アダルト映像の地平線を開拓する「カンパニー松尾」と製作会社ハマジム。それは都会のストレスからの解放であり「荒野をめざせ」とのメッセージだ。
毎週、おびただしい数の映像を見る。
無料のYoutube、Dailymotion、ニコ生、ニコ動、GYAO
有料だとU-NEXT、amazonプライムビデオ
新参者のAbemaTV、パンドラ(韓国系)も中華系もあるし
途中で観るのをやめるのも含めて50本以上の映画・ドラマを見ている。
ここに唯一アダルト作品としてカンパニー松尾率いるハマジムリリース作品を見るようにしている。モザイク等で性器は修正されたAVと言われる作品だ。何故か?圧倒的に面白いからだ。
AV界の松尾芭蕉と呼びたい。
ネットでは数百万の、無修正アダルト作品が動画投稿サイトに投稿されている。無修正動画とTSUTAYAでレンタルできる修正版AVなどの著作違法アップロード作品、アマチュアオリジナルのウィルス等による感染流出と流出ではなく自ら見て欲しい確信犯まで。
それでも松尾を激しく支持する。
セックスシーンはモザイク処理でそもそも見えやしない。
そこじゃないんだな。
アダルトでありながら切ないんだ。
アダルトでありながら誠実が見える。
アダルトでありながら心が見える。
感動すら覚える。
松尾は20代からアダルト業界で監督として生きてきた。
80年代後半からのレンタルビデオの時代から所謂ハメ撮りという手法で戦ってきた。出演、撮影、運転、編集、音楽選曲、そして演出までこなす。
だいたいこんな感じだ。
出会い)
・ナンパ(キャノンボーイはこれ)
・テレクラへおもむき素人の女性とアポを撮る。(初期の作品はこれ)
・アダルト系女性誌やネットでAV出演を募集する(私を女優にしてくださいシりーズ)
・AV女優やモデルなど玄人タレント(恥ずかしいカラダシリーズ)
前戯プレイ)
・公園や空港のトイレ、廃墟、人のいない山の中、雑居ビルの階段などトリッキーな場所が多い
本番)
ラブホテルか新宿の高層ホテルが多い
この間、登場人物はほぼ2人だ。(シリーズ物では男優が手伝ったりしている)
主演女優と松尾だけ。
アダルト業界で3大ハメ撮り監督と呼ばれる。
この松尾作品が数本、動画配信でしかも約1か月間は無料で見れる。(アダルト系鑑賞端末はPCのみ)
動画配信「アオイホノウ」福田雄一監督 学園ラブコメディでクリエイターの恍惚と不安を描くとんでもドラマの傑作
”よく毎週映画ばっかり見てられますね”
と言われそうだけど、実はその数十倍、いろんな動画を見ている。
DVDレンタル屋にはほぼ行かなくなったのは探す&返却時間が惜しい。
金も毎回掛かる。
一時宅配DVDを利用したことがあるが、家族に見つかって中身をチェックされる恐れがある。これはホラー映画より悲惨な結末が待っている。
そこで各種の動画配信を利用している。
通勤途中、買い物途中、図書館で、喫茶店で、車内で、アスレチックジムで
iPhoneで、iPad、パソコンを使い全部wifi使い放題のネット経由だ。
今年見た最も面白かったのが2014年テレビ東京の30分ドラマ深夜枠で放送された「アオイホノウ」
部分部分しか見ていないがなんとも昭和感が秀逸で傑作の匂いが臭っていた。
しかし半分も見れなかった。
そして月日が経てば、そんな感想もタイトルさえ忘れてしまう。
が、たまたまアマゾンプライムビデオで発見。全11話一気に見た。
ここまでの完成度とは思わなかった。
青春が見えたね。
自意識過剰、根拠のない自信、すぐに落ち込む、自己中心・・・
同級生、庵野秀明に対するあまりに過剰なライバル心の可笑しさ
役者が生き生きしている。
主人公役の柳楽がこの超面倒くさい大学1年生を全編デフォルメだけど
踏みとどまって時々、ハッとする真理を吐いたりする。
脇のメンツもキャラ設定がわかりやすく、やはり面倒くさい。
オープニングアニメ、8ミリ、漫画など細部にまで手が込んでいる。
「神は細部に宿る」
傑作はみんなこれやってる。
ナイン、小学館、講談社などクリエイターとプロダクト、プレイヤーが実名で登場することで、これから物を作る世界で腕一本で生きて行こうとする若者の恍惚と不安が、キッチリ描かれる。
これが並の学園ドラマとは違う。
コメディとのバランス感覚が絶妙だな。
100点
アマゾンプライムは、年会費3900円で通販送料無料は気に入ったがこっちは時々利用するだけで、後から追加されたプライムミュージックとプライムビデオで聴き放題、見放題の方が実はおいしい。
映画「この世界の片隅に」 片渕須直監督 のん(能年玲奈)原作:こうの史代 音楽:コトリンゴ
