小説「ぼくは愛を証明しようと思う。」 藤沢数希著
「金融工学」の本を探していたら著者を知り
経済エッセイみたいなものを読んだ。
難解な仕組みを簡単に理解させる技術を著者は持ってないので
すぐに読むのを止めた。
但し、小説も書いていて、帯に「恋愛工学」と書いてあったので
面白そうなので読んでみた。
渡辺正樹、27歳、弁理士。誠実でまじめなことが取り柄だが、恋愛ではいつも失敗ばかり。そんな僕が、ひょんなことから「恋愛工学」のマスターに出会う。そして、真実の愛を探す冒険に旅立った。 「恋愛工学を知れば知るほど、そして、実際にたくさんの女の行動を目の当たりにすればするほど、世間に広まっている恋愛に関する常識は、すべて根本的に間違っていることを確信した。恋愛ドラマやJ-POPの歌詞、それに女の恋愛コラムニストがご親切にも、こうしたら女の子にモテますよ、と僕たちに教えてくれることの反対をするのが大体において正しかった。」(本文より)
モテる師匠が授けるテクニックを、モテない弟子が実践していき
ポイントをクリアしていき、愛の本質に触れる流れなのだが
女性を物のように見る恋愛観と
ロールプレイングゲームを無理やり文字起こしした感が何とも不快だ。
21世紀の恋愛版「杜子春」を期待したが
何とも底の浅いノーハウ伝授本。
10代、20代の男の子には教科書になるかもしれないが
売れりゃ何でも書く著者の人格の問題なんだろう。
2時間の恋愛セミナーでやってそうなやっつけ仕事のような印象
幻冬舎いったいどうしたのか?
まともな編集者つけて人の道でも教えてやれ。
真っ当な作家の一文を書く技術と覚悟の凄さを改めて感じる。
10点