映画「ワンス・アポナ・タイム・イン・ハリウッド」何をやってもタランティーノ!人気俳優の興亡と60年代カリフォルニアの狂気が交わるサスペンスが秀逸!ブラピのカッコ良さが特筆。
何をやっても魅せてくれる我らがタランティーノ
今回はどう楽しませてくれるか?
60年代のハリウッドが舞台で・・・と言っても題材なんてどうでもよろしい。
西部劇でも、ナチハンターでも・・・結局はサスペンスあり、活劇あり、恋愛があって・・濃い人間ドラマになっているんだから。
ディカプリオとブラピのW主演?
「タイタニック」以降どうもディカプリオ主演映画が見てるとつらい。
日本で言うと「藤原竜也」で、ハンサムで頼りがいがある活躍するけどなんか共感できない、みたいな。
ブラピは頼りがいがあるがクールで余裕がある感じ。
この2人がタランティーノがどう使うか?
いつものシネコン、いつもの辺りで見て来た。
あらすじ)
1969年、ハリウッド。俳優のリック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は、テレビから映画へのキャリアチェンジがうまくいかずに焦っていた。彼のスタントマン兼付き人のクリフ・ブース(ブラッド・ピット)は、変わらぬ忠誠心をリックに捧げ続けており、2人は固い友情で結ばれていた。リックは隣に越してきた、時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と妻で女優のシャロン・テート(マーゴット・ロビー)に刺激を受け、イタリアで数本のマカロニ・ウェスタン作品に出演する。半年後、帰国したリックが自宅で過ごしていると、ヒッピー風の若者たちが運転する車が私有エリアに入り込み、リックとの間にトラブルが発生する・・・
人気俳優の興亡の個人史がケレン味たっぷりで描かれる。
その職場であるハリウッドの喧騒のアクセントに70年代の世界的ヒーローになった役者ばかりでうれしい。
10代の日本の少年洋画ファンを熱狂させたブルース・リーと、キング・オブ・クールのスティーブ・マクイーン。俳優がまたよく似てる。
映画小僧タランティーノの編集が実にテンポ良く飽きさせない。
人気スターが仕事を失う恐れを、ディカプリオがいい味を出している。
さすが主演の貫禄だ。
ここからが本領発揮。
60年代カリフォルニアに蔓延していたカルト宗教がスタントマン兼親友役のブラピに絡んでくる。ここからのサスペンス、ダークな匂いこそこの映画の神髄だ。
ここを描きたかったんだろうな。
街にあふれるヒッピー風の若者の群れ
郊外で独自のコミューンを作り、厳密なヒエラルキー組織を持つ。
リーダー(チャールズ・マンソン)は敢えて登場させない不気味さが人格支配されている恐怖を物語る。
このコミューンにやってくるブラピのカッコ良さ。
理解できないカルト集団VSブラピ
悪党だらけのバーにやってくる一人のカウボーイみたいな。
少ないセリフ、余裕のある態度、無駄のないアクション
マクイーンの傑作「ゲッタウェイ」見てるようなキレの良さ
ブラピ主演映画の中で最高にカッコいいシーンだ。
ラスト40分で主演が完全に入れ替わる。
この後、ロマン・ポランスキー監督、シャロン・テート夫妻に忍び寄る悲劇へと進む直前に、隣家に住むブラピと再度対決する。
2本の別の映画みたいだ。
前半はヒューマンコメディ、後半がカルト集団サスペンス
50代になったブラピは本当にいい俳優だ。
共感度が増した。
特にタランティーノと組んだ時にね。
シャロン・テート殺害事件をモチーフに「虚栄の街」に巣食う異常な人たちをスケッチして見せた新感覚エンタメが登場した。
タランティーノとコーエン兄弟の新作はこの新感覚がいつも楽しめる。
題材はなんでもいい。必ず最高の料理にしてくれる。
映画を愛し、映画に愛される稀有な映画作家だ。
90点