傑作映画シリーズ100本|No 004 「ジャッカルの日」フレッド・ジンネマン監督 大統領暗殺の攻防をテロリストと警察双方の手の内を淡々と描くドミュメンタリータッチの極北
どうしたらプーチンを倒せるか?
もはや西側に出てくることはないだろう。
(中国や北朝鮮、イラン、インドなど独裁国家や武器輸出国くらいか)
とすれば
1、ロシア軍内部で反プーチン勢力による暗殺
(1944.7.20 ワルキューレ作戦:ドイツ軍将校によるヒトラー暗殺計画)
2、1人か複数での暗殺
(1963.11.22 ケネディ大統領暗殺:オズワルド単独犯行は疑わしい)
自爆テロは爆弾チェックが100%なので近ずくことさえ不可能だろう。
武器入手のしやすさ、情報漏洩リスクを軽減ならば
ロシア国内にロシア人として潜む反プーチン確信犯による
遠距離からのライフル狙撃か
軍人・警備警護官によるアサルトライフル連射が最も成功確率が高いだろう。
1973年の映画公開以降、テロリストと公安当局のバイブルとなった「ジャッカルの日」が今月に入って世界中で再ブレークしている。
考えていることは皆一緒だ。
あらすじ)
ドゴール大統領暗殺に失敗したOASは壊滅状態となり、内部の動きを察知されたことから、外からプロを雇うことを決める。男の名。
ジャッカルはドゴールの資料を調査し、一年のうち一度だけ、絶対に群衆の前に姿を見せる日があることを発見してそれを依頼決行日と決める。
ヨーロッパを移動しながら狙撃銃を特注、偽の身分証、パスポート、衣装、小道具、入出国経路、車などを用意する。
一方、フランス公安当局は、OASが外部の暗殺者を雇ったこと、その人物が「ジャッカル」と呼ばれていることを知る。
捜査は、実績豊富なルベル警視に一任され、暗殺決行日までの頭脳戦が始まった。
発端は原作フレデリック・フォーサイスの小説から入った。
中学生の時に初めて読書のリアリズムに触れた。
小学生のヒーロー、明智小五郎やホームズとルパンではミステリーの面白さはわかっても世界の仕組みはわからない。
直ぐに映画になって、今でも年に1回は見ている。
70年代の傑作は何回見ても面白いのだ。
サスペンスの全てが詰まっている。
確実な準備をしながら、邪魔な者は消していく。その手順が心地いいのだ。
テロリストの過去も家族も感情も描かない。
ただその仕事ぶりを迫っていく。
無駄なシーンが本当にない。
ジョークも笑いも涙もなくとにかく乾いている。
情け容赦ない殺人マシーンとしてのジャッカル。
一方、パッとしないルベル警視がどんどんジャッカルに迫る人柄合戦が、頭脳戦と同等に面白い。同じヨーロッパでもイギリス人(と言われている)とフランス人の違いか。
ただヨーロッパをテロリストが移動するだけのドラマに、これほど集中させるのはフレッド・ジンネマンの手腕だ。
同じ70年代の「ジュリア」も幼馴染が大人になって戦う女になり、不穏なヨーロッパの旅がサスペンスでいっぱいになる。
1を語っただけなのに、その背景の10を知らしめる。
本物の映画作家だけが持つイメージ喚起力。
さて
プーチンは毎年さまざまな記念日に民衆の面前に現れる。
自己顕示欲100点しかない男が世界に怯えを見せるはずがない。
ここしかない。
モスクワの衆人環視の中で殺されてこそ、民衆蜂起が起こる。
武器が「AK-12」でならカラシニコフの血統を引き継ぐロシアの数少ない輸出品であるし、戦争犯罪者にふさわしい皮肉なめぐりあわせとなる。
独裁者は世界のカメラの観る中、ロシア人により、ロシア製で、完全に排除された、と。
暗殺者に逃げ道はない。
最初から、殺す代償に死ぬ、片道切符なのだ。
しかし世界の至る所に名が残る。
正義の人として。
ウクライナに栄光あれ。