今日時点で福岡県でも2館しかやっていない。
爆買い中国人がまだ多いショッピングモール内を抜けて到着すると、さすがに話題作だけあって、平日金曜15時でもかなり混んでいる。
久しぶりに私が真ん中で見ず知らずのおっさん3人並ぶ図に。
あらすじ)
第2次世界大戦下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前向きに生きようとするヒロインと、彼女を取り巻く人々の日常を生き生きと描く。
昭和19年、故郷の広島市江波から20キロ離れた呉に18歳で嫁いできた女性すずは、戦争によって様々なものが欠乏する中で、家族の毎日の食卓を作るために工夫を凝らしていた。しかし戦争が進むにつれ、日本海軍の拠点である呉は空襲の標的となり、すずの身近なものも次々と失われていく。
昭和10年頃から太平洋戦争直後までの田舎の少女から大人になるまで日常と非日常を詳細にスケッチしていく。画面に描かれる情報量にまず驚く。ジブリ映画には明らかにない昭和アニメカラーというか”淡い”感じが懐かしさを醸し出す。
主人公すずの声を能年玲奈(のん)が担当
みためは中学生で色気もセクシーも全くかんじない彼女だが
8,9歳頃から主婦になるまでここまで心情豊かに吹き替えできるのか?
人妻の艶までも表現できてる・・天職だな彼女は女優が。
そして「絵描き」が大好きな主人公の心象風景が随所にインサートされ、これが物凄い効果をあげてくる。思春期少女の妄想、恐れ、希望・・・
特にアメリカの空爆時の空に浮かぶタッチは本当に凄い。
この辺りの映像はアニメだからこそ残像が残る。
そして最大の悲劇に本編のタッチと全く違う技法を使い、次元の違うクリエイティブを見せる。この大胆さに参った。
黒澤明の名言「悪魔のように細心に。天使のように大胆に。」を思い出す。
これはアニメ芸術の極北としか言いようがない。
完成度の高さは「君の名は。」と双璧で2016年の夏と秋に生まれたことは、もしかしたらスタジオ・ジブリのクリエーター部門解散に伴う技術拡散の福音なのかもしれない。
しかし史実に基づくわずか80年前の、戦争に翻弄される日本の庶民を描く重さはこれまでのアニメにはなかった。海軍・軍艦の町、呉が美しい戦前回帰ではなく、メッセージのある反戦映画でもない。
少女の言葉、イメージ、体験の積み重ねから、自然と戦争を考える
壮絶な歴史の体験と、ゆるーい空想少女が大人になる面白さの絶妙なバランスというかアンバランスが心に刺さる。
音楽のコトリンゴは初めて聞いたが
この1960年代後半につくられたフォークソングが合っている。
「やりきれない」という庶民の想いがね。
片渕須直なんて初めて聞いた。
庵野、新海だけじゃなく隠れた本物がまだまだいるようで邦画の復活元年だと思う。手塚治虫を第1とすると、第2世代宮崎駿の引退が、映画界にいい影響を及ぼしている気がする。(また長編復活するらしいが)
90点(冒頭20分くらい寝てしまい採点不可の為)
映画「ミュージアム」 大友啓史監督 小栗旬、尾野真千子、野村周平、市川実日子、松重豊、妻夫木聡
雨上がりの夕方ほど映画鑑賞に合う、と勝手に思っているのでいつものど田舎シネコンに行くと、”シーン”として誰もしない感じが背筋が寒い。
こういう時はサスペンス、スリラー系がぴったりだ。
予告編がやたら「セブン」に似ていて、パクリかオリジナルか判定しようと「ミュージアム」にする。
今回は緑(狂気の色)をキーカラーにして、デヴィッド・フィンチャーイズムをベースに、イーライ・ロス的ホラーをふりかけてるような感じがする。
大友作品はNHKドラマ「ハゲタカ」「龍馬伝」を見ている。”スタイリッシュで音の使い方がうまいな”という感想を持った。
映画は劇場では見たことがない。
何かの端末で「プラチナデータ」を見たが、なんとも中途半端なスッキリしない、カタルシスのない、切れも無いサスペンスドラマだった。
あらすじ)
雨の日にだけ発生する猟奇殺人事件。その方法が残虐極まりなく、犯人の異常性に震撼する。現場には、意味深なメモ「ドッグフードの刑」「母の痛みを知りましょうの刑」など意味深なメモが残される。
警視庁捜査一課の沢村久志は、ある共通性に気づき連続殺人事件として捜査を進める。その中で次のターゲットが沢村の妻と子供とわかり、独自のルートで徹底した手段をいとわない情報収集を敢行し、緊迫した捜査が続く。
ここから沢村VSカエル男との闘いが始まる。
人質に捉えられている妻と子供を救えるのか。
雨、連続殺人、異常な手口、主人公の家庭内不和・・
シーンのいつくかはほぼ模写している。
それは全然かまわない。しかし!
