批評サムライ  ~映画・ドラマ・小説・エンタメ ★斬り捨て御免!~

責任が何でも曖昧なこの国で娯楽くらいは白黒ハッキリ!大作も小品もアダルトも興業収入も関係ない。超映画批評にない「上映途中の居眠り」が特技。シネマハスラー・宇多丸氏やたまむすび・町山智浩氏のブログを見習って公開初日最速レビューを心掛け、評価は点数制。みうらじゅんとカンパニー松尾をリスペクトするフォトグラファーがお届けします。

映画「ドント・ブリーズ」 フェデ・アルバレス監督 スティーブン・ラング、ジェーン・レヴィ

今年最後の劇場鑑賞映画は昨年に続いてホラーだった。

21時始まりの日曜日はカップルが多いクリスマスの夜にも関わらず2割入りで丁度いい。

20年に1本と言えば、我が生涯で最高の恐怖はフリードキン監督の「エクソシスト」(1973)で、それ以降はこのトラウマで、怖そうな展開ではスクリーンを外すことが多くなり、しまいには劇場でこの手のものは見なくなった。

しかし、前評判の良さと、ぼっちクリスマスには映画館は最高の居場所だ。聖なる夜に恐怖でも感じさせてくれれば、それはそれでいいクリスマスだ。

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あらすじ)

自動車産業の町デトロイト

経済は破綻しゴーストタウン化が進む中、養育放棄の両親と暮らす不良少女ロッキーはいつの日か共にここから抜け出そうと妹に約束していたが、そのために必要な逃走資金を得られるあてはなかった。

ボーイフレンドのマニーから地下室に金庫を持っているらしい視覚障害者宅への強盗を持ちかけられた彼女はマニーと友人のアレックスの3人で真夜中に盲目の男性の屋敷に押し入る。

だがその男は元・軍人であり、盲目でも超人的聴覚を持ち、侵入者の殺人も厭わない恐ろしい人物だった。果たしてロッキーとアレックスは、即座にマニーを殺害した盲人の追撃を回避して悟られることなく静寂を保ったまま密室の家屋から脱出できるのか・・・

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不良3人が見事なチームワークと現代の技で悪事を働く冒頭から絵作りの強さを感じる。ドローンの空撮で荒廃したダウンタウンをブルーとグリーンの色彩設計で少し誇張したような、スチールカメラで言えばジオラマ風な感じが実にうまい。(こいつ、アメリカの黒沢清だなと勝手に思った)

開始10分で並みではないクリエイティブは十二分に感じられる。

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悪事を働きながらも、この町から出て夢のカリフォルニアへ妹と脱出したい家庭の事情も簡潔に語られる。脚本が巧みだ。

最後の大仕事に、盲目の退役軍人が所持するだろう大金に定める。

そして一人荒廃した地区に住む屋敷へ3人で忍び込む。

故に登場人物は3+1だ(途中以外な展開になるが)

閉ざされた屋敷に強盗団といえば、パニックルーム( デヴィッド・フィンチャー監督)があったがこちらは目が見えないのだ。

弱者というより障害者

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しかしこの男、身体もメンタルもとにかく強い。

強盗と対決し一人を殺すが仲間がいることには気がつかない。

金を奪って存在を知られずに去っていきたい犯人との擦れ違いが、5分に1度のサスペンスで盛り上げる。

寝る暇も、横を向くすきも与えてくれない。

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複数の存在を知ったあたりからおやじの異常さが際立つ。

地下室での意外な展開に

「ホー、そう来たか。」と感心。

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実によくできてる。

まさに恐怖の館に飛び込んだ強盗坊ちゃんお嬢ちゃん状態に。

逃げ口を塞がれた瞬間、攻守逆転でサスペンスからホラーへギアチェンジ。

傷つけられても蘇るターミネーター要素が双方にあって

エログロも見せながらどんなエンディングに持って行くのか?

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デトロイトの恐怖の館に、強盗と一緒に閉じ込められた感がハンパない。

エクソシスト級のホラー映画であることは間違いない。

ダークサイドの映画の至福を確かに味わった。

 

90点

 

次回、2016年映画鑑賞ベスト10を勝手に認定します。