批評サムライ  ~映画・ドラマ・小説・エンタメ ★斬り捨て御免!~

責任が何でも曖昧なこの国で娯楽くらいは白黒ハッキリ!大作も小品もアダルトも興業収入も関係ない。超映画批評にない「上映途中の居眠り」が特技。シネマハスラー宇多丸氏、たまむすび町山智浩氏、シネマストリップ高橋ヨシキ氏を見習って公開初日最速レビューを心掛け評価は点数制。地方在住フォトグラファーがど田舎のシネコンでネタバレあり&あらすじ&見たまま感想ブログ

映画「この世界の片隅に」 片渕須直監督 のん(能年玲奈)原作:こうの史代 音楽:コトリンゴ

今日時点で福岡県でも2館しかやっていない。
爆買い中国人がまだ多いショッピングモール内を抜けて到着すると、さすがに話題作だけあって、平日金曜15時でもかなり混んでいる。
久しぶりに私が真ん中で見ず知らずのおっさん3人並ぶ図に。

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あらすじ)

第2次世界大戦下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前向きに生きようとするヒロインと、彼女を取り巻く人々の日常を生き生きと描く。

昭和19年、故郷の広島市江波から20キロ離れた呉に18歳で嫁いできた女性すずは、戦争によって様々なものが欠乏する中で、家族の毎日の食卓を作るために工夫を凝らしていた。しかし戦争が進むにつれ、日本海軍の拠点である呉は空襲の標的となり、すずの身近なものも次々と失われていく。

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昭和10年頃から太平洋戦争直後までの田舎の少女から大人になるまで日常と非日常を詳細にスケッチしていく。画面に描かれる情報量にまず驚く。ジブリ映画には明らかにない昭和アニメカラーというか”淡い”感じが懐かしさを醸し出す。

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主人公すずの声を能年玲奈(のん)が担当

みためは中学生で色気もセクシーも全くかんじない彼女だが

8,9歳頃から主婦になるまでここまで心情豊かに吹き替えできるのか?

人妻の艶までも表現できてる・・天職だな彼女は女優が。

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そして「絵描き」が大好きな主人公の心象風景が随所にインサートされ、これが物凄い効果をあげてくる。思春期少女の妄想、恐れ、希望・・・

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特にアメリカの空爆時の空に浮かぶタッチは本当に凄い。

この辺りの映像はアニメだからこそ残像が残る。

そして最大の悲劇に本編のタッチと全く違う技法を使い、次元の違うクリエイティブを見せる。この大胆さに参った。
黒澤明の名言「悪魔のように細心に。天使のように大胆に。」を思い出す。

これはアニメ芸術の極北としか言いようがない。

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完成度の高さは「君の名は。」と双璧で2016年の夏と秋に生まれたことは、もしかしたらスタジオ・ジブリのクリエーター部門解散に伴う技術拡散の福音なのかもしれない。

しかし史実に基づくわずか80年前の、戦争に翻弄される日本の庶民を描く重さはこれまでのアニメにはなかった。海軍・軍艦の町、呉が美しい戦前回帰ではなく、メッセージのある反戦映画でもない。

 

少女の言葉、イメージ、体験の積み重ねから、自然と戦争を考える

壮絶な歴史の体験と、ゆるーい空想少女が大人になる面白さの絶妙なバランスというかアンバランスが心に刺さる。

 

音楽のコトリンゴは初めて聞いたが

この1960年代後半につくられたフォークソングが合っている。

「やりきれない」という庶民の想いがね。

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片渕須直なんて初めて聞いた。
庵野、新海だけじゃなく隠れた本物がまだまだいるようで邦画の復活元年だと思う。手塚治虫を第1とすると、第2世代宮崎駿の引退が、映画界にいい影響を及ぼしている気がする。(また長編復活するらしいが)

 

90点(冒頭20分くらい寝てしまい採点不可の為)

映画「ミュージアム」 大友啓史監督 小栗旬、尾野真千子、野村周平、市川実日子、松重豊、妻夫木聡

雨上がりの夕方ほど映画鑑賞に合う、と勝手に思っているのでいつものど田舎シネコンに行くと、”シーン”として誰もしない感じが背筋が寒い。

こういう時はサスペンス、スリラー系がぴったりだ。

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予告編がやたら「セブン」に似ていて、パクリかオリジナルか判定しようと「ミュージアム」にする。