この刑事のあまりの稚拙さと人間的深みが全く見えない。
深みがない時は、経験豊富で知恵を持つリーダーが導き共感できるステージまで”変化”させるのが鉄則だと思うのだが・・
「セブン」で言えば、刑事と言うより詩人であり哲学者のサマセットだ。
天才俳優モーガン・フリーマンが「ミュージアム」にはいない。
黒沢の「野良犬」でいえば志村喬
高校生にも見える小栗旬はあまりの存在感が薄い。
言葉が軽い。
セリフだけがカッコつけている。
小栗の演技力と言うよりもキャスティングミスだし
脚本(大友啓史)がダメ。
映像は部分部分には確かにカッコいい。
が、この監督は自分の映像美に酔ってるな。
主人公の心情は伝わらないが、そこは十二分に伝わった。
途中、音量が大きくてセリフが聞き取れない。
小栗に心情を吐露させるナレーションに至っては最悪だ。
主人公の内面の声を観客に聞かせてどうするよ。
だから感動を産まない。
急にレイモンド・チャンドラー要素を入れてもね。
それは主人公は本物の一匹狼で、仕事ができて、自己抑制的な
男の中の男だから観客は許す訳で。
語らせずに”見せて”観客自身に感じさせるのが映画だろうが
何にもわかっていない。
「ハゲタカ」ではそれが出来ていたけどね。
数話連続で尺がたっぷりとれ、優秀な脚本があって、視聴率とは無縁なNHKドラマだから可能だったのかな?
(後姿が市川)
一部俳優陣はよかった。
捜査の指揮をとる松重豊(彼が主人公ならモーガン・フリーマンなしでもこの映画は成立できたと思う)の存在感。
これから彼は本当のモーガン・フリーマンになる予感がする。
極めて共感度の高い人だ。
グレゴリー・ペック級の日本のエンタメ界では唯一だ。
演技力というより人間力だと思う。
そして今花咲いている感がある女医の市川実日子のミステリアス感(彼女主演でミステリーが見たいな)
最近の妻夫木の凄味を今回は感じなかった。
「羊たちの沈黙」犯人のようにもっと出番を減らして印象的なホラーシーンのみでよかったような。中途半端な描き方で家庭内トラウマの被害者像がぼやけた。
監督が見せたい映像を見せただけの、2時間のマスターベーションにつき合わされ、ただただ途方に暮れた。
当然のように共感も、カタルシスも、何もない。
金返してくれ。
5点(松重と市川が見れたので)
1日立って段々と腹が立ってきた。
Nスペの宮崎駿の怒りがよくわかる。
人間性の欠片もない犯人を見せるのにハンバーグミンチを持ち出した。
映像の為ならこんな下品で薄汚い作品を作る映画人は受け入れがたい。
極めて不快だ。
次回は今年度最高傑作の名を欲しいままにする
「この世界の片隅に」
私の人生初、アニメで薄汚れた心が浄化されるか?
【NHK】Nスペで宮崎駿復活の予感、ドワンゴ川上量生会長プレゼン問題と鈴木敏夫Pの企み(現代の真田幸村か?)
「君の名は。」大ヒットの影響で日本公開のアニメ映画興行収入リストを見せられることが何かと多い。
(現時点で「崖の上のポニョ」を抜き第5位らしい)
2位のディズニー映画を除くと上は全部「宮崎駿」の凄さ。一人で述べ1000億円以上を稼ぎ出した。新海誠にとって宮崎は3枚のガラスの天井、次回作以降が比較されるのも仕方ない。
そんなヒットの天才が11月13日のNHK特集で見せた2つのアクションが面白かった。
1つは長編映画への復活宣言
もう一つは、ドワンゴ川上氏がプレゼンした奇妙なCG映像と宮崎のリアクション
詳細は↓で詳しく
アニメが好きではないので劇場で10本も見ていない。
宮崎アニメは「風立ちぬ」しか知らない。
主人公の声が「庵野秀明」だったから見た。
なぜ声優でもない監督の庵野か?
