ではいくつもの対立、皮肉、メタファーが豊富に織り込まれている。
文明発祥の地メソポタミアの砂漠から、科学技術最先端のアメリカの首都が主戦場になる。
何不自由ない富裕層の人気女優の娘に取りつく悪魔
カトリック教会内で葛藤する神父
西洋医学で解決できない果てに母は教会に救いを求める
3つの点が交わって、悪魔との対決へと向かう
ここからは映画史にないインナートリップを同時体験することになる
観客は少女を救いたい。
2人の神父に救い出して欲しい。
もうこの3人に共感するしかないのだ。
この後、「エクソシスト」は2、3と続編が作られ
「オーメン」「シャイニング」などホラーは山の様に現れるが
登場人物への共感が薄い脚本と演出では、感動はない。
恐怖はただ恐ろしいだけでいいのだろうが
恐怖映画は登場人物への共感が必須なのだ。
「この恐怖を超えた映画はいまだ存在しない」
このキャッチコピーは本当に正しい。
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