映画「ブレードランナー2049」公開初日最速レビュー 35年待ってドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が全く違うベクトルで途方に暮れる。レプリカントの哀しみが脇に置かれ、映像美の押しつけが鼻につく。
遂に待ちに待った映画が公開された。
70年代を少年期で過ごした私とSFとの出会いは何と言っても書店で見かけた生頼範義(おおらい のりよし)の文庫本の表紙イラストだ。未来がリアルで哲学的で時間軸が見えて強い生命力を感じる。
未来が手の平の上にある不思議。一流のクリエイターの仕事を感じた。
この本物感。
後に様々なイラストtレーターに触れるが私には世界一の画家だ。
その世界観に近いSF映画を見たことがない。多くが子供だまし。
唯一「エイリアン」一作目に本物の匂いを感じた。
そして1982年に同じリドリー・スコットが「ブレードランナー」を見たときに生頼範義の精神世界が初めて実写映像になった喜びは凄かった・・・
英語にない、「切ない」感が全編に漂う。
街も、雨も、レプリカントもブレードランナーもみんな泣いてる感覚
レイチェルが綺麗でかわいそうで。
ハリソン・フォードが最も渋かった時代
その続遍が公開された。
期待値はMAXだ。
いつものシネコンの金曜17時半は観客が余りに少ない。
前作見てないのだろうか?
ヴィルヌーヴ監督の力量はわかっている。
冗長なシーンがひとつもなくてジョークも笑いもない。
とてもシリアスで多少息苦しいがシンプルで誠実
他の作品も含めてラストに感動が待っている稀有な映画作家だ。
そんな21世紀のキューブリック(かもしれない)ヴィルヌーヴの新作が「ブレードランナー」とは・・・
レプリカントVSブレードランナーの死闘が今回はない。
代わりに、主人公の過去、前作の主人公デッカードのプライベートが解明の旅にでる。
それぞれのシーンが冗長だ。
ゆっくり丁寧に描いているが核心がないハードボイルド映画のイメージを大事にし過ぎているような。
見たこともない美しい画面が散りばめられ巨大なヌードが歩く廻る。
街の広告か? 主人公の心象風景の幻覚か?
よくわからない。
どこを切り取っても静止画としては名画でも、動画としてどうなのか?
なんか余韻がないんだな。
バンゲリスの愛のテーマ以外は、大作映画専門のハンス・ジマーのスコアが効果音としては良いがなんら印象を残さない。
出来損ないでは決してないし、動画配信でもう一度見たいとは思うが・・・
期待が大きすぎて、ロサンゼルス行きの飛行機に乗ったつもりが、着いたのはピョンアンだった、みたいな。
70点