批評サムライ  ~映画・ドラマ・小説・エンタメ ★斬り捨て御免!~

責任が何でも曖昧なこの国で娯楽くらいは白黒ハッキリ!大作も小品もアダルトも興業収入も関係ない。超映画批評にない「上映途中の居眠り」が特技。シネマハスラー宇多丸氏、たまむすび町山智浩氏、シネマストリップ高橋ヨシキ氏を見習って公開初日最速レビューを心掛け評価は点数制。地方在住フォトグラファーがど田舎のシネコンでネタバレあり&あらすじ&見たまま感想ブログ

映画「バイス」大統領は副大統領に操られ、副大統領は妻に操られながらも家族を大切にする一方、青春をこじらせて政治でチャンピオンになった陰気くさいロッキー映画。新感覚コメディの秀作

ダークナイトバットマンターミネーター4のイケメン俳優クリスチャン・ベールがデブ・ハゲ・小心の副大統領を演じる。

予告編では、ブッシュとの掛け合いのコメディ度が最高に面白そうで公開初日にいつものど田舎シネコンで拝見。

f:id:kudasai:20190409232627p:plain

あらすじ)

60年代半ば、酒癖の悪い電気工ディック・チェイニー(クリスチャン・ベイル)は、恋人のリン(エイミー・アダムス)に激怒され、彼女を失望させないことを誓う。

その後、下院議員のドナルド・ラムズフェルド(スティーヴ・カレル)のもとで働きながら政治のイロハを学んだチェイニーは、権力の中に自分の居場所を見いだす。

そして頭角を現し大統領首席補佐官、国防長官になったチェイニーは、ジョージ・W・ブッシュ(サム・ロックウェル)政権で副大統領に就任する・・・

 

よく存命する実在の人物をエンタメ映画でこき下ろすとは羨ましい。

(日本版バイスなら、ぜひ副総理・麻生太郎物語でコケにして欲しい。同じ福岡県人としてほんと恥ずかしい)

f:id:kudasai:20190409233450j:plain

それにしてもクリスチャン・ベールは凄いな。

ゴッドファーザーマーロン・ブランド級だけど彼は青年期は演じてないのでそれ以上だ。髪の毛から足先までなりきった。

f:id:kudasai:20190409233803j:plain

これまで見てきたハリウッドコメディは、マッチョで単細胞が多かったが・・・

小心で、何考えているかわからない、心臓に爆弾を持つ、子供思いの屈折男の喜怒哀楽、悲哀がビンビン伝わってくる。太宰治小説の登場人物みたい。

細かいアメリカ政治は知らないが、副大統領になった2000年以降はテロとの戦いの時期なのでここ20年の現代史(=自分史)の内幕なので面白くない訳がない。

f:id:kudasai:20190409233602j:plain

妻役が大好きなエイミー・アダムス

野心旺盛、回転が速く、夫より社交性があって、話がうまく、華がある

明らかに夫よりも政治家向きな秀才妻をまんま演じる。

ここ数年、彼女はハズレがない。

f:id:kudasai:20190409235549j:plain

ジョージ・W・ブッシュ役のサム・ロックウェルは傑作

こっちのコメディ度の方が高い。

何にも考えていない操られ男として。

2017年「スリー・ビルボード」のメンヘラ警官から大統領まで。

こういう曲者の脇がこの映画は多くて素晴らしい。

f:id:kudasai:20190410000050j:plain

このドラマは、愛国者である軍人の事故によって心臓移植に成功した”ハートのない”男ディック・チェイニーの政治版ロッキーだ。

「ロッキー」は万人に支持されるが、チェイニーは彼の野心の成就によって、武器製造企業が儲け、多くのイラク市民と軍人が死んだ。

辞めて10年たってその内幕がコメディ映画として明らかになる。

映画と政治がつなっがっているアメリカ。

ここは素晴らしい。

 

80点

 

 

 

映画「THE GUILTY/ギルティ」驚異の満足度100%の宣伝文句に乗せられるも、「密室」過ぎて酸素も感動も不足に。

3月公開(九州・福岡)はいつもハリウッドバカ作品と、邦画のお子様映画が多い中、ヨーロッパ系サスペンスとは珍しい。

「驚異の満足度100%」これは凄そうだ。

大好きな北欧デンマーク映画だし、緊急事態対応映画は時間軸が一通でわかり易い。

f:id:kudasai:20190409135758j:plain

あらすじ)