映画見ててよくわかった。本物のクリエーターに演じて欲しかったんだな。
24時間頭の中にあるイメージ、想い、妄想からまだ世に出ていない形あるものを作りだす、狂気の世界をあの不思議な甲高い声で説得力を持っていた。
映像も凄いけど、庵野でなければならないセンスのブレの無さ。
宮崎は揺るぎない哲学の人だと感じた。
そして引退宣言・・・それから3年。
その間何故かドワンゴ川上氏が鈴木敏夫プロデユーサーの見習いに入る。
「スタジオジブリ」の哲学を十二分に理解していたことは明らか。
にも関わらずだ。
180度真逆な方向でプレゼンして見せた。真意は明らか
「あなた(宮崎=ジブリ)とこの映像技術を使い(ジブリブランドで一緒に金儲け)制作・公開したい」と。
角川(出版)+ドワンゴ(ネット配信)+スタジオジブリ(映像制作)のスキームの背後には、これまで大ヒットジブリ配信を引き受けてきた東宝に、売り上げで大きく水を空けられている東映がいるのだろう。
そしてこの企みをNHKが放送し潰した。
これ見たらジブリファンは協業を許さないからね。
民間企業グループの野望が、公共放送の放映一発で破壊された瞬間が描かれた訳だ。これは川上氏側と距離を置きたい鈴木Pの深謀遠慮に宮崎とNHKを使った(NHKも乗っかった)と見た方がスッキリする。同時に宮崎の長編復活の意欲を絵に撮らせ、ジブリ完全復活の期待値を上げる。
真田丸現代版を見せてもらった。
長編制作を休業中で新規売上のないジブリは、過去のコンテンツ展開で莫大な収益を上げるパートナーがNHKなのだ。
川上氏は長く鈴木さんを側で見ていながら自らの企てを、鈴木Pのもっと大きな企てで消されただけではなく、同時に負の企業イメージをおわされた。
何故クローズでプレゼンしなかったのか?
宮崎駿は人類愛が最優先の哲学の人で、師匠の鈴木敏夫は弟子でも平気で潰す戦略家なのだ。
NHKの地上波、日曜夜9時のNスペこそ現代の関ヶ原だったのだ。
そこに奇妙な映像で乗り込んで、拒絶されると、奇妙な屁理屈で苦笑い、衆人監視で木っ端微塵にされた。最悪だが、視聴者的には実に面白い。
自らの企画の過度な自信が先を見誤りさせた。
企画は流れ、メディア企業が他のメディア内でリーダーの資質をも疑われる結果に。
鈴木さんは現代の真田幸村か? 恐るべし。
こだま著「夫のちんぽが入らない」問題からアダルトは強いと実感。エロ小説、カンパニー松尾、AVなどセックスを巡る旅に出る。
一か月前に「夫のちんぽが入らない」(略して「おちい」とする)
問題を記事にした。
略すのは、入力するのも、コピペも嫌だ。
(理由は私もこだまさんの夫さんと同じで「入らない」と以前言われた)
このブログのアクセス解析を見たら8割に人が「おちい」経由で来たことがわかった。
”真面目に映画評書いてるのにアダルトかよ”
そういう思いも少しはあるがお蔭様で、来訪者数が軽く10~20倍も増え、結果読んで頂ける他の記事もでてくる訳だし。
性への興味があってこそ豊かさのバロメータ
政策的には少子化対策だし、社会的にはワークライフバランス
精神衛生上ではストレス発散だし
文学的には人間性の復活=文芸復興でルネッサンスだ。
人には大っぴらに言わない言えない領域もブログだと書きやすいしね。
誰にも過去があり、恋愛があり、セックスをする。
失敗も、成功も、恥ずかしさも、愚かさも、みじめさも。
性器がつながる目の前の異性、同性間には
マスターベーション、オナニーとは違う
忘れられない濃密な感情、愛憎があり
どうであれ圧倒的に意味が重い。
天才みうらじゅんの格言が忘れられない。
“人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた”
同感する私も、みうらじゅんになろう。
いわゆる一般の映画館で見られる映画評を中心に書いていくつもりだったけど、0点の映画も多いので(書いていて本当はつらいです。出来るだけいい部分拾って褒めてあげたいのだけどそれが見当たらないことが)記事の守備範囲を広げる。
私の仕事はセックスを書くことです 花房観音 | レビュー | Book Bang -ブックバン-
性にまつわる映画、小説、アダルトビデオ、AV、レンタルDVD、グッズ、不思議な人達、スワッピングサークル、パーティー、ヨガ、瞑想、マインドフルネス、ポリネシアンセックス、出会い系アプリ、ネットのダウンロード、検索の仕組みなど、経験した、見聞きしたことを幅広く書いていきます。
AV界の吟遊詩人 カンパニー松尾氏
「おちい」の出版は日本人のメンタリティにはびこる上っ面文化に風穴を開ける起爆剤となりうる。
映画「ジャック・リーチャー」公開初日最速レビュー トムクルーズ
今年、公開初日に見た映画に外れが1本もない。
「ボーダーライン」「シンゴジラ」「SCOOP!」と映画の至福に溢れた作品ばかり。
そして今日は公開直前に必ず来日して笑顔ふりまく良い人アピールのトム・クルーズ主演、制作で前作「アウトロー」の続編だ。
この「アウトロー」が見事な出来損ないぶりにあきれ何度劇場を去ろうと思い直したか!元軍人のアメリカ流れ者の無職おじさんが、一人警察、一人裁判官やって悪人を殺し逮捕もされず去っていく。
何というご都合主義で、勧善懲悪にも程がある。アメリカは法治国家ではないのか?
