映画「ジャック・リーチャー」公開初日最速レビュー トムクルーズ
今年、公開初日に見た映画に外れが1本もない。
「ボーダーライン」「シンゴジラ」「SCOOP!」と映画の至福に溢れた作品ばかり。
そして今日は公開直前に必ず来日して笑顔ふりまく良い人アピールのトム・クルーズ主演、制作で前作「アウトロー」の続編だ。
この「アウトロー」が見事な出来損ないぶりにあきれ何度劇場を去ろうと思い直したか!元軍人のアメリカ流れ者の無職おじさんが、一人警察、一人裁判官やって悪人を殺し逮捕もされず去っていく。
何というご都合主義で、勧善懲悪にも程がある。アメリカは法治国家ではないのか?
近年まれに見る突っ込むのも疲れるくらいのくだらないシーンのオンパレードが逆に見事だった。
続編が作られる不思議。
答えは「ヒットしたし、制作・主演がトムだから」それしかないだろう。
但し、前作から数年、反省もあるだろうしガラっと作風を変えてることをかすかに期待しつつ大都市福岡に出向いてみた。
なんと満席で最前列しか空いていないときたもんだ。
しかたないのでど田舎のいつものシネコンで夕方乗り込んだ。
そして見た。
どうしようもない、出来損ないパート2がそこにあった。
俺の時間を返してくれ。
あらすじ)
アメリカ軍の優秀な秘密捜査官だったものの、今では街から街へとあてもなくさまよう生活を送っているジャック・リーチャー(トム・クルーズ)。ある店でトラブルに見舞われた上に保安官に連行されそうになった彼は、自分をめぐる何かしらの陰謀が動きだしているのを察知する。やがて彼は、元同僚であったターナー少佐(コビー・スマルダーズ)を訪ねるが、彼女がスパイ容疑を掛けられて逮捕されたことを知る。ターナーを救い出して共に事態の真相を追ううちに、軍内部に不穏な動きのあることをつかむが……
要は、アメリカ流れ者おじさんが、逃亡させた女性兵士と、実の娘かも知れない10代少女と3人で逃避行しつつ、人を殺しまくり、真相を暴き、逮捕もされずまた流れていく、ターミネーター寅さんだ。
まず前作からトムが随分中年太りになっている。
加齢とはそういうものだが、アクションの時は感じないが大人しくしていると何かおじさん臭い。ハリウッドスターで言えばハリソン・フォード、イーストウッド、日本で言えば三浦友和などとても自然体だが何かおかしい。
余りに若々しいイメージがあるのでそこのギャップなんだろうね。
話は滅茶苦茶で支離滅裂
電話で話したことしかない女性を突然軍に尋ねる。
事件でもなく何のアテもなく。バカか、こいつは。
しかも車を持っていない。中年ヒッチハイカーなのだ。
運賃も持ってないのか。
そもそも生活はどうするよ?
無職はいかんよ。オマエはまず働け。
トランプを支持したプアホワイト(白人貧困層)の典型にしたのか?
人のトラブルに顔を突っ込んで何を得る。
元祖流れ者、寅さんはテキ屋で生計を立派に立てていたんだ。
おまえが向う場所は職安のはずだ。
ハリウッドには物語の破綻を避け、スターの長所を生かし、アクションを効果的に見せ、無駄なシーンを省き、ラストに山場を作り、余韻を最大化させる数百人のシナリオドクターがいる。(日本では数人らしい)
大スター、トム・クルーズなら当然この仕組みに乗るだろうが、原作に引っ張られたのかも知れないが余りにひどい。
トムを出会う人間は、逮捕され、殴られ、殺される。歩く疫病神だ。
真相は暴かれめでたしめでたしなんだろうが1ミリのカタルシスがない。
また、無名の俳優陣による物語の面白さ満載のロジャー・コーマン的なB級映画の楽しさもない。
ただ俳優がなぐり合ったり、殺しあったり。
まさに空虚。
トム・クルーズの、トム・クルーズによる、トム・クルーズのためのクズ映画としか言いようがない。
前作以上に途中で席を立ちたい。
”何で俺はいまここにいるんだ”、とクズ映画につきあう自分が自己嫌悪。
見たことを1分でも早く忘れたい。
【空しい】とはこの映画の感想の為にあるような言葉。
0点