映画「アウトレイジ 最終章」北野武はバカヤロー、コノヤローの言葉コメディから、暴力団抗争の形を借りてマウンティングしないと生きられない男たちの鎮魂歌にして見せた天才にあ然とする。俳優陣の鬼気迫る演技は一発撮りの賜物か?同時代に生きる幸せを噛みしめろ。
待ったかいがあった。
北野武の映画表現の進化がとまらない。
素晴らしい映画芸術を堪能できた。
北野の最高傑作で間違いない。
この秋、日本映画を支える3Kの新作が揃った。
是枝「三度目の殺人」、黒沢「散歩する侵略者」
そして真打「アウトレイジ 最終章」
圧倒的に攻めてくる。
ドラマはこう作るんだぜと。
1作以上に、バカヤロー、コノヤローが飛び交う第2作の「ビヨンド」で
言葉の暴力の面白さに酔った。
西田と塩見の掛け合いの素晴らしさは日本の俳優陣の凄みを見た。
今回も出てくる驚きの俳優たちの数だけある思惑
上から目線にも程がある威嚇、脅迫のオンパレードは
言質獲り合戦の面白さを表現する。
白竜
松重豊と中村育二
「ビヨンド」で突如現れた金田時男の不気味さには今回も驚いた。
フィクサー役がこれほど似合う素人がいるとはね。
このシリーズを1作目から思い出しながら随時感想を書いていこう。
一気に書くともったいない。
文句なく100点
脚本、撮影、音楽、編集、演技・・みんなが一流の仕事をしている。
石田えり(56歳)が豪華ヘアヌード写真集「56」遂に発売。週刊現代、FRaU/フラウで袋とじ先行グラビア画像!撮影ピーター・リンドバーグ ライザップ美熟女は何を表現するか?amazon予約が殺到!NHKニュースウォッチ9動画
2017年12月16日発売
おそらくノーメークの50代後半女性のふくよかさ、無邪気さが見えた。
剛毛ヘアー、荒い肌感、ふてぶてしいポージング
それを美しいと見るかどうかは感性しだい。
独特の写真集構成も面白い。
10代、20代の子供アイドルの対極にあって
投げ出した感が垣間見れる稀有な写真集となっているし
更年期終了後のヌード写真のキッカケになると思う。
次は誰だろうか?
発売日は2017年12月16日
NHKが夜9時に石田のヌードを特集した。
いくつになっても耀くシニアの象徴何だろう。
ヌード写真も画面に出して来月発売の宣伝に加担
出版者から裏で金ももらっているのか?
民放ではあらゆる番宣を日常的にやっている。
バーターであったり、テレビ局の事業部案件なら民間企業なのでわかるが・・
見てなくても受信機器があれば金を取る、取れなければ裁判する組織の放送コードは大丈夫なのか?
一方で「56歳ヌード写真集」のインパクトを考えたことは正しい。
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ライザップCMであれだけ名前が売れて再ブレークの女優にとってこれは必然な流れだろう。
その関連フォトで50代女性としては見事なフォルムに戻ったことは素晴らしい。
フォトショップなど後処理はあるとしてもだ。
なかなかこの年代(孫が2、3人いても不思議ではない)であり得ない。
標準レンズの135~200の単焦点だろう。
過去には世界の有名フォトグラファーと組んだ。
10代と30代で篠山紀信と名作2冊、ヘルムート・ニュートンで世界でも話題になった。
今回は主にヨーロッパの高級ブランドで名を上げたコマーシャルフォトの名手ピーター・リンドバーグ
”こんな写真集、見たことない! 伝説の写真集『罪』から24年。映画、テレビ、舞台で活躍する女優・石田えりが、すべての常識を打ち破るヘアヌード写真集を作り上げた。カメラマンは世界中のセレブを撮り続けている巨匠、ピーター・リンドバーグ。「春画展」のアートディレクター高岡一弥による斬新な装幀は、手元に届いたときに驚くこと間違いなし。