今回は緑(狂気の色)をキーカラーにして、デヴィッド・フィンチャーイズムをベースに、イーライ・ロス的ホラーをふりかけてるような感じがする。

 

www.youtube.com

大友作品はNHKドラマ「ハゲタカ」「龍馬伝」を見ている。”スタイリッシュで音の使い方がうまいな”という感想を持った。 

映画は劇場では見たことがない。

何かの端末で「プラチナデータ」を見たが、なんとも中途半端なスッキリしない、カタルシスのない、切れも無いサスペンスドラマだった。

 

あらすじ)

雨の日にだけ発生する猟奇殺人事件。その方法が残虐極まりなく、犯人の異常性に震撼する。現場には、意味深なメモ「ドッグフードの刑」「母の痛みを知りましょうの刑」など意味深なメモが残される。

警視庁捜査一課の沢村久志は、ある共通性に気づき連続殺人事件として捜査を進める。その中で次のターゲットが沢村の妻と子供とわかり、独自のルートで徹底した手段をいとわない情報収集を敢行し、緊迫した捜査が続く。

ここから沢村VSカエル男との闘いが始まる。

人質に捉えられている妻と子供を救えるのか。

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雨、連続殺人、異常な手口、主人公の家庭内不和・・

物語の骨格はほぼフィンチャー「セブン」だ。

シーンのいつくかはほぼ模写している。

 

それは全然かまわない。しかし!

この刑事のあまりの稚拙さと人間的深みが全く見えない。

深みがない時は、経験豊富で知恵を持つリーダーが導き共感できるステージまで”変化”させるのが鉄則だと思うのだが・・

f:id:kudasai:20161116112017j:plain「セブン」で言えば、刑事と言うより詩人であり哲学者のサマセットだ。

天才俳優モーガン・フリーマンが「ミュージアム」にはいない。

黒沢の「野良犬」でいえば志村喬

 

高校生にも見える小栗旬はあまりの存在感が薄い。

言葉が軽い。

セリフだけがカッコつけている。

小栗の演技力と言うよりもキャスティングミスだし

脚本(大友啓史)がダメ。

  

映像は部分部分には確かにカッコいい。

が、この監督は自分の映像美に酔ってるな。

主人公の心情は伝わらないが、そこは十二分に伝わった。

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途中、音量が大きくてセリフが聞き取れない。

小栗に心情を吐露させるナレーションに至っては最悪だ。

主人公の内面の声を観客に聞かせてどうするよ。

だから感動を産まない。

 

急にレイモンド・チャンドラー要素を入れてもね。

それは主人公は本物の一匹狼で、仕事ができて、自己抑制的な

男の中の男だから観客は許す訳で。

 

語らせずに”見せて”観客自身に感じさせるのが映画だろうが

何にもわかっていない。

 

「ハゲタカ」ではそれが出来ていたけどね。

数話連続で尺がたっぷりとれ、優秀な脚本があって、視聴率とは無縁なNHKドラマだから可能だったのかな?

 

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(後姿が市川)

 

一部俳優陣はよかった。

捜査の指揮をとる松重豊(彼が主人公ならモーガン・フリーマンなしでもこの映画は成立できたと思う)の存在感。

これから彼は本当のモーガン・フリーマンになる予感がする。

極めて共感度の高い人だ。

グレゴリー・ペック級の日本のエンタメ界では唯一だ。

演技力というより人間力だと思う。

 

そして今花咲いている感がある女医の市川実日子のミステリアス感(彼女主演でミステリーが見たいな)

最近の妻夫木の凄味を今回は感じなかった。

羊たちの沈黙」犯人のようにもっと出番を減らして印象的なホラーシーンのみでよかったような。中途半端な描き方で家庭内トラウマの被害者像がぼやけた。

 

監督が見せたい映像を見せただけの、2時間のマスターベーションにつき合わされ、ただただ途方に暮れた。

当然のように共感も、カタルシスも、何もない。

金返してくれ。

 

5点(松重と市川が見れたので)

 

1日立って段々と腹が立ってきた。

Nスペの宮崎駿の怒りがよくわかる。

人間性の欠片もない犯人を見せるのにハンバーグミンチを持ち出した。

映像の為ならこんな下品で薄汚い作品を作る映画人は受け入れがたい。

極めて不快だ。

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次回は今年度最高傑作の名を欲しいままにする

この世界の片隅に

私の人生初、アニメで薄汚れた心が浄化されるか?

