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批評サムライ  ~映画・ドラマ・小説・エンタメ ★斬り捨て御免!~

責任が何でも曖昧なこの国で娯楽くらいは白黒ハッキリ!大作も小品もアダルトも興業収入も関係ない。超映画批評にない「上映途中の居眠り」が特技。シネマハスラー・宇多丸氏やたまむすび・町山智浩氏のブログを見習って公開初日最速レビューを心掛け、評価は点数制。みうらじゅんとカンパニー松尾をリスペクトするフォトグラファーがお届けします。

映画「ラ・ラ・ランド la la land」はフランスミュージカルへのリスペクト溢れる楽しく厳しく切ない傑作だった(公開初日最速レビュー感想) デイミアン・チャゼル監督 ライアン・ゴズリング&エマ・ストーン

フリーランスの私は、プレミアムフライデーなど国策とは関係なく、金曜は映画1000円なので映画館に行く。

 

直前に40年付きあった歯の根を抜いたので血だらけで麻酔も残っていて顔半分が微妙に痛い。にもかかわらずどうしても初日に見たかった。

 

前作「セッション」が素晴らしかったからだ。
省略の潔さとサスペンスに必要なものだけ収れんしていくクライマックスの興奮までの物語るうまさ。

遂にイーストウッドの後継者現る、と直感した。

 

その次回作が、ミュージカルで、現代のロサンゼルスで、色が綺麗らしく・・・

16時30分、前も後ろも左も右も、大勢の映画ファンに囲まれての平日に6割入りでこれは大ヒット間違いなしだよ「ラ・ラ・ランド」

 

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冒頭のクレジットで、2.25 対 1 比率の【シネマスコープ】と判明。

これは60、70年代のハリウッド大作映画仕様ではないか!

通常は3対4だ。いいね、横ワイド。

 

スタートは渋滞のロスフルーウェイ貸切実写のダンスシーンが魅せる。

1シーン1カットの長回しなのでリズムが途切れない。

このテンポが心地いい。

 

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あらすじ)

渋滞したロサンゼルスのハイウェイ。ようやく車の流れが動き出しますが、紙を見ながらブツブツと何かを呟いていたミア・ドーランはそれに気がつかず、後ろの車からクラクションを鳴らされ、腹を立てます。その車に乗っていたのは若い男で、ミアは彼に中指を立てて怒りを示すのです。ミアは映画の撮影所内のカフェへ。そこがバイト先です。女優志望の彼女はオーディションを受けまくっては落選する毎日。車の中でブツブツと呟いていたのもオーディション用の台本を読んでいたのです。今日もバイトを終えて面接を受けますが、また落選。

 

気を晴らそうと、友だちと一緒に業界関係者のパーティへ出かけます。しかし帰ろうとすると車が駐車違反でレッカー移動されていて、仕方なく徒歩で帰路へ。その途中、あるバーの前を通りかかるとピアノの演奏が聞こえます。それに気を引かれて店内へ。ピアノを弾いていたのは渋滞のハイウェイで自分を追い抜かした男でした彼の名前はセバスチャン。ジャズ・ピアニスト志望で、この店でバイトをしています。しかし、ポップスばかり弾かされ、気を腐らせていました。反逆心でジャズを演奏していたところへミアが来たのです。セバスチャンは即刻クビ。声をかけようとしたミアを無視してとっとと帰ってしまいます。

 

しばらくして、ミアがまた別のパーティに出ていると、セバスチャンがバンドの一員として演奏していました。ミアから声をかけ、2人はそれから親しくなります。お互いの夢を語り合い「理由なき反抗」を見る2人。やがて一緒に暮らし始めますが・・・

 

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どこを切り取っても発色がいい。

室内でも、道路でも、レストランでも、プラネタリウムでも、どこでも踊るのだがその背景のセット美術が素晴らしい。

女性陣の服もレインボーを意識して生地の質感までよく見える。

この映画は前方で、見上げるように見るといい。

  

40、50年代フレッド・アステアジーン・ケリーらのスタジオセットでのオーソドックスなハデ踊りというよりは、60、70年代フランスミュージカルの、背景と一体となった野外の解放感あるウェットな質感を感じた。

 

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映画 シェルブーヌの雨傘 1964 (ジャック・ドゥミ監督 カトリーヌ・ドヌーブ主演

 

この選択が正解だった。

2016年、トランプ帝国主義下のアメリカでフリーランスで生きるクリエーターの2人には夢追い人の心情の発露ダンスでないと。

揺れる心のひだをフランスミュージカルのどこまでも個人主義(これはアメリカファーストとは意味が違う)がピッタリはまる。

   

オーディションのリアル、ミュージシャンの妥協、新人女優の挫折・・・

バックヤードを見せることでフリーランスであることの生きざまを思い知る。

 

www.youtube.com

 

過去のミュージカルのみならず、様々な映画のオマージユに満ちた(ウディ・アレンの「マンハッタン」ボガード&バーグマンの「カサブランカ」など)

 ビーイミーツガールのロマンチックを縦軸に、ハリウッド最前線の厳しさを横軸にしてクリエイティブで生きていこうとするリスクを取ろうとしてる世界中の若者と、かつて若者だったが大人(リスクから逃げた)に刺さるようになっている。

 

ラストシーンの2人の2カットの切なさが傑作にした。

2人はわかりあった。

 

言葉はいらないのだ。

いい映画の名シーンはサイレントなのだ。

 

これはロマンス映画の教科書「ローマの休日」のヘプバーンとペック のラストと重なるね。わかってるね。

 

監督はわずか31歳で、人生の機微と映画の文法をマスターしてる。

デイミアン・チャゼル凄いな。

 

文句なし今年劇場公開で見たNO1

100点

 

次回作は人類初の月に降りた、NASAニール・アームストロング船長の伝記映画のようだ。

 

eiga.com

 

次回批評は「愚行録」か「沈黙~サイレンス」のどっちかで・・