映画 「恋人たち」
橋口亮輔監督作品初体験
語り過ぎない。
省略する。
セリフと映像でボケる。
イライラする、イライラさせる。
BGMが基本ない。
橋口の映像リズムが1時間後に効いてくる。
市井の人達のあがき、うめき、コミュニケーション障害
年収200万時代の平成のリアルが見えてくる。
スリルもサスペンスもホラーもない
ただ愛を求めて地を這う者たち。
美男美女も、ジャニーズも、AKBも
虚飾でかりそめに生きるタレントは一人もいない。
篠原篤 妻を突然殺された男
成嶋瞳子 パート主婦
池田良 ゲイ弁護士
この3人の剥き出しの人生模様が描かれる。
誰も知らないであろう無名の俳優たちが
苦しみ、泣き、笑い、変わっていく。
春に見た「海街Diary」と180度違う立場ながら
今年見た日本映画のベストの2本
両作品にリリー・フランキーが出てくる。
名優というより怪優の趣き。
いいかげんな人間が良く似合う。
特筆すべきは、成嶋瞳子
肉感の生々しさ。
中年の不敵さ、どこかチグハグなおかしな感じ。
その辺にいるパート主婦を連れてきてドキュメンタリーで撮ってる
ような脱力感と不思議な存在感でマイナスオーラを出しまくる。
日本中いたるところで起こりえる殺伐とした荒野に
一瞬通り過ぎる風のような爽快さ。
俳優たちの見事なアンサンブルを堪能するためには
スクリーンで見て欲しい同時代映画。
100点