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批評サムライ  ~映画・ドラマ・小説・エンタメ ★斬り捨て御免!~

責任が何でも曖昧なこの国で娯楽くらいは白黒ハッキリ!大作も小品もアダルトも興業収入も関係ない。超映画批評にない「上映途中の居眠り」が特技。シネマハスラー・宇多丸氏やたまむすび・町山智浩氏のブログを見習って公開初日最速レビューを心掛け、評価は点数制。みうらじゅんとカンパニー松尾をリスペクトするフォトグラファーがお届けします。

映画 「天空の蜂」

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邦画サスペンスで、東野圭吾で、原発で、タイムリミット物で・・
これだけ映画的な要素がそろったら見ない訳にはいかない。

 

www.youtube.com


原作が社会派サスペンス長編なので
登場人物の伏線と物語の糸、縦糸=時系列の解決)と横糸=人物の愛憎

が多いことは最初から予想される。

 

スタートから原発の上空にヘリがストップし

映画タイトルが現れるまではテンポがあって良かった。

 

しかしこれ以降の物語の交通整理が出来ない。

 

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脚色が力不足で、原作のポイントを山盛りにしたのだろう。

観客は性急な展開に急がされ、見ているシーンの背景が理解できない。

 

70年代の傑作「新幹線大爆破」では

高倉健山本圭が、虐げられた者の国家へのレジスタンスが丁寧に

情感よく描かれていた。

 

「健さん、新幹線やっちゃえよ!」

と登場人物へのシンパシーがあった。

 

が、ここでは犯人の綾野剛にも、ヘリ設計技師の江口にも

何も共感できない。

 

人物描写が稚拙で、部分的な小芝居が(髪の毛いじる刑事、理事長、航空自衛隊員など)ドラマの邪魔をしている。

 

総じて全員が熱演すればするほど、観客はしらけるしまう。

 

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原発立地と運営の問題点・不条理をセリフで説明するのではなく

登場人物の行動とセットで描いてこそ説得力が出てくる。

 

そこは原作を離れ、「映画の文法」をしないと

こういう残念な結果になってしまう。

 仲間由紀恵が最も中途半端でかわいそうだった。

 

監督・堤幸彦はヘリシーンはよかったが

地上シーンでは、イマジネーションがなかった。

 

ドラマ「トリック」など、手品とか奇をてらった

演出の人なんだろう。

 

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安全と言い続けて国民をだまし、交付金で住民を黙らせる。

 

その構図は

諸国民に勝手に期待し、誰が国民を守るのか明記してない日本国憲法

9条で戦力を持たないなずなのに、存在する自衛隊

憲法改正をかかげながら、ただの一度も国民投票させない自民党

在日米軍基地が集団的自衛権そのものにも関わらず

集団的自衛権は認められない」という野党

拉致被害を受けても取り戻せず、平和憲法などと言う夢想主義者

本質に決して迫らないジャーナリズム 

 

この国の根源のいたるところに現れる大いなる矛盾と

それを維持する与野党の政治家・官僚・財界・マスコミなどの

既得権益者たち。

 

「電力供給」と「放射能被害」

国民の関心の高い2大テーマに迫れば、これらインチキの仕組みの一端が

明らかにされる傑作になれたのに・・・

 

激しく対立する素材だらけなのに、火花が散らないんだから

しょうがない。

 

黒澤明の「天国と地獄」の21世紀版を勝手に期待したが

足元にも及ばない。

 

登場人物を対立させれる演出力もないんだから

原発」を描く力量はそもそもなかった。

 

50点