もしも村上春樹の新刊「騎士団長殺し~きしだんちょうごろし 1部顕(あらわ)れるイデア編・2部遷(うつ)ろうメタファー編」の物語やあらすじの主人公があなただったら? 2017年2月24日発売
出版不況の中、この人の新刊は2冊で100万部スタートだよ。
この人気凄いね。
前作「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」(2013年4月12日)は予約だけで50万部。当日は午前0時販売開始に行列ニュースになんと暇な人だろうと思っていたが・・・読んでみて驚いた。
あらすじ)
多崎つくる、鉄道の駅をつくるのが仕事。名古屋での高校時代、四人の男女の親友と完璧な調和を成す関係を結んでいたが、大学時代のある日突然、四人から絶縁を申し渡された。 何の理由も告げられずに。
死の淵を一時さ迷い、漂うように生きてきたつくるは、新しい年上の恋人・沙羅に促され、あの時なにが起きたのか探り始めるのだった・・・
面白いじゃないか。
これまで村上の描く青年のかっこつけた青春は、背中がかゆく好きになれなかった。きどったセリフも慣れてくると効果は逆効果。全編に斜め45度で生きてるようなニヒリズムに腹が立てた。
春樹は(百田)直樹を見習って欲しい。かゆいところは微塵も見せず、伏線回収のプロ作家魂を。読者を異次元へ確実に連れて行く。
しかしこの作品で、いつも垂れ込める春樹雲を乗り越え、青空を見たような爽快感があった。春樹の青年期が終わったか、と安堵した。
嬉しすぎて2年前に六甲山登山に行ったときに、神戸のゆかりの地を巡る計画をしたが、いい歳したおじさんがハルキストでもあるまいに・・・と断念したことを思い出した。
元町とか三ノ宮をブラタモリいてたら古い喫茶店が多くてね。トランプ帝国のシアトル系外資サービスが嫌いなので、珈琲好きにはたまらない町だね。老後には神戸に住みたいなと本気に考える。
もしかしてその前作「1Q84」(2010)から青空が見えていたのかも?
勝手に期待して全3巻読んで見たものの、霧深い青年期の森を彷徨わされた。
さて「騎士団長殺し」
第1部 顕(あらわ)れるイデア編
第2部 遷(うつ)ろうメタファー編
イデア? メタファー?
おいおい、また春樹雲たち込めるのか?
図書館予約は2年待ちだろう。
確かめるには買うしかない。
次回)
個人的に2017出版界最大のニュースは、70年代から私が一番読み込んだある作家のシリーズ再開だった・・・