映画「愚行録」石川慶監督 妻夫木聡、満島ひかり、小出恵介、臼田あさ美、市川由衣、松本若菜
でのカタキを、この映画でとってくれる期待をこめて映画の日に出かける。
いつものど田舎シネコンには客はどう見ても7人くらい。
そりゃ誰だって「ラ・ラ・ランド」に行くよね。
原作は読んでないので物語は全く知らないが
最近若手キャストのアンサンブルが楽しめる日本映画多くて、満島ひかりも出るんだったら当然期待する。
一家惨殺、「3度の衝撃」
配給会社宣伝部の、盛ったコピーにはこれまで何度も騙されたので、信じはしないが衝撃してくれるなら損はない。
あらすじ)
日本中を震え上がらせた一家惨殺事件から1年、週刊誌の記者・田中は、迷宮入りした事件の真相に迫ろうと改めて取材を開始するが、関係者のインタビューから浮かび上がってきたのは、エリートの夫と美しい妻、そして可愛い娘という理想的と思われていた一家の、想像とはかけ離れた実像だった……
冒頭のバスシーンから屈折した人間を普通に見せてくれる。
過剰なものがない。
つぶやくようなセリフ廻しが心地良い。
妻夫木は新井浩文と並んで、役所浩司などと共にいい俳優になったな。
カッコいいとかではなくて共感力をスクリーンで見せてくれる。
満島は秘密を抱えた妹役で
拘置所にいるので出番がないが・・最後半の主役に。
年齢不詳感が幸いして女子大生が似合っている。
週刊誌記者として、事件の関係者を訪ね歩く先の若い役者たちが、いろんな”嫌な”人間像を演じていて好感がもてる。
特にスクリーンで初めて見る市川由衣は惹きつけるオーラが強い。
殺された妻役の松本若菜も
美しさの裏側のイヤーな感じを演じた。
臼田あさ美はNHKのコント番組でよく見た。
天然の小娘キャラからタレントと思っていたが女優としてセンスが確かにある。
ただ一家惨殺の動機が弱くて無理があると感じた。
そこを除けば監督第1作とは思えない落ち着いた映像でとくに被写界深度の浅い、主観モードと、パンフォーカスの客観モードの使い分けが匠だった。
3度の衝撃という程でもないが、それなりには面白かった。
しかし、フランス映画界におけるルネ・クレマンの様な大人のサスペンス映画の趣きを感じながらも、カタルシスが終始どこにもない息苦しさはどうなんだろう。
ここは映画のセオリーを信じて脚本いじらないと観客の心はつかめない。
才能はあるのに次回作の声がかからない恐れがある。
役者は満点なのに、映画としては
70点
次回はたぶん「アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男」