映画「ヘレディタリー/継承」トニ・コレットの絶叫顔、森の中の一軒家、首ハネ、怪奇現象、得体の知れない町の人々、悪魔崇拝・・・オカルト全部入りジェットコースターの抜群の後味の悪さ。監督アリ・アスターの生真面目な演出は20世紀最高のホラー映画「エクソシスト」のウィリアム・フリードキンに通じる。
最近は九州のど田舎でも結構シネコンが増えてきて、最も見たかった映画が最も近くのスーパー系で始まっていたりするから侮れない。
auマンデーを利用して夕方5時スタートで観客は私1人(10分後には熟女2人が参加して3人で鑑賞となった)ホラーは知らない人でも沢山いるとそれほど怖くない心理が働くから+2人はいないも同じ。ホラー鑑賞環境が整った。
あらすじ)
グラハム家の祖母・エレンが亡くなった。娘のアニーは夫・スティーブン、高校生の息子・ピーター、そして人付き合いが苦手な娘・チャーリーと共に家族を亡くした哀しみを乗り越えようとする。自分たちがエレンから忌まわしい“何か”を受け継いでいたことに気づかぬまま・・・。 やがて奇妙な出来事がグラハム家に頻発。不思議な光が部屋を走る、誰かの話し声がする、暗闇に誰かの気配がする・・・。祖母に溺愛されていたチャーリーは、彼女が遺した“何か”を感じているのか、不気味な表情で虚空を見つめ、次第に異常な行動を取り始める。まるで狂ったかのように・・・。 そして最悪な出来事が起こり、一家は修復不能なまでに崩壊。そして想像を絶する恐怖が一家を襲う。 “受け継いだら死ぬ” 祖母が家族に遺したものは一体何なのか?
葬儀でアニーが不思議な挨拶をする。
「来てるのは知らない人ばかり」「母は秘密主義」・・・
とっさに悪魔崇拝の秘密倶楽部みたいな物語の背景が広がるが、娘チャーリーの異常さにすぐに忘れてしまった。不気味な低音BGMがいつも鳴ってるせいか・・
この映画はこのBGMと音響がキーだ。(「エクソシスト」もそうだった)
葬儀終わってから租母の実家に住む4人家族が全員がとにかく暗い。
笑顔とか笑い、ジョークの一つもありゃしない。
父以外は瞳に生気が最初からない。
いつもピリピリした作家の母。
トニ・コレットは全く知らないがトラウマ抱えた中年女性像を秀逸に演じてる。
不幸顔しか見せない訳あり娘。
麻薬パーティー好きな息子。
序盤でオーメン的な事故があってから、不幸は目に見える形で急降下していく様を真正面から描くことにつき合わされる。
ここから母の様々な絶叫顔が強烈だ。まさに壊れていく感じ。
母が祖母の秘密を解明していくにつれてさらに不幸が増していく。
「エクソシスト」はまだわかり易かった。
この映画は先の展開が見えない。
このホラージェットコースターがきつい。
この映画がDVD販売、レンタル、アマゾンなどで動画配信されると10代でも見れる訳だからカルト映画化になるのは目に見えている。
キリスト教の国でヘレディタリー殺人が発生する予感もして、とても危険な匂いがする。
本来アンダーグラウンド作品を年齢制限ありとはいえ、世界配給してしまう映画会社は十分病んでる。
「エクソシスト」のリンダ・ブレアーさえ3人の死と引き換えに生還したのに。
希望のきの字もありゃしない。
共感なんて皆無、ただ絶望だけの映画。
10点(音響を評価して)