映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」試写会レヴュー(監督:廣木隆一 山田涼介、門脇麦)”東野圭吾史上、最も泣ける小説”が、こうも無残な出来損ないになるのか?
東野圭吾史上、最も泣ける小説とかいうキャッチコピーだが、直木賞獲った「容疑者Xの献身」しか読んでいない。
ちなみに小説にかかわらず本読んで泣いたことが一切ない。
ガリレオシリーズがドラマでは好きなので応募していたら試写会ハガキが届いた。
平日の19時、開始直前にいつものシネコンに向かうと空き席はわずか。
九州のど田舎にこんなに人が入っているのは初めてだ。
人気作家故か、無料招待だからか・・・
人が多いのもたまにはいいね。
日本映画をみんなで応援してるような錯覚に陥る。
あらすじ)
2012年、養護施設で育った敦也たち3人が盗みを働き逃げ込んだ廃屋。その店の郵便受けに届いたのは1980年に書かれた手紙でした。かつて雑貨店を営んでいたという店の名はナミヤ雑貨店。
店主の浪矢雄二は困っている人たちから手紙を受け相談に乗っていました。浪矢の代わりに返事を書く敦也たち。見ず知らずの誰かのために真剣に悩み、今まで他人と関わることすら避けてきた敦也たちの中で何かが少し変わり始めます。
1980年に住む浪矢雄二と2012年に生きる敦也たちの間の手紙を介した奇妙な交流。そしてナミヤ雑貨店に起きる奇蹟とは?
冒頭の1960年代後半の商店街の街並みがいいね。
ところが2012年に変わると3人のチンピラが現れる。
ということは、私の苦手なタイムスリップ物か?
昨年の「君の名は。」しかりもういい加減にして欲しい。
いったい目の前の時制はいまどうなってるんだ、と考えても考えてもわからない。
考えてるうちの、次の展開が始まっていてついて行けない。
物語的にはこれ使うと世界のどの時代にも
どんな有名人でも簡単に会える。
死んだ父にもおばあちゃんでも、織田信長でも、ヒトラーでも
イエス・キリストにもブッダでも・・・もうドラマに不可能はない。
ただし基本、禁じ手でしょう。
しかしそこは監督が今年見た日本映画のベスト「彼女の人生は間違いじゃない」の廣木隆一。
わかりやすく伏線は見事に回収され、禁じ手はむしろ必然の背景に変わり、感動の淵に観客を置いてきぼりにしてくれるだろう信頼がある。
最近の若い役者はほとんど知らない。
Hey!Say!JUMPも山田涼介も・・・さっぱりわからない。
ハンサムなんだろうが無理やり西洋化したような不自然な顔の山田が
頭のきれるリーダーを割と自然にクールに演じる。
ところがこの映画は同じ監督作品とは思えない。
いろんな世代の悩みを西田がが返事を返し、それによって変わっていく人達のその後が描かれるのだが・・・
至るところに”感謝”とか宗教団体の冊子のような安っぽい言葉が、限りなくセリフで役者に言わせる。このセンスの無さは酷い。
どう考えているかを行動で見せずに、セリフで言われても共感なんかない。
セリフ過多・・・出来損ないの多くはこれで失敗する。
さらに、観客を泣かそうと、じいさん、ばあさんは体を悪くする。
若者は自殺を試み、火事で焼かれる。
若くして亡くなった恋人が突如あらわれて(幽霊なのか?なんなのか?)昔話のシーンはもはや何がなんだかさっぱりわらない。
中途半端なBGMが絶えず流れ涙腺を刺激する。このメロディが近所のスーパーの買い物サウンドの様で酷い。
山下達郎の歌が流れるエンドタイトルで不快感は頂点に達する。
歌で作品のテーマを歌うならば、先に流せばいい。
この2時間を見せといて歌で要約なんかするなよ。
(仮に感動する人がいるとして)客の余韻を最後にぶち壊してどうするよ。
先に流してくれれば上映時間4分で終わってみんなハッピーではないか。
2時間かけて、昭和と平成の2つの時代がどうしてつながるのか不明のまま、倫理を、人の道をスクリーンでこれでもかと押しつけて、感動と勘違いさせる嫌らしさは、どこかの宗教団体の戦略とそっくりだ。
新種のマインドコントロールか?
余りのバカバカしさと情けなさで席をしばらく立てなかった。
チケット買わなくてよかった大賞のぶっちぎり1位。
この手のテレビドラマはあっても金を獲る映画であってはいけない。
日本映画の品位をどこまで傷つけるつもりか。
美術も撮影もジャニーズ系の役者以外みんなよかったけどな。
「SFです」と言い訳できたら何やっていいと勘違いしている脚本家と、何をしたいのかビジョンのないまま、映画ファンを異次元のカオスに連れて行く迷走監督とのやりたい放題の大失敗作。
0点
小説は、自分の時間で、戻りつ何度でも確認しながら読めるので
映画の作法とは別の生き物で、素晴らしいのかも知れない。
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/03/28
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