批評サムライ  ~映画・ドラマ・小説・エンタメ ★斬り捨て御免!~

責任が何でも曖昧なこの国で娯楽くらいは白黒ハッキリ!大作も小品もアダルトも興業収入も関係ない。超映画批評にない「上映途中の居眠り」が特技。シネマハスラー宇多丸氏、たまむすび町山智浩氏、シネマストリップ高橋ヨシキ氏を見習って公開初日最速レビューを心掛け評価は点数制。地方在住フォトグラファーがど田舎のシネコンでネタバレあり&あらすじ&見たまま感想ブログ

映画「IT/イット それが見えたら終わり」恐怖皇帝スティーブン・キング原作 殺人ピエロ「ジョン・ゲイシー」を描かずに「悪魔」にすり替えて失笑しか起きない出来損ない。ソフィア・リリスだけが救いの情けないホラー。

「文化の日」にホラー映画だ。

3連休の初日のせいか、九州のどいなかシネコンでは同じようなことを考える人だろう20時の最終回はほぼ満員。大人ばっかし。

 最近の傾向で「満員の時に見る映画はロクなものはない」と勝手に格言作っているがどうだろう?

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出す小説の多くが映画化、ドラマ化されるハリウッド御用達NO1だけどこの人のホラーで楽しめた試しがあまりない。

アメリカ人の日常生活のいじめ、階級社会、宗教依存背景をこれでもかと抉る技がどうも気に食わない。

「シャイニング」「キャリー」「グリーンマイル」「ミスト」「ミザリー」・・・よくわからなかった。

良かったのが「デッドゾーン」「ショーシャンクの空に」などで監督の演出力なのか。

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今回は、予告編を何度も映画館で見るものだから「刷り込み」の条件反射の犠牲になってしまった。

 

あらすじ)

とある田舎町で児童が行方不明になる事件が相次ぐ中、おとなしい少年ビルの弟が大雨の日に出掛け、大量の血痕を残して姿をくらます。

自分を責めるビルの前に突如現れた“それ”を目撃して以来、彼は神出鬼没、変幻自在の“それ”の恐怖に襲われる。

彼と同じく“それ”に遭遇した子供たちと手を組み、“それ”に立ち向かう・・

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冒頭の雨のシーンは面白い。

「それ」の子供の心を引き込む話術が見事でつかみはOK

しかし、これ以降は酷かった。

弟を奪われた兄と同じ学校の子供たちだけで解決するのもまだいい。

しかし警察の捜査はいつまでたっても描かれない。

この時点で、行方不明の謎と犯人の解明は科学的には描かないんだ=「それ」は人ではなく「鬼」の様な多様な解釈可能な摩訶不思議な存在となる。

なんだ、キリスト教背景の悪魔描きか!と、わかってくると興ざめる。

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派手なBGM(爆音的に音量が大きい)と連動するビックリ画面にも慣れてくる。

嫌な予感がしてきた。

このパターンだと子供たちの勝利で危機は去るが、ラストで決まって次回に続く・・・

左右のおじさんおばさんでビッシリで席を立つのは大人げない。

バカ映画を見る苦痛を久しぶりに味わう。

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テレビでたまに特集される数十人の子供を殺害した実在のジョン・ゲイシーがモデルであるなら、違った描き方があったろうに・・・

少年・少女の一夏の成長譚といえば同じキングの「スタンドバイミー」があるが、一部その世界を描きはするが、その前提で子供たちの家庭環境を描いてないので空振りに感じる。

こんな稚拙な作品が大ヒットするアメリカは大丈夫か?

 

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唯一の救いは15歳でヒロインを演じたソフィア・リリス

父親の性的虐待の犠牲者でありながら父を「それ」と対峙する強さを獲得する。

ふとした表情が70年代ソフトポルノで世界を魅了したシルビア・クリステルの面影で彼女のオーラは本物でスターになるな。

短編映画 「The Lipstick Stain」

 

明らかに上映後の館内はガッカリ感が支配した。

上映中も失笑が聞こえた。

日本は神がどこにも宿る多神教で、多くの国民に原罪がない(理解できない)のだから共感もカタルシスもあり得ない。

「気まずい」と書いた紙が空中を彷徨ってた。

おとといきやがれ。

 

30点

 

格言は当たってしまった。