映画「シン・ゴジラ」 庵野秀明監督 長谷川博己・市川実日子・松尾諭
ビジュアルはとてもいいセンス。
過不足ないな。
東宝の広報は、さすがに世界マーケットの稼ぎ頭の
本家の新作には気を使っているのはわかる。
ニッポン VS ゴジラ のコピーもいい。
ありえない出来事にこの国の政府、政治家がどう動くか?
まさにそこが見たいのだ。
ジャリタレントとか、タイアップ音楽とか一切いらない。
大人が見れる世界標準を見せてくれるのか?
シネコンでも九州の郊外なので話題作とはいえ人はいないだろうと
たかを括っていた。
金曜15時15分スタートで50%くらいの入り。
夏休みで子供がおおい
これは大ヒットかも知れない。
さて本題だ。
庵野総監督は名前だけは知っている。
彼のアニメは見たこともない。
「何とかゲリオン」とか全く知らないし知りたくない。
機動戦士的なものが生理的に嫌いなのだ。
だから庵野監督初体験。
しかし油断してはいけない。
『進撃の巨人』2部作(昨年批評済み)の超出来損ないを演出・撮影した
そこに出演して奇妙な演技をしていた
騙されはしないぞ。
物語は意外にシンプルだ。
「東京湾で巨大生物が現れる。
日本政府は何を決断しどうなるか?」
だからオールキャストになる。
(主要キャスティング一覧)
大杉蓮 :内閣総理大臣
黒田大輔 :原子力規制庁
小出恵介 :消防隊隊長
小林隆、斎藤工、橋本じゅん、ピエール瀧、國村隼:自衛隊関係者
古田新太 :警察庁長官官房長
神尾佑 :外務省官僚
嶋田久作 :外務省官僚
浜田晃 :総務大臣
余 貴美子 :防衛大臣
中村育二 :内閣府特命担当大臣(防災担当)
諏訪太朗 :防災課局長
渡辺哲 :内閣危機管理監
緒方明 :海洋生物学者
犬童一心 :古代生物学者
塚本晋也 :生物学者
原一男 :生物学者
松尾諭 :保守第一党政調副会長
松尾スズキ:ジャーナリスト
邦画で初めて政府の危機対応を描いた政治映画とも言える。
主演は30代で内閣官房副長官を務める長谷川を中心とした
日本政府なのだ。
ゴジラによって脅かされる国民は姿は一切描かれない。
今ある法律の運用では巨大生物を相手に出来ない
コントのような状況を真正面から初めて描いた。
その姿勢が潔く素直に驚いた。
石原さとみはアメリカの官僚役で「進撃」よりは落ち着いて見える。
長谷川は少し若すぎると思っていたら後半からある種の貫禄を身にまとう。
「決断と実行」の経験がそうさせるのだろう。
かつて20年前にオタクの間で都市伝説となった
ゴジラ=太平洋戦争の犠牲兵士の亡霊説(ネットで検索下さい)
を完全に払拭する最先端科学映画とも言える。
怪獣がビル壊そうが何をしようが、死のうが生きようが絵空事。
問題はいつも人であり組織だ。
この映画は怪獣をトリガーにしつつ
税金でメシ食ってるこの国の為政者=政治家と官僚組織に
スポットライトを当てた
庵野の着眼と脚本は見事だ。
樋口は特撮だけしてればいい。
90点