映画「怒り」 宮崎あおい・妻夫木聡・高畑充希
映画が1000円で見れる金曜は
イーストウッドの新作を見るつもりが・・1日早かった。
監督の李相日は前回の渡辺謙・佐藤浩市の「許されざる者」が、クリント・イーストウッドを生存する最高の映画監督とリスペクトする私には、期待値は上がった分、普通にリメークしてしまいつまらなかった。
その前に見た「悪人」は素晴らしかったのにね。
映画の舞台が自分の故郷(福岡や佐賀でロケ)だととてもリアルだし親近感も
怖さも増す。妻夫木と深津はここがターニングポイントになった。
迷ったが、李相日作品で1勝1敗。
原作は吉田修一だし、6ポイントで映画一本無料になった訳だし、他に見たいものないし、ということで金曜20時に見た。
あらすじ)
八王子で起きた凄惨(せいさん)な殺人事件の現場には「怒」の血文字が残され、事件から1年が経過しても未解決のままだった。洋平(渡辺謙)と娘の愛子(宮崎あおい)が暮らす千葉の漁港で田代(松山ケンイチ)と名乗る青年が働き始め、やがて彼は愛子と恋仲になる。洋平は娘の幸せを願うも前歴不詳の田代の素性に不安を抱いていた折り、ニュースで報じられる八王子の殺人事件の続報に目が留まり……。
犯人は誰か?でサスペンスを高めるが、本質は昨年のベスト「恋人たち」に通じる市井に生きる人の現代の心情を深く描く手法で、俳優の演技のアンサンブルを堪能する映画だ。
主演は渡辺謙になってはいるがただただ恐れているだけで、娘のと広瀬すずが主役とわかってくる。
妻夫木は本当に素晴らしい。
ゲイのタチ役は新しい領域へのチャレンジで評価するが、同性愛を隠して生きる心情の揺れがスクリーンから伝わるのだ。70年代のアメリカ映画におけるジャック・ニコルソンに通じるとんでも俳優になった感がある。
宮崎も頭は弱いが気が優しい、それ故のセクシーさを持つ、現代の絶滅危惧種女性を見せてくれる。
天真爛漫イメージの広瀬すずは初の汚れ役で、内地(本土)から沖縄にきた複雑な少女を綺麗な瞳だけで表現できる才能は素晴らしい。
3つの場面が突如入れ替わるので戸惑うかもしれない。
それぞれには何の関係も・・・あるか、ないかは劇場で。
犯人探しはサブテーマで、それに翻弄される周囲の眼差し「疑惑」「不安」「恐れ」などマイナス感情がスクリーンに溢れ、ラストシーンで希望が見える。
もっとみんな怒れと。
95点
次回が本当に「ハドソン川の奇跡」です。