 アスガー・ホルム(ヤコブ・セーダーグレン)はある事件をきっかけに警察官として一線を退き、緊急通報司令室オペレーターとして、交通事故による緊急搬送を遠隔手配するなど些細な事件に応対する日々を過ごす。

 ある日、今まさに誘拐されているという女性からの通報を受ける。車の発車音、女性の怯える声、犯人の息遣いなど、微かに聞こえる音だけを手がかりに、アスガーは事件を解決することができるのか・・・

f:id:kudasai:20190409140524j:plain

特筆すべきはこの映画のシーンは3つしかない。

同一ビルのオペレーター室、その奥の個室、および廊下

 

家族も恋人も出てこないので職場の同僚しか現れない。

同僚とのコミュニケーションが無いし、関係は悪い。

ジョークもなければ、回想も何もない。

時間軸は一通なのでわかりやすい。

この潔さ。

電話の声だけが手掛かりで犯罪を防ぐ。

映画は会話だけを映すのでアップばかり。

会話内の犯罪を縦糸に、自分の今の状況が終盤に絡んでくる。

イデアの勝利。

f:id:kudasai:20190409140541j:plain

 

だけど、全編このトーンだと物足りない。

「抜けがない」のだ。

抜けないドラマを作ったと言われれば仕方ない。

ドラマには何らかの「青空」が欲しい。

1シチュエーション映画としては革新的かも知れないが「手法」は評価されても

感動にはならない。

 

60点

 

ただし、この手の映画が世界的にどんどん増えていく予感はある。

 

SONYのα7R3などあれば大スクリーンのクオリティには十分だ。

イデアさえあれば、小人数、セットなしのオールロケか室内で1か月で撮影完了。Macbookで編集、音入れなど数か月で終わる。

予算は100万以内、出来上がってからドラマをテレビ局や映画会社に売る。

 

「令和」はミラーレス一眼の本格的な普及から

静止画撮って「インスタ」アップよりも、その圧倒的な軽さから

動画撮影で誰でも個人映画作家となり世界中で「カメラを止めるな」的な作品が見れる。

映画「運び屋」我らがクリント・イーストウッド監督・主演の傑作!映画を愛し、映画に愛された最後のハリウッドスターにして孤高の映画詩人!頼むから新作を見せ続けて欲しい。アニキは世界に唯一無二なんだから。

またイーストウッド映画が見れる、しかも主演も兼ねて。

それだけで胸がいっぱい。

予告編から傑作の匂いがプンプンしていた。

ダータティハリーのイーストウッド=麻薬の運び屋が余りにマッチしないだけに興味深々で公開初日、いつもシネコン、いつもの場所で観賞した。

f:id:kudasai:20190311162211j:plain

 

去年も「15時17分、パリ行き」を同じ劇場で見たのだ。

言っとくけど今年5月で89歳だよ。

「老醜」と言わば言え。

こっちも同じ数だけ歳をとる。

観客がおじさん・おばさんになっていくからこそ、90年代以降のイーストウッド現代劇(西部劇でも「許されざる者」は例外)の2度目鑑賞が身に染みるというものだ。

f:id:kudasai:20190312224840j:plain

あらすじ)

家族と疎遠になり孤独に生きる90歳の男アール・ストーン。

花を売る事業に行き詰まり自宅を差し押さえられた時、車を運転するだけで多額の報酬が得られる仕事を持ちかけられる。だが、その仕事とはドラッグの「運び屋」だった。

仕事ぶりから麻薬組織の幹部から“おじいちゃん”を意味する“タタ”という愛称で呼ばれ、警察の捜査網をくぐり抜けるアールは、“伝説”の運び屋と呼ばれた。

気ままな運転で大量のドラッグを運び警察を翻弄、巨大麻薬組織からも一目置かれた史上最高齢の運び屋アールに、遂に警察の捜査の手が迫る。果たして男は逃げ切れるのか・・・・

 

映画は見事な起承転結を見せてくれる。

起)

冒頭から花と女性に囲まれてご機嫌なイーストウッドが写る。

もうこれだけで幸せだ。・・・グラントリノ以来

一匹狼が真骨頂だからこれはめったにないキャラだ。

楽しそう。

f:id:kudasai:20190312225409j:plain

 

