批評サムライ  ~映画・ドラマ・小説・エンタメ ★斬り捨て御免!~

責任が何でも曖昧なこの国で娯楽くらいは白黒ハッキリ!大作も小品もアダルトも興業収入も関係ない。超映画批評にない「上映途中の居眠り」が特技。シネマハスラー・宇多丸氏やたまむすび・町山智浩氏のブログを見習って公開初日最速レビューを心掛け、評価は点数制。みうらじゅんとカンパニー松尾をリスペクトするフォトグラファーがお届けします。

傑作映画シリーズ100本|No 003 「エクソシスト」ウィリアム・フリードキン監督 リンダ・ブレアー、マックス・フォン・シドー、エレン・バースティン 音楽:マイクオールドフィールド 44年前の体験は余りに強烈でいつ見てもその完成度に驚くばかり!

日本公開は1973年7月13日

もちろんインターネットはなく、映画の情報は専門誌の「キネマ旬報」「ロードショー」「スクリーン」などで、映画評論家が先に見てきた感想をメディア経由で知るしかない。

中学生ともなれば、友達と映画館行くのが大人への第1歩

アメリカ発の大ヒットホラー映画で、悪魔つきとくれば10代が食い付かない理由は何もない。

 

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このビジュアルが新聞の夕刊に載った時のカッコ良さ

後半、エクソシスト(悪魔払い)が、少女が住む屋敷にタクシーから降り立った直後

のシーンだ。(光の元が少女のいる部屋)

これからどんな恐ろしいことが起こるのか

悪魔VS人間の真剣勝負が見られる予感がMAXに。


Mike Oldfield - Tubular Bells ✔ (The Exorcist Soundtrack) HD

ラジオではイギリスの前衛作曲家マイク・オールドフィールズの「チューブラベルズ」の1曲がテーマ曲と鳴って、未だ見ぬ映像の恐ろしさを掛け算される。
ミニマムミュージックの繰り返し、反復にもう頭の中は授業中もこのメロディーが鳴っていた。

 

エクソシスト - チューブラー・ベルズ(『エクソシスト』より)

エクソシスト - チューブラー・ベルズ(『エクソシスト』より)

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  • 発売日: 2013/05/29
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全国の映画小僧の心は完全に鷲掴みされて公開を待つばかりだ。

仕込みは100点

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あらすじ)

 

イラク北部。

古代遺跡で発掘するアメリカの古生物学者でありカトリックの神学者のメリン神父がいた。そこで古代からの悪霊・パズズの偶像を発見する。
10年ほど前にもアフリカで闘ったことがあり神父は、パズズの復活が近く、再び闘わねばならないことを悟る。

アメリカ、首都ワシントン
人気女優クリス・マクリールは、映画出演のため、娘を連れて高級住宅地ジョージタウンの一軒家を借りて住んでいた。
夫とは離婚し女手ひとつで娘リーガンを育てている。込みのお手伝いカール&ウィリー夫妻や、子守をする若い女性・シャロンも家にはいた。
ある夜、クリスは物音を聞きつける、天井から何か聞こえる・・・・

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見終わって、言葉がなかった。

余りに怖すぎて・・・

悪魔に変わっていくリンダ・ブレアの顔が脳裏に焼き付いていた。

それから多くの恐怖映画がアメリカからイタリアから一気に日本に上陸した。

恐ろしさが足らないのだ。

取って付けた怖がらしではもう満足できない。

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今では動画配信でタブレットで1日何回でも見れる時代だ。

細部を細かく見ていくと一流の映画人が最高の仕事をしているのがわかる。

「ゴッドファーザー」のマーロン・ブランドのマフィア顔を仕上げて特殊メイクNO1のリック・ベイカーの仕事術の素晴らしさ、悪魔の不気味な声や様々なBGM音響のクオリティの高さ、どこを取ってもスチール写真でいうルックが決まっている。

画面に無駄なものが見当たらない。

まさに「神は細部に宿る」

 

脚本と俳優陣は本当に素晴らしい。

悪魔と戦う神父を中東イランで先に紹介し、来たるべく対決の予感を感じさせる。

 

マックス・フォン・シドーの、現代の苦悩を一心に背負った様な表情がセリフ以上に雄弁だ。名優は息の吸う吐くで何かを物語る。

 

70年代最高の女優エレン・バーステイン

誰からも慕われる女優、愛情溢れる母、戦いにひるまない強さを見せつける。

 

母との心の距離感に悩むカラス神父のジェイソン・ミラー、少女を救い出そうとまさに命をかける。

 

少女を救おうとする、この3人3様の心模様と行動が名優たちの抑制ある姿勢から見えてくる。

 

そして余りに強烈な世界デビューを果たしたが故に、この呪縛から一生逃れられないリンダ・ブレアーの少女らしさと、それ故の悲しみ。

 

監督のフリードキンは、前作「フレンチ・コネクション」で大都会の事件捜査のリアリズムを見せつけた。地下鉄、モノレール、麻薬捜査、車解体・・・生の刑事の執念が見えた。

 

この映画ではいくつもの対立、皮肉、メタファーが豊富に織り込まれている。

文明発祥の地メソポタミアの砂漠から、科学技術最先端のアメリカの首都が主戦場になる。

何不自由ない富裕層の人気女優の娘に取りつく悪魔

カトリック教会内で葛藤する神父

 

西洋医学で解決できない果てに母は教会に救いを求める

3つの点が交わって、悪魔との対決へと向かう

ここからは映画史にないインナートリップを同時体験することになる

 

観客は少女を救いたい。

2人の神父に救い出して欲しい。

もうこの3人に共感するしかないのだ。

 

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この後、「エクソシスト」は2、3と続編が作られ

「オーメン」「シャイニング」などホラーは山の様に現れるが

登場人物への共感が薄い脚本と演出では、感動はない。

 

恐怖はただ恐ろしいだけでいいのだろうが

恐怖映画は登場人物への共感が必須なのだ。

 

「この恐怖を超えた映画はいまだ存在しない」

このキャッチコピーは本当に正しい。

 

 

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