桜木紫乃著『ホテルローヤル』(集英社)
最近は直木賞・芥川賞を取った著者がTVによく出てきるようになった。
作品の出来とは関係ないが、親しみがわいたり、絶対に買わないぞと思ったり。
桜木紫乃はその落ち着いた物腰と、大人の発言で
春に亡くなった渡辺淳一の様な北国の匂いがしたこと
ラブホテルを舞台にした短編集連作であること
市井の人たちの呻きや渇きが描かれていそうなこと
キャッチコピーが近年では最高にいい。
湿原を背に建つ北国のラブホテル。
「非日常」を求め、男と女は扉をひらく。
体を使って遊ばなきゃいけないときがある。
疲れた大人たちがが好きなフレーズ満載で
読んでみたら実にいい。
既に死語になっている感がある
女たちの ”心の襞(ひだ)” が正直に、誠実に描かれ
朽ちゆくラブホテルが人格を持ち
不特定多数の、訳あり男女の、人生の場面場面の
アクセントになっている、書き過ぎていない。
創造力を奪わない。
小説の中での北国もラブホも素晴らしい。
余韻が残る久しぶりに小説らしい小説。
80点