しかし・・・

ネット時代に取り残されて、人生の秋に経済的に堕ちていく。

家族との疎遠さもわかってくる。

このあたりの何気ないカットが無駄、無理、ムラなくてドラマのお手本。

ほんと職人技。

f:id:kudasai:20190312230408j:plain

承)

孫の結婚式で出会った男ら運び屋の誘いが・・・

運ぶだけで大金が入る。友人や家族にも渡せる喜び。

犯罪と知りながらダークサイドに慣れ、再び「生きがい」=春を見出す老人。

運び屋車の空撮だけでロードムービーになってリズムが生まれる。

いいぞ、クリント。

もう共感してる自分がいる。

f:id:kudasai:20190312230714j:plain

転)

ところが組織はリーダーが変わり監視が付き好き勝手させない。

警察はその存在をかぎつけ追ってくるサスペンスが入る。

共感してるのでいつ捕まるかドキドキする。

妻にも異変がおきて危機に。

麻薬マフィア、警察、家族の三角形の中で思い道理にいかなくてがんじがらめになっていく90歳なんてたぶん映画史にない。

f:id:kudasai:20190312231306j:plain

結)は劇場で観ましょう。

 

対立、追っかけ、成功、失敗、脅し、友情、愛情、破綻etc

ドラマセオリー全部入りを過不足ない演出で切り取って

ハリウッド最高齢の主演男優として、人生の秋と春と冬を演じる。

ラストシーンに「これでいいのだ」と言うしかない。

 

ここ10年で10作の監督作品をリリースしている。

たぶん来年も新作を真っ先にスクリーンで見たい。

f:id:kudasai:20190312231858j:plain

ドラマなんてこうやって作るんだぜ、と余裕で笑ってる感じがいい。

 

特撮も、怪獣も、ホラーも、エロスもいらない。

ハリウッド一でもアメリカ一でもなく

この人が世界の映画の頂点なんだと、今回も思う。

 

文句ない100点

f:id:kudasai:20190312233452j:plain

 

 



 

 

 

 

 

 

 

映画「グリーンブック」60年代、アメリカ南部、人種差別、ロードムービー 好きな要素全部入りで堪能した。

前情報からすると、60年代、アメリカ南部、人種差別、ロードムービーetc

 

70~80年代に青春を味わった者としては過去の名作がどうしたって蘇る。

イージーライダー」「ハリーとトント」

ストレンジャー・ザン・パラダイス」「パリ・テキサス

ミシシッピー・バーニング」「スケアクロー」

それと我らがイーストウッド映画の数々・・・

どうしたって心の琴線刺激映画に間違いないだろ。

f:id:kudasai:20190308181420j:plain

アカデミー賞を獲ったから見に行ったんではなくて、このポスターの奥深さ。

車のボディもシートも。2人のシャツも、空の色だってこのブルー

2人の肌の色が違うだけ・・・

わかってるな、この監督。

 

いつものど田舎シネコンに7割の入りで、いつもの席についた。

f:id:kudasai:20190308181433j:plain

ガサツな運転手&ボディガードのイタリア系が憎めない。

どう見たって教養が低いか無い。

ガテン商売、家族思い、よく笑い、よく食べる。

70年代のアンチヒーローの一人、ジーン・ハックマン風で

共感が集まる役者を選んだもんだ。

 

対する雇い主のピアニストの

教養の塊りで、好き嫌いハッキリして、しかしミステリアスで

何か深刻な問題を抱えている感がわかってくる。

この道中のやりとりが何とも愉しい。

彼らと一緒に旅してるリズムが確かにある。

f:id:kudasai:20190308181429j:plain

運転手が各地で出くわす黒人であるが故のトラブルを、いろんな手を使って守っていく時のサバキ方、世渡りの巧さがわかりやすい見せ場。

一方でピアニストは旅先の事件の合間に少しずつ運転手に、被差別のつらさを吐露していく。

その心の開きが最終版にハッキリ見えてくる。

旅はかならず終わる。

運転手は愛する妻や家族のもとに。

ピアニストは誰もいない部屋へ。

ラストシーンはお約束だな、あれがいい。

f:id:kudasai:20190308181425j:plain

ロードムービーは本当にいい。

100点

 