【NHK】Nスペで宮崎駿復活の予感、ドワンゴ川上量生会長プレゼン問題と鈴木敏夫Pの企み(現代の真田幸村か?)

君の名は。」大ヒットの影響で日本公開のアニメ映画興行収入リストを見せられることが何かと多い。

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(現時点で「崖の上のポニョ」を抜き第5位らしい)

 

2位のディズニー映画を除くと上は全部「宮崎駿」の凄さ。一人で述べ1000億円以上を稼ぎ出した。新海誠にとって宮崎は3枚のガラスの天井、次回作以降が比較されるのも仕方ない。

 

そんなヒットの天才が11月13日のNHK特集で見せた2つのアクションが面白かった。

1つは長編映画への復活宣言

もう一つは、ドワンゴ川上氏がプレゼンした奇妙なCG映像と宮崎のリアクション

 

詳細は↓で詳しく


アニメが好きではないので劇場で10本も見ていない。

宮崎アニメは「風立ちぬ」しか知らない。

主人公の声が「庵野秀明」だったから見た。

なぜ声優でもない監督の庵野か?

映画見ててよくわかった。本物のクリエーターに演じて欲しかったんだな。

24時間頭の中にあるイメージ、想い、妄想からまだ世に出ていない形あるものを作りだす、狂気の世界をあの不思議な甲高い声で説得力を持っていた。

映像も凄いけど、庵野でなければならないセンスのブレの無さ。

宮崎は揺るぎない哲学の人だと感じた。

そして引退宣言・・・それから3年。

 

その間何故かドワンゴ川上氏が鈴木敏夫プロデユーサーの見習いに入る。

スタジオジブリ」の哲学を十二分に理解していたことは明らか。

にも関わらずだ。

 

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180度真逆な方向でプレゼンして見せた。真意は明らか

「あなた(宮崎=ジブリ)とこの映像技術を使い(ジブリブランドで一緒に金儲け)制作・公開したい」と。

 

角川(出版)+ドワンゴ(ネット配信)+スタジオジブリ(映像制作)のスキームの背後には、これまで大ヒットジブリ配信を引き受けてきた東宝に、売り上げで大きく水を空けられている東映がいるのだろう。

 

そしてこの企みをNHKが放送し潰した。

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これ見たらジブリファンは協業を許さないからね。

 

民間企業グループの野望が、公共放送の放映一発で破壊された瞬間が描かれた訳だ。これは川上氏側と距離を置きたい鈴木Pの深謀遠慮に宮崎とNHKを使った(NHKも乗っかった)と見た方がスッキリする。同時に宮崎の長編復活の意欲を絵に撮らせ、ジブリ完全復活の期待値を上げる。

 

真田丸現代版を見せてもらった。

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長編制作を休業中で新規売上のないジブリは、過去のコンテンツ展開で莫大な収益を上げるパートナーがNHKなのだ。

 

川上氏は長く鈴木さんを側で見ていながら自らの企てを、鈴木Pのもっと大きな企てで消されただけではなく、同時に負の企業イメージをおわされた。

 

何故クローズでプレゼンしなかったのか?
宮崎駿は人類愛が最優先の哲学の人で、師匠の鈴木敏夫は弟子でも平気で潰す戦略家なのだ。

 

NHKの地上波、日曜夜9時のNスペこそ現代の関ヶ原だったのだ。

そこに奇妙な映像で乗り込んで、拒絶されると、奇妙な屁理屈で苦笑い、衆人監視で木っ端微塵にされた。最悪だが、視聴者的には実に面白い。

 

自らの企画の過度な自信が先を見誤りさせた。

企画は流れ、メディア企業が他のメディア内でリーダーの資質をも疑われる結果に。

 

鈴木さんは現代の真田幸村か? 恐るべし。

こだま著「夫のちんぽが入らない」問題からアダルトは強いと実感。エロ小説、カンパニー松尾、AVなどセックスを巡る旅に出る。

一か月前に「夫のちんぽが入らない」(略して「おちい」とする)

問題を記事にした。

略すのは、入力するのも、コピペも嫌だ。

(理由は私もこだまさんの夫さんと同じで「入らない」と以前言われた)