(特殊装幀のため、増刷には時間がかかります。お早めにお申し込みください)”(アマゾンの内容紹介より)
No.1
まだデフレ状況を多くの国民が感じてる最中に9504円の勝負に出た。
ライザップで数カ月鍛えた女優とはいえ、56才の熟女ヘアヌードにこの値段・・・
No.2
1万円近い出費はヘアヌードでは最近下品さが世界一の「マドンナ」が人気絶頂期の豪華ヘアヌード意外知らない。
No.3
もしかすると空前の有名女優の50代熟女ヌード写真集ブームの可能性がある。
少しずつ全容が明らかになりつつある。
No.4
発売まで随時ウォッチしたい。
月刊誌FRaU11月号でピーター・リンドバーグ撮影写真が掲載予定。
年齢的にはおばちゃんと言うより、おばあちゃん世代がヌードになった。
しかもフルヌードで、さらにそれが美しい。
これは事件だ。
映画「ハイドリヒを撃て「ナチの野獣」暗殺作戦」キリアン・マーフィ、ジェイミー・ドーナン 暗殺映画は面白くないはずがないのだが・・・脚本が弱いとこうなる見本。
東京に住んでた頃は名画座が沢山あって、見忘れてもまた違うところですぐに見れた。
九州ではなかなかそうはいかない。
まず、インディーズ系の専門名画座が町に一つしかない。大手シネコンではまず流通しない。(東宝系はそうでもないようだ)
残念がっていると、知らない内に地方シネコンでこっそり見れたりする。
この映画もそんな感じ。
映画の日に、わざわざ1時間かけてポンコツ運転して40年代のナチ退治モノを見る幸せ。
わかるかな? わかんないだろうな♪~♪
観客はわずか5人、この寒さが丁度いい。
映画にナチスはいまでも頻繁に出てくる。
格好の適役。
ハンフリー・ボガードの「カサブランカ」マックイーンの「大脱走」などアクションから、スピルバーグの「インディー・ジョーンズ」「シンドラーのリスト」SM「ナイトポーター」ビスコンティも「地獄に堕ちた勇者ども」・・・
名作ばっかり。
40年代のナチスは映画のネタとして適役なんだろう。
迫害、異常、変態、恐怖、暴力、支配、理不尽・・・
ヨーロッパには迫害された実話がいっぱいあるだろうから、抵抗の歴史はそれ以上あるんだろうな。この映画もその一つらしい。
あらすじ)
第二次世界大戦中期、ナチスがヨーロッパのほぼ全土を制圧していた頃。
イギリス政府とチェコスロバキアの亡命政は、協力して極秘計画を練り、バラシュートを使って2人の軍人、ヨゼフ(キリアン・マーフィ)とヤン(ジェイミー・ドーナン)をチェコ領内に送り込んだ。
彼らのミッションは、ナチスNo.3と言われたラインハルト・ハイドリヒの暗殺。チェコの統治者で、ホロコースト計画を推し進めていたハイドリヒの暴走を止めるため、1942年5月、彼らはプラハでハイドリヒを襲撃するのだった・・・
暗殺映画の名作と言えば、仏大統領ドゴールの「ジャッカルの日」、アメリカ大統領のケネディの「ダラスの熱い日」などがある。暗殺映画の楽しさは、暗殺者側の作戦のプランニング、実行、修正など、ビジネスでもよくあるPDCAサイクルが廻ることがサスペンスを伴っているのがたまらない。
見つかったら捕まる。ナチスだったら拷問され、必ず殺される。
そのハラハラ感が映画的で劇場でこそ見たいジャンルだ。
この手の映画は、これまで見た名作の例から以下の要素が不可欠だと思っている。
1、プロジェクトの全容を具体的に見せる
2、魅力的な(殺したいほど憎い)敵
3、戦地での愛
4、小さな綻び(プロジェクトの成否に関わる)
今作は全体的にパンチがないな。
まず適役ハイドリヒの残忍さがもうひとつ伝わらない。
エピソードを入れないと感情が揺さぶられない。
”こんな奴、殺せよ”と。
これが弱いままに暗殺プロジェクトが走ってもいまひとつ共感できないのは