 

 

 

 

映画「バーニング」ユ・アイン、チョン・ジョンソ主演 イ・チャンドン監督が村上春樹をどう映画化したのか気になったが・・・

いい歳して村上春樹のファンと言いたくないが「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」は素晴らしかった。村上は殺しのないミステリーを書けばいいのに。

1Q84」は理解不能、「騎士団長殺し」に至っては・・・とんでも本の括り。

でも次作を気になってしかたない。他の作家の誰よりも。

f:id:kudasai:20190206151946j:plain

彼の原作映画は「トニー滝谷」「パン屋襲撃」「ノルウェイの森」と見ているが原作をなぞった退屈な映像化で感心しない。「トニー滝谷」だけが、イッセー尾形の名演で救われた感があった。

今回はどうだろう。舞台を現代、韓国に置き換えて、都市と農村を行き来する若者の悲鳴が聴けるのか・・・・いつもの巨大スーパーに行ってみた。

冷え切った日韓の反映か、私を含めてわずか3名。

上等だ。

f:id:kudasai:20190206153447j:plain

あらすじ)

アルバイトをしながら小説家を目指すジョンス(ユ・アイン)は、ある日、偶然幼馴染のヘミ(チョン・ジョンソ)と出会い、アフリカ旅行へ行く間、飼っている猫の世話をしてほしいと頼まれる。やがて帰国したヘミはアフリカで出会ったという謎の男ベン(スティーブン・ユァン)をジョンスに紹介する。

その後、ベンはヘミと共にジョンスの家を訪れ、自分の秘密を打ち明ける。「僕は時々ビニールハウスを燃やしています……」ジョンスが恐ろしい予感を抱き始めるなか、突如ヘミが姿を消す・・・

主役の青年がいいね。

作家志望ながら無職、都市と農村を行ったり来たり、家族はバラバラのまだ何者でもない浮遊感。決してハンサムでない、オーラの無さ、将来も無さそうな若者の不安と恍惚が窓越しの都会の風景から見えてくる。

f:id:kudasai:20190206154935j:plain

彼の近所に住んでいたヒロインの田舎娘ぶりも好感が持てる。

角度によっては時々美人に見える程度のバイト娘。日本のどの都会にもいる、なんちゃって地方出身者。

スクリーンで初めて韓国女性のヌードを見たが痩せっぽちでセクシーとは程遠いが夕日に舞う姿はイマジネーションを誘う。

f:id:kudasai:20190206155042j:plain

そして謎の金持ち。

家族持ちで、職業不明、漱石曰くの「高等遊民」か。

このエサさわやか笑顔の廻りにいる取り巻きが実に気に食わない。

そんな3人のうろうろするスケッチ物語。

f:id:kudasai:20190206155829j:plain

途中まで本当に退屈。何も起きない。

村上のファンでなければ映像の深見なんかしやしないので苦痛だろう。

 

が、「納谷に火をつける」告白からサスペンスが始まる。

村上作品としては最高の出来栄えだと思う。

メンドクサイ、アオハル映画

f:id:kudasai:20190206161223j:plain

 

傑作でもなく万人受けもしない。

小説と同じで、ツボを刺激するだけで完治しないマッサージの様なね。

 

70点



 

 

 

映画「蜘蛛の巣を払う女」クレア・フォイ主演 北欧ミステリー「ミレニアム」の第2弾はご都合主義の極みで女トム・クルーズ大活躍でゴールを間違えた「ドラゴン・タトゥーの女」シリーズ唯一の失敗作。

今年最初の3連休の最後に、新年最初の映画館開きとなった。

公開前になるとやたら主演者がバラエティに出まくる邦画は見たくない。

「バナナ」がどうしたとか、10代のラブコメ、アニメが多くて困った。

唯一「蜘蛛の巣を払う女」しかなかった。

近所の巨大スーパーのシネコン13時、20人くらいで観賞スタート

(ネタバレあり、注意)

f:id:kudasai:20190115131141j:plain

前作の「ドラゴン・タトゥーの女」(2011)は好きだった。
デビッド・フィンチャーのセンス溢れたハッカー表現、北欧の風景(都市も地方も)、タイトル・・・21世紀の現代映画と納得。