近年まれに見る突っ込むのも疲れるくらいのくだらないシーンのオンパレードが逆に見事だった。
続編が作られる不思議。
答えは「ヒットしたし、制作・主演がトムだから」それしかないだろう。
但し、前作から数年、反省もあるだろうしガラっと作風を変えてることをかすかに期待しつつ大都市福岡に出向いてみた。
なんと満席で最前列しか空いていないときたもんだ。
しかたないのでど田舎のいつものシネコンで夕方乗り込んだ。
そして見た。
どうしようもない、出来損ないパート2がそこにあった。
俺の時間を返してくれ。
あらすじ)
アメリカ軍の優秀な秘密捜査官だったものの、今では街から街へとあてもなくさまよう生活を送っているジャック・リーチャー(トム・クルーズ)。ある店でトラブルに見舞われた上に保安官に連行されそうになった彼は、自分をめぐる何かしらの陰謀が動きだしているのを察知する。やがて彼は、元同僚であったターナー少佐(コビー・スマルダーズ)を訪ねるが、彼女がスパイ容疑を掛けられて逮捕されたことを知る。ターナーを救い出して共に事態の真相を追ううちに、軍内部に不穏な動きのあることをつかむが……
要は、アメリカ流れ者おじさんが、逃亡させた女性兵士と、実の娘かも知れない10代少女と3人で逃避行しつつ、人を殺しまくり、真相を暴き、逮捕もされずまた流れていく、ターミネーター寅さんだ。
まず前作からトムが随分中年太りになっている。
加齢とはそういうものだが、アクションの時は感じないが大人しくしていると何かおじさん臭い。ハリウッドスターで言えばハリソン・フォード、イーストウッド、日本で言えば三浦友和などとても自然体だが何かおかしい。
余りに若々しいイメージがあるのでそこのギャップなんだろうね。
話は滅茶苦茶で支離滅裂
電話で話したことしかない女性を突然軍に尋ねる。
事件でもなく何のアテもなく。バカか、こいつは。
しかも車を持っていない。中年ヒッチハイカーなのだ。
運賃も持ってないのか。
そもそも生活はどうするよ?
無職はいかんよ。オマエはまず働け。
トランプを支持したプアホワイト(白人貧困層)の典型にしたのか?
人のトラブルに顔を突っ込んで何を得る。
元祖流れ者、寅さんはテキ屋で生計を立派に立てていたんだ。
おまえが向う場所は職安のはずだ。
ハリウッドには物語の破綻を避け、スターの長所を生かし、アクションを効果的に見せ、無駄なシーンを省き、ラストに山場を作り、余韻を最大化させる数百人のシナリオドクターがいる。(日本では数人らしい)
大スター、トム・クルーズなら当然この仕組みに乗るだろうが、原作に引っ張られたのかも知れないが余りにひどい。
トムを出会う人間は、逮捕され、殴られ、殺される。歩く疫病神だ。
真相は暴かれめでたしめでたしなんだろうが1ミリのカタルシスがない。
また、無名の俳優陣による物語の面白さ満載のロジャー・コーマン的なB級映画の楽しさもない。
ただ俳優がなぐり合ったり、殺しあったり。
まさに空虚。
トム・クルーズの、トム・クルーズによる、トム・クルーズのためのクズ映画としか言いようがない。
前作以上に途中で席を立ちたい。
”何で俺はいまここにいるんだ”、とクズ映画につきあう自分が自己嫌悪。
見たことを1分でも早く忘れたい。
【空しい】とはこの映画の感想の為にあるような言葉。
0点