映画「主戦場」監督ミキ・デザキの後出しジャンケンの罠に嵌る「保守論客」をみんなで笑う新感覚プロパガンダ 原一男の「ゆきゆきて、神軍」以来!
劇場公開がめったにないこの手の映画
猫とかキツネとかペンギンは毎年の様に公開されるのに、人間対象だと一気に少ないのは何故か。
最後に見たのはゴーストライター騒動で注目を集めた佐村河内守氏に密着した森達也監督の「FAKE」(2016)
今回は所謂、慰安婦問題を扱っていることから、名画座の会場内に20Mの列に並んでの入場(こういうのは昨年の九州初公開日の映画「カメラを止めるな」以来だ)
あなたが「ネトウヨ」でもない限り、彼らをひどく憤らせた日系アメリカ人YouTuberのミキ・デザキを、おそらくご存知ないだろう。
ネトウヨからの度重なる脅迫にも臆せず、彼らの主張にむしろ好奇心を掻き立てられたデザキは、日本人の多くが「もう蒸し返して欲しくない」と感じている慰安婦問題の渦中に自ら飛び込んでいった。
慰安婦たちは「性奴隷」だったのか?
「強制連行」は本当にあったのか?
なぜ元慰安婦たちの証言はブレるのか?
そして、日本政府の謝罪と法的責任とは……?
見ながらいろんな感想を抱いた。
・「主戦場」のタイトルから白熱の議論があると思えどゼロ
・登場人物の数が慰安婦派が多い
・登場順が保守派→慰安婦派と論破したような印象を与える
・監督自身の早口ナレーションと過去に使われた写真、画像、動画がわかり易く説明しつつも、保守派に懐疑的な印象を与え、最後に「歴史修正主義者」と呼ばれる。
・音楽が素晴らしい
(原一男の傑作ドキュメンタリー映画「ゆきゆきて、神軍」(1987)以来だ
この和太鼓リズムのクセになる追い立てられ感
いずれにしても見ていて楽しいのだ。
当然、映画公開後に続々保守派出演者から怒りが続出
テキサス親父日本事務局の藤木俊一氏
「大学院修了プロジェクトで、私とテキサス親父ことトニー・マラーノにインタビューしたいと言われました。デザキさんが以前、ネットで炎上騒ぎを起こしたことも知っていたので、疑ってかかりましたが、“大学で勉強し、慰安婦証言があやふやで信用できないことも知った”と言うので、大学院の研究だし、と思って受けたのです」
しかも、藤木氏らは事前に合意書も交わしていた。
「公開前に見せ、意図と違う使い方をされたらフィルムの最後に、私が映画に不服である旨を記すことになっていた。ところが、公開するが事前に見せられない、という旨を、メールで一方的に知らされたのです。法的措置も検討したい」
なでしこアクションの山本優美子氏
「大学院生からお金はとれません。学究に資するものと信じて取材に応じたのに、まさかこんな形で裏切られるとは、同じ上智の卒業生として悲しい」
「この映画は私たちの議論のあと、向こう側の議論が延々と続き、私たちに再反論の機会が与えられていません。ディベートではなく、言葉によるリンチです」
上の発言が本当ならば制作前からの確信犯。
反論の機会を与えず、自分の主義・主張を最後に観客に印象ずける。
しかしミキ・デザキ、大した映画監督だ。
ぜひ、反論を映画でして欲しい。
80点
私が最も尊敬するドキュメンタリー監督原一男の
YouTubeチャンネル「#CINEMA塾」はとても面白いのでご参考までに。