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このブログのアクセス解析を見たら8割に人が「おちい」経由で来たことがわかった。

samurai.hatenadiary.jp

”真面目に映画評書いてるのにアダルトかよ”

そういう思いも少しはあるがお蔭様で、来訪者数が軽く10~20倍も増え、結果読んで頂ける他の記事もでてくる訳だし。

 

性への興味があってこそ豊かさのバロメータ

政策的には少子化対策だし、社会的にはワークライフバランス

精神衛生上ではストレス発散だし

文学的には人間性の復活=文芸復興でルネッサンスだ。

 

人には大っぴらに言わない言えない領域もブログだと書きやすいしね。

誰にも過去があり、恋愛があり、セックスをする。

失敗も、成功も、恥ずかしさも、愚かさも、みじめさも。

 

性器がつながる目の前の異性、同性間には

マスターベーション、オナニーとは違う

忘れられない濃密な感情、愛憎があり

どうであれ圧倒的に意味が重い。

 

天才みうらじゅんの格言が忘れられない。

“人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた”

同感する私も、みうらじゅんになろう。

 

いわゆる一般の映画館で見られる映画評を中心に書いていくつもりだったけど、0点の映画も多いので(書いていて本当はつらいです。出来るだけいい部分拾って褒めてあげたいのだけどそれが見当たらないことが)記事の守備範囲を広げる。

 

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私の仕事はセックスを書くことです 花房観音 | レビュー | Book Bang -ブックバン-

 

性にまつわる映画、小説、アダルトビデオ、AV、レンタルDVD、グッズ、不思議な人達、スワッピングサークル、パーティー、ヨガ、瞑想、マインドフルネス、ポリネシアンセックス、出会い系アプリ、ネットのダウンロード、検索の仕組みなど、経験した、見聞きしたことを幅広く書いていきます。

 

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AV界の吟遊詩人 カンパニー松尾

 

「おちい」の出版は日本人のメンタリティにはびこる上っ面文化に風穴を開ける起爆剤となりうる。

映画「ジャック・リーチャー」公開初日最速レビュー トムクルーズ

今年、公開初日に見た映画に外れが1本もない。

「ボーダーライン」「シンゴジラ」「SCOOP!」と映画の至福に溢れた作品ばかり。

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そして今日は公開直前に必ず来日して笑顔ふりまく良い人アピールのトム・クルーズ主演、制作で前作「アウトロー」の続編だ。

 

この「アウトロー」が見事な出来損ないぶりにあきれ何度劇場を去ろうと思い直したか!元軍人のアメリカ流れ者の無職おじさんが、一人警察、一人裁判官やって悪人を殺し逮捕もされず去っていく。

何というご都合主義で、勧善懲悪にも程がある。アメリカは法治国家ではないのか?

近年まれに見る突っ込むのも疲れるくらいのくだらないシーンのオンパレードが逆に見事だった。

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続編が作られる不思議。

答えは「ヒットしたし、制作・主演がトムだから」それしかないだろう。

但し、前作から数年、反省もあるだろうしガラっと作風を変えてることをかすかに期待しつつ大都市福岡に出向いてみた。

なんと満席で最前列しか空いていないときたもんだ。

しかたないのでど田舎のいつものシネコンで夕方乗り込んだ。

そして見た。

どうしようもない、出来損ないパート2がそこにあった。

俺の時間を返してくれ。

 

あらすじ)

アメリカ軍の優秀な秘密捜査官だったものの、今では街から街へとあてもなくさまよう生活を送っているジャック・リーチャー(トム・クルーズ)。ある店でトラブルに見舞われた上に保安官に連行されそうになった彼は、自分をめぐる何かしらの陰謀が動きだしているのを察知する。やがて彼は、元同僚であったターナー少佐(コビー・スマルダーズ)を訪ねるが、彼女がスパイ容疑を掛けられて逮捕されたことを知る。ターナーを救い出して共に事態の真相を追ううちに、軍内部に不穏な動きのあることをつかむが……

 

要は、アメリカ流れ者おじさんが、逃亡させた女性兵士と、実の娘かも知れない10代少女と3人で逃避行しつつ、人を殺しまくり、真相を暴き、逮捕もされずまた流れていく、ターミネーター寅さんだ。

 

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まず前作からトムが随分中年太りになっている。

加齢とはそういうものだが、アクションの時は感じないが大人しくしていると何かおじさん臭い。ハリウッドスターで言えばハリソン・フォードイーストウッド、日本で言えば三浦友和などとても自然体だが何かおかしい。

余りに若々しいイメージがあるのでそこのギャップなんだろうね。

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 話は滅茶苦茶で支離滅裂

電話で話したことしかない女性を突然軍に尋ねる。

事件でもなく何のアテもなく。バカか、こいつは。

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しかも車を持っていない。中年ヒッチハイカーなのだ。

運賃も持ってないのか。

そもそも生活はどうするよ?

