映画「何者」 三浦大輔監督 佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生、山田孝之
映画の日、朝一で出かけたものの「男と女デジタルリマスター版」の冒頭からは間に合いそうもない。そこで何の予備知識もなく「何者」を見る。
監督三浦大輔の「愛の渦」をネットで見ていて、スワッピングパーティーのシーンのリアルさに唸った。まさにああいう感じだ。
一般に考えられている異常性欲者のはけ口というよりも、もっと純粋にセックスと会話を楽しむ同好会だ。ただし相手のプライバシーに入り込まないとかいくつか暗黙のルールはある。相手のことを知りたいけれど詮索禁止、という機微がよく描かれた青春映画になっていて感心した。
その三浦の最新作なので期待値は上がる。
あらすじ)
主人公二宮拓人は御山大学社会学部の大学生。演劇サークル「劇団プラネット」の脚本家でもあり、就活を機に演劇と決別。就活を通して仲間になった同大学4人と内定を狙ってチームを結成する。
神谷光太郎は元バンドマン。
田名部瑞月はアメリカ留学していた光太郎の元カノで、拓人は片思いしている。
小早川理香は瑞月の友達で英語が得意でエントリーシートやOB訪問などの活動にも余念がない。
宮本隆良は就活に興味がなくクリエイティブな活動で生きていきたいと思っている。
さて彼らは就職できるのか?
邦画も洋画も最近やたらとテロップが多いとは感じる。
SNSを登場人物が日常的に使っていたり、事件のリアクションで第三者の反応を示したり。これがおじさん世代にはつらい。
テロップを読む時間が余りに短いので、それについていけない。
この映画では主人公がやたらと、周囲を気にして他人のチェックばっかりしている。またスマホ扱いが俺の10倍も速いので・・見てると腹が立ってくる。
しかし後半までにはそのスタイルにも慣れてくるからこれも不思議だね。
昨日見た「オーバーフェンス」もそうだったけど
若手俳優陣のアンサンブルが見事だったな。
特筆すべきはこの2人。
菅田将暉の遊び人&自由な感じが大人に変わる自然さと
二階堂ふみが秘密の暴露で見せる人間のいやらしい感じは只者じゃないね。
この2人はぜひスクリーンで見たいな。(彼らは芸能界に就職できてよかった)
デジタルシーンの性急さにくらべると日常は敢えてゆっくり進む。
しかしラスト10分の面白さへの布石であった。
二宮拓人のこころの因数分解を
職業脚本家を就活であきらめた演劇に仕立て
クリエイティブ界のキーワードかどうかは知らないが
「頭の中ではすべて傑作」の意味を一発でわからせた
舞台人三浦の演出の憎さ
デジタルに頼らないアナログ手法で舞台の外に出る必然を示す。
その時にのみ
「青春が終わり、人生が始まる。」
のだと。
自意識が異常にめんどくさい大学生たちの
「大人」の階段を昇る姿の本質を捕まえている。
久しぶりに映画で眩暈がした。
三浦大輔恐るべし。
95点
”テロップをもう少しゆっくり見せろ”という意味で、実質は100点