新春ドラマ「坊ちゃん」 二宮和也、山本耕史、松下奈緒
正月の3日に見たフジテレビドラマは面白かった。
去年は三谷の「オリエント急行殺人事件」
オールスターキャストのアンサンブルを楽しんだが
いかんせん、「列車内でみんなで殺人しました」
と家族団らんの正月にあるまじき物語で・・・
今年は没後100年の我らが漱石だ。
これが実によかった。
明治後期の松山の高校を舞台に
まっすぐにしか生きられない、自分のうそも他人のうそも
許さない、まっすぐな気性の青年を嵐の二宮が演じきった。
嵐もジャニーズも興味がない。
でも役者としてナレーターとしての草彅剛と二宮は
素晴らしい才能を持っていると思う。
肩の力を抜いているんじゃなくて、最初からない感じ。
生まれつき役者なのだろう。
改めて凄みを感じた。
こっちに自然に伝わってくるのだ。
「うそが嫌いな、うそが許せない」ことがね。
また脇のアンサンブルが見事だった。
「オリエント」では12人も加害者いるので、理解するのも大変だった。
今回は同僚の教師が5人とマドンナ1人の6人で簡単だ。
物語は、坊ちゃんが、いたぶら生徒や赤シャツ派とどう戦い筋を貫くか
だけど、裏テーマで、マドンナとうらないの恋模様がある。
うらなり役の山本耕史が、色白インテリの恋愛下手さを見事に表現していていらいらさせられる。この人も凄い役者だ。
なりきっているし、振り切ってる。
妻・堀北は大いに刺激を受けるといい。
いい脚本と演出家と役者はいればいいドラマは作れる。
日本も世界もない。
「坊ちゃん」はいいドラマだった。
スカッとした。
道後温泉に行きたくなった。
うそをつきたくなくなった。
昨今の民放各局は
とんねるずとか、女子アナのNGとか、クイズとか、街頭食レポなど
国民を考えさせない、もしくは愚ろうする番組ばっかり垂れ流してやがって。
フジテレビが視聴率争いでどうなろうと知ったことではないが
1年に1回くらい本物のクリエイティブを見せてみろ
テレビ屋として筋を通せ、と言いたい。
1月3日は確かに見せてもらった。
95点