無職はいかんよ。オマエはまず働け。

 

トランプを支持したプアホワイト(白人貧困層)の典型にしたのか?

人のトラブルに顔を突っ込んで何を得る。

元祖流れ者、寅さんはテキ屋で生計を立派に立てていたんだ。

おまえが向う場所は職安のはずだ。

 

ハリウッドには物語の破綻を避け、スターの長所を生かし、アクションを効果的に見せ、無駄なシーンを省き、ラストに山場を作り、余韻を最大化させる数百人のシナリオドクターがいる。(日本では数人らしい)

 

大スター、トム・クルーズなら当然この仕組みに乗るだろうが、原作に引っ張られたのかも知れないが余りにひどい。

トムを出会う人間は、逮捕され、殴られ、殺される。歩く疫病神だ。

真相は暴かれめでたしめでたしなんだろうが1ミリのカタルシスがない。

また、無名の俳優陣による物語の面白さ満載のロジャー・コーマン的なB級映画の楽しさもない。

ただ俳優がなぐり合ったり、殺しあったり。

まさに空虚。

トム・クルーズの、トム・クルーズによる、トム・クルーズのためのクズ映画としか言いようがない。

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前作以上に途中で席を立ちたい。

”何で俺はいまここにいるんだ”、とクズ映画につきあう自分が自己嫌悪。

見たことを1分でも早く忘れたい。

 

【空しい】とはこの映画の感想の為にあるような言葉。

 

0点

 

次回は「ミュージアム」大友啓史監督、小栗旬尾野真千子

トランプ大統領誕生に思うヒラリー人気の無さ、ファーストレディの初ヌードなど家族(メラニア、イヴァンカ、ティファニー)の絆とマイケル・ムーアの洞察力

日本人の多くがヒラリー勝利を疑っていなかっただろうが
そこは何でもありのエンタメ大国

見事に期待を裏切らなかった。

しかしヒラリーは私用メールさえしなければね。

有権者の半分は女性なので普通は圧勝していたんだろうけど

人気がない、好かれない、特権階級、富裕層、プロ政治家・・

夫のビルは下半身は不道徳で脇が甘いので不倫はバレるが

上半身は好かれる。

なんだろう、持って生まれた星なんだろうね。

 

マイケル・ムーアは見事にトランプ勝利を明言していた。

ドキュメンタリーで本質を語る監督の示唆は鋭い。

www.huffingtonpost.jp

 

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(トランプ3度目の結婚式に参加したクリントン夫妻 左から次期大統領、対立候補で元ファーストレディ、その夫で元大統領、次期ファーストレディ)

 

ちゃんと裏で繋がっているね。

どっちも大金持ち、どっちも富裕層

デキゲームを1年以上やって皆を騙していたりね。

 

奥さんのメラニアさんがモデル時代のヌード写真が

ファーストレディ初ヌードと話題になっている。

 

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厳密に言えば、故ケネディ大統領夫人のジャクリーンさんが

石油王と再婚中に避暑地でパパラッチされたことはあるが・・

 

自ら金の為に裸になった最初の大統領夫人となる。

良妻賢母なんて言葉はアメリカで生きていくには

死語だろう。

 

独身時代のことでまさか将来ファーストレディになるとは

本人もカメラマンも誰一人思ってないのでビックリぽんだろう。

ゴージャスなカラダと言えばそうだけど・・

いろんなところが尖っていて何か不自然だな。

時々ヌード写真を撮っているが

日本女性が一番美しいと本当に思う。

 

しかし家族の絆は強いらしい。

才色兼備の見本

長女のイヴァンカさん

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2度目の奥さんとの間の

次女のティファニーさん

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モデル家系なのか絵に書いたような美女ばかり。

ハリウッドでTVドラマが始まるだろう。

 

 この異常に脚の長いファーストレディが

日本にもいつか来るから不思議。

 

