映画「バーニング」ユ・アイン、チョン・ジョンソ主演 イ・チャンドン監督が村上春樹をどう映画化したのか気になったが・・・
いい歳して村上春樹のファンと言いたくないが「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」は素晴らしかった。村上は殺しのないミステリーを書けばいいのに。
「1Q84」は理解不能、「騎士団長殺し」に至っては・・・とんでも本の括り。
でも次作を気になってしかたない。他の作家の誰よりも。
彼の原作映画は「トニー滝谷」「パン屋襲撃」「ノルウェイの森」と見ているが原作をなぞった退屈な映像化で感心しない。「トニー滝谷」だけが、イッセー尾形の名演で救われた感があった。
今回はどうだろう。舞台を現代、韓国に置き換えて、都市と農村を行き来する若者の悲鳴が聴けるのか・・・・いつもの巨大スーパーに行ってみた。
冷え切った日韓の反映か、私を含めてわずか3名。
上等だ。
あらすじ)
アルバイトをしながら小説家を目指すジョンス(ユ・アイン)は、ある日、偶然幼馴染のヘミ(チョン・ジョンソ)と出会い、アフリカ旅行へ行く間、飼っている猫の世話をしてほしいと頼まれる。やがて帰国したヘミはアフリカで出会ったという謎の男ベン(スティーブン・ユァン)をジョンスに紹介する。
その後、ベンはヘミと共にジョンスの家を訪れ、自分の秘密を打ち明ける。「僕は時々ビニールハウスを燃やしています……」ジョンスが恐ろしい予感を抱き始めるなか、突如ヘミが姿を消す・・・
主役の青年がいいね。
作家志望ながら無職、都市と農村を行ったり来たり、家族はバラバラのまだ何者でもない浮遊感。決してハンサムでない、オーラの無さ、将来も無さそうな若者の不安と恍惚が窓越しの都会の風景から見えてくる。
彼の近所に住んでいたヒロインの田舎娘ぶりも好感が持てる。
角度によっては時々美人に見える程度のバイト娘。日本のどの都会にもいる、なんちゃって地方出身者。
スクリーンで初めて韓国女性のヌードを見たが痩せっぽちでセクシーとは程遠いが夕日に舞う姿はイマジネーションを誘う。
そして謎の金持ち。
このエサさわやか笑顔の廻りにいる取り巻きが実に気に食わない。
そんな3人のうろうろするスケッチ物語。
途中まで本当に退屈。何も起きない。
村上のファンでなければ映像の深見なんかしやしないので苦痛だろう。
が、「納谷に火をつける」告白からサスペンスが始まる。
村上作品としては最高の出来栄えだと思う。
メンドクサイ、アオハル映画
傑作でもなく万人受けもしない。
小説と同じで、ツボを刺激するだけで完治しないマッサージの様なね。
70点