その数年前に小説「ミレニアム-1-」が楽しめた。

北欧ミステリーが好きなのは中学の時にはまった「刑事マルティン・ベック」が好きだったから。ホームズ、ポアロなど犯行や犯人誰?など本格物には興味がなく、怪人20面相も飽きて、社会派に目覚めた先が70年代スェーデンの都市生活を活写したこのシリーズだった。

f:id:kudasai:20190115134026j:plain

「バルコニーの男」が特に傑作だった。松本清張の陰湿なムラ社会とは違う、福祉先進国の自立した夫婦関係、職場の人間関係が目からウロコだった。

「笑う警官」「ロゼアンナ」・・・角川文庫の色つきカバー表紙がクールだった。

それ以来北欧ミステリーは小説も、ドラマも、映画も、インテリアも、家具も、好きになった。

 

次にスェーデンのTVドラマ版も良かった。

美しくなく無愛想で頭の回転が速く傷つけられるがタフで不死身。そして誰といてもいつも孤独。主演ノウミ・ラパスの真骨頂。

だからトリプルでこのシリーズは評価してきた訳だが、さて本題。

f:id:kudasai:20190115134927j:plain

あらすじ)

特殊な映像記憶能力を持つ天才ハッカーで、パンク風の特異な風貌、そして背中にドラゴンのタトゥーを入れた強烈な個性の持ち主リスベットは、天涯孤独で、壮絶な過去を持つ。その過去が、あるキーパーソンによって明らかにされていく……。

自らの裁きによって悪を正そうとするリスベットに対し、「皆を助けるのに、なぜあの時……私だけを助けてくれなかったの?」と意味深な言葉を彼女に投げかける謎の女カミラ。

彼女もまた、凄惨な過去と秘密を背負っていた。二人の関係を紐解きながら、リスベットはジャーナリストのミカエルと再びタッグを組み、新たなる犯罪組織の陰謀に迫る。

 

リスベット役をどうしてもノウミ・ラパス、ルーニー・マーラ(2011) 比べてしまう。


[字] ドラゴン・タトゥーの女 - サランデル役を探して

 

ミハエル役が昨年感心した「ボルグ/マッケンロー」のボルグ役スベリル・グドナソンだと後で気づいた。

双子の妹を演じるシルヴィア・フークスは絵に書いた様な北欧美女で雪がよく似合う。

脇の役者はハリウッド映画に馴染みの薄いユーロ系で達者だ。

f:id:kudasai:20190115141910j:plain

孤立を演じてはいるものの主演クレア・フォイにはなんか違うな。

国家機密をリスペクトが盗み、悪党になった妹一味との対決なんだけど、注射打たれても、即薬飲んで起き上がり、車運転して、煙突登ってと、トム・クルーズ「ミッションなんとか」以上のスーパーヒロインぶりに戸惑ってしまう。

こういう映画を見に来たのではないのに・・・・

 

f:id:kudasai:20190115145118j:plain

アメリカからデータを盗まれたNSAアメリカ国家安全保障局)職員が一人で、リスペクト周辺を捜査するが彼女に助けられる空港の脱出劇はさらに醜い。天才ハッカーが建物のコンピュータシステムに侵入しドアの開閉を自由にするのはよくある手だけど、秒単位にここまで完璧だと映画のゴールを別のところに連れていく。

この映画はアクション活劇なのか?

 

終盤、リスぺクトが絶体絶命でまたもNSAがスナイパーとして大活躍。

なんのことはない女トム・クルーズと黒人トム・クルーズで組織を壊滅してしまった。

f:id:kudasai:20190115145443j:plain

スェーデンの公安のNO2の美人役人も、悪党を手を組んだあげくに殺される。

観客の意外性を高めるための何でもあり感が酷い。NO2が悪党の城になんか行くものか。

私の中では3回も満足させてもらったので

構成として蜘蛛の巣の様に絡まった糸が収斂されてクライマックスを迎え

それは、リスベットへの共感=カタルシスで第3弾へ続く・・・・

当然そうなるものと期待していたが。

 

そもそも皆が狙う「データ」が国家にどんなに必要なのかの提示がないので物語の背骨(縦軸)になってない。

横軸としてリスペクトの過去(運命が別れた姉妹の相克)が十分に描かれない。

補助軸として1作から唯一の男友達ミハエルとの恋愛もない。

 