しかし直接選挙でリーダーを選ぶ国が羨ましい。

 

我が国では憲法に指一本触れさせない勢力がいて

自衛隊がどこにも明記されていないの「合憲」という

しかもしっかりアメリカの核の下で守られているのにね。

自民から共産まで今まで真剣に変えようと論議さえしない

茶番国家が日本。

 

トランプ政権4年で、自前の安全保障議論が始まって欲しい。

「駆けつけ警護」がどうとか局所のみを語り大局、本質を避ける

 

憲法一つ変えれない情けないこの国は

これまで黒船、マッカーサーGHQとか2回の外圧でしか

変革できなかった。

新大統領は千載一遇のチャンスだと思うけどね。

 

この選挙中にアメリカ国内で作られた映画2本

機会があればぜひ見て欲しい。

 

堂々と批判する。

ほんとエンタメ界は内容はともかく健全だな。

 

トランプ批判の急先鋒マイケル・ムーアの「トランプランド」

www.youtube.com

 

クリントン批判の「クリントンキャッシュ」

www.youtube.com

映画「何者」 三浦大輔監督 佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生、山田孝之

映画の日、朝一で出かけたものの「男と女デジタルリマスター版」の冒頭からは間に合いそうもない。そこで何の予備知識もなく「何者」を見る。

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監督三浦大輔の「愛の渦」をネットで見ていて、スワッピングパーティーのシーンのリアルさに唸った。まさにああいう感じだ。

一般に考えられている異常性欲者のはけ口というよりも、もっと純粋にセックスと会話を楽しむ同好会だ。ただし相手のプライバシーに入り込まないとかいくつか暗黙のルールはある。相手のことを知りたいけれど詮索禁止、という機微がよく描かれた青春映画になっていて感心した。

その三浦の最新作なので期待値は上がる。

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あらすじ)

主人公二宮拓人は御山大学社会学部の大学生。演劇サークル「劇団プラネット」の脚本家でもあり、就活を機に演劇と決別。就活を通して仲間になった同大学4人と内定を狙ってチームを結成する。

神谷光太郎は元バンドマン。

田名部瑞月はアメリカ留学していた光太郎の元カノで、拓人は片思いしている。

小早川理香は瑞月の友達で英語が得意でエントリーシートやOB訪問などの活動にも余念がない。

宮本隆良は就活に興味がなくクリエイティブな活動で生きていきたいと思っている。

さて彼らは就職できるのか?

 

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邦画も洋画も最近やたらとテロップが多いとは感じる。

SNSを登場人物が日常的に使っていたり、事件のリアクションで第三者の反応を示したり。これがおじさん世代にはつらい。

テロップを読む時間が余りに短いので、それについていけない。

この映画では主人公がやたらと、周囲を気にして他人のチェックばっかりしている。またスマホ扱いが俺の10倍も速いので・・見てると腹が立ってくる。

しかし後半までにはそのスタイルにも慣れてくるからこれも不思議だね。

昨日見た「オーバーフェンス」もそうだったけど

若手俳優陣のアンサンブルが見事だったな。

佐藤健の観察者ぶり。有村架純のピュアな感じ。

特筆すべきはこの2人。

菅田将暉の遊び人&自由な感じが大人に変わる自然さと

二階堂ふみが秘密の暴露で見せる人間のいやらしい感じは只者じゃないね。

この2人はぜひスクリーンで見たいな。(彼らは芸能界に就職できてよかった)

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デジタルシーンの性急さにくらべると日常は敢えてゆっくり進む。

しかしラスト10分の面白さへの布石であった。

二宮拓人のこころの因数分解

職業脚本家を就活であきらめた演劇に仕立て

クリエイティブ界のキーワードかどうかは知らないが

「頭の中ではすべて傑作」の意味を一発でわからせた

舞台人三浦の演出の憎さ

デジタルに頼らないアナログ手法で舞台の外に出る必然を示す。

 

その時にのみ

「青春が終わり、人生が始まる。」

のだと。

 

自意識が異常にめんどくさい大学生たちの

「大人」の階段を昇る姿の本質を捕まえている。

久しぶりに映画で眩暈がした。

 

三浦大輔恐るべし。

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95点

 

”テロップをもう少しゆっくり見せろ”という意味で、実質は100点

 

次回予定 「この世界の片隅に」(片渕須直監督 声:のん:能年玲奈改め)