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批評サムライ  ~映画・ドラマ・小説・エンタメ ★斬り捨て御免!~

責任が何でも曖昧なこの国で娯楽くらいは白黒ハッキリ!大作も小品もアダルトも興業収入も関係ない。超映画批評にない「上映途中の居眠り」が特技。シネマハスラー・宇多丸氏やたまむすび・町山智浩氏のブログを見習って公開初日最速レビューを心掛け、評価は点数制。みうらじゅんとカンパニー松尾をリスペクトするフォトグラファーがお届けします。

自分史上の傑作映画シリーズ100本|No 001「欲望 BLOW UP」(1967) ミケランジェロ・アントニオーニ監督 日本の名機35ミリフィルム一眼レフ Nikon F が滅茶苦茶かっこいい。

映画館に行きたくても行けない日々で悶々としているので、家で夜中昔のDVDを見ては気を紛らしている。

そこで見ておくと良いかも知れない100本をランダムにご紹介することにした。 

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公開当時、世界中で映画ポスターが盗まれたらしいビジュアルの強さ。

これぞ60年代中期のラブ&ピース、麻薬が蔓延していく世界の不条理を描いた時代の空気がぷんぷん匂う。

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中判カメラの名機、ハッセルブラッドの美しさ。

ビートルズのアルバム「アビーロード」など多くのLPジャケット撮影はこのカメラ)工業製品としての完成系を見る。

シャッターと巻き上げ動作と音の美しさ、操作のセクシーさ。

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これなら女性も上から乗られても文句はないのだろう。

このカメラマンは何人と寝ているのか?

全員だろうな・・・ここは私と大違い。

この60年代のフリーセックス時代の幕開けの空気感が上手いな。

そしてスタジオを離れ、都市の公園に、中判から35ミリに変えて一眼レフを持ってスナップ撮影を始め事件は起こる・・・

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ここで我らが Nikon F だ。

カメラ大国の片鱗をこの映画で決定つけたらしい。

知らないカップルを見つけ、隠し撮りを続ける。

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週刊文春のスクープも、やってることはこの映画が原点だ。

都市の中にぽっかり口を開けた緑のブラックホールみたいの存在として。

すぐに女に見つかる。

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演じるのは、大好きな映画「ジュリア」フレッド・ジンネマン監督で謎多き主人公ジュリアを演じたヴァネッサ・レッドグレーヴだ。

この顔の知性と裏に隠された淫靡な感じが、大人のヨーロッパ女優だ。

フィルムを返して欲しいという。

突如スタジオに現れ、キスをしたり奔放さを現す。

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現像した写真に写っていた謎の影

BLOW-UP(引き伸ばしの意)すると

別のものが写っていて・・・

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大都会の公園の片隅に起こった不条理を目撃したカメラマンの震えが伝わる。

 

私も普段キャノンの35ミリの一眼デジカメを使っているが、時々ニコンF3を一緒に持ち歩くと、このデザインの良さ、手触り感など圧倒的に1982年もの(35年前!)に人気が集まる。

「デジカメは素材で、フィルムこそ本来の写真」

この映画を見るとまずフィルムカメラで何かを撮りたくなるはずだ。

 

何度もいうが時代が写っている。

基本サイレントで、ハービー・ハンコックのJAZZが流れる。

物語はあって、ないも等しい。

何も解決しない。

 

しかし何もかもがカッコイイ

「写真は引き算」とはよく言うがこの映画は、カタルシスとか感動とかそういうセオリーを引いてしまった感がある。

 

カメラマンやっているのはこの映画の影響はあきらかにある。

 

作家や画家など自己完結するクリエィティブと決定的に違っていて、社会を写してなんぼ。

ある距離感を保ちながら、第三者の、組織の、国家の・・・何かを暴ける武器となるカメラを持って生きる。

しかし覗いたからにはリスクが襲ってくる。

そのスリリングを味わってみたいと。