「橋本忍」追悼!黒澤映画の脚本家というより松本清張原作映画「砂の器」が真骨頂。昭和の市井にいきる人達の哀しみ、生きがい、喜びとか・・・救い上げる人生スケッチの名手。
2ヶ月前に登山中靭帯を痛めて整形外科には行くが映画館になかなか行けない。
そんななかの訃報。
橋本のフィルモグラフィを見ると10代の頃からどれだけ見てきたか・・・
生きる(1952年10月9日公開、黒澤明監督)
いい脚本のお手本だな。
プライドの対立(八甲田山)、時間制限の中の生きがい(生きる)、科学者vs為政者(日本沈没)、隠したい過去(砂の器)、弱者の戦略(七人の侍)・・・
個人的には「松本清張作品」が好きだな。
清張ドラマのポイントは誰が犯人かではなくて、何故犯罪を犯したのか?
悲しい過去と人間関係が回想されて人って悲しいね・・・」となるのがお約束。
わかっちゃいるけど見てしまう。
その先鞭をつけたのが映画「砂の器」だった。
やくざの親分から総理大臣、軍人などリーダーをやらせて右に出る人がいない名優・丹波哲郎が刑事となって事件を読み解く。
黒澤の傑作刑事ドラマ「野良犬」「天国と地獄」と比べるとわかる田舎の情緒性とセリフの説得力は素晴らしい。
スクリーンで現千葉県知事と歩く田舎道、海岸のカッコ良さ。
アクションのない地味な役だけどこのオーラ、自然過ぎて見失うが傑出した映画スターだった。
幼稚なタレント俳優を使ったポップな物語を量産する邦画界に、45年前の橋本脚本の素晴らしさを堪能してもらいたい。
各局でますます清張ドラマが特別枠で放送されるけどこの作品が原点。
原作「砂の器」とは・・
100分de名著『 松本清張スペシャル 第2回「砂の器」生き続ける歴史の古層 』
平成の最後の夏に、「昭和」を描いた映画人が亡くなった。
素晴らしい作品を残してくれて感謝しかない。