演出のセンスは感じられず、登場人物の誰にも共感はできず、1作からの繋がりは無視され、北欧デザインも堪能できず・・・

2時間のご都合主義サスペンスを見せられた先には、落胆しかない。

背中に「金返せ」のタトゥーでも入れたろか。

 

ドラゴン・タトゥーの女」シリーズ唯一で初めての失敗作。

 

0点

 

 

 

第3回 批評サムライ 映画大賞2018発表

 謹賀新年

このブログもなんだかんだ-足かけ4年になります。
昨年はここ最近一番映画見てない年でした。

見たことも忘れつつある50代、情けない。

 

対象)

2018年に見た映画(邦画・洋画)、TVドラマ、アダルト etc

新作も旧作も、初見も再見でも。劇場公開、YouTubeAmazonプライム etc
レンタルDVDでも。デバイスはPC、タブレット、iPhone etc

鑑賞したもの全てが対象です。

 

【映画賞】

グランプリ作品賞 「カメラを止めるな!

f:id:kudasai:20190114205009j:plain

物語の面白さはただ単にどんでん返しとかでなく、2回目以降も楽しめること。
その為に、監督、役者、スタッフの「必死」さがこっちに伝わってくる熱気が見えること。

監督賞 上田慎一郎カメラを止めるな!

脚本賞 上田慎一郎カメラを止めるな!

何よりも、東京から観客の熱気が、九州の地方都市までじわじわ広がって来た(しかもネタバレ配慮した)邦画応援の機運を感じた稀有なイベントになったことが嬉しかった。

 

主演男優賞 ベニチオ・デル・トロボーダーライン:ソルジャーズ・デイ

f:id:kudasai:20190114215107j:plain

立ち姿だけで存在感がもうサムライ!

全盛期の三船敏郎感に、ラテン中南米人(プエルトリコ)独特のセクシーさとプラスされてアクションしてもしてなくてもオーラしかない。

 

主演女優賞 エイミー・アダムスノクターナル・アニマルズ

f:id:kudasai:20190114221221j:plain

見る前から綺麗なのはわかっているが、この映画では妖しさ満開。

都会で生きる今の女、回想されるかつての女、砂漠で彷徨う劇中劇の女の3役を堪能できる。もう溜息しかない。

 

助演男優賞 青木崇高(来る)

f:id:kudasai:20190114223251j:plain

何ともと不快な男を愉しく演じて脇役としてブレークの予感。原田芳雄的な殺気を久しぶり感じた。

 

助演女優賞 松たか子(来る)

f:id:kudasai:20190114223505j:plain

独壇場で主演を喰うオーラ。

突如女王あらわれて中島ワールドが動き出した。

 

竹原芳子(カメラを止めるな!

f:id:kudasai:20190114224005j:plain

出てくるだけで爆笑。場をほんわかに支配する。

元お笑い芸人の凄みを見せた。

 

特殊演技賞 トニ・コレットへレディタリー/継承

f:id:kudasai:20190114224358j:plain

次から次に来る出す変顔オンパレードは一見の価値がある。

このエネルギーは凄い。

 

撮影賞 「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ

砂漠にマシンガンは合う。 命のやり取りが見える。

 

音楽賞 「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ

18年2月他界したヨハン・ヨハンソンに代わり師弟筋のヒドゥル・グドナドッティルが麻薬、砂漠、殺しを見事にイメージさせる。

 

音響賞 「ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男

随所に北欧ぽい重厚感が画面を引き締める。

 

特別期待賞 松岡茉優万引き家族

f:id:kudasai:20190114230340j:plain

JKビジネスに現れた松岡茉優は天使だった。

トップ7

・「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」 

・「来る」

・「万引き家族

・「ボヘミアン・ラプソディ

・「ノクターナル・アニマルズ

・「スリー・ビルボード

・「ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男

 

ワースト6

・「へレディタリー/継承」 

・「億男

・「ザ・プレデター

・「モリーズ・ゲーム

・「クソ野郎と美しき世界

・「孤狼の血

 

特に印象的なのは「クソ野郎と美しき世界
業界向け狙いと短すぎる限定上映の可笑しな世界が邦画界でまかり通る。

平成でこういうのは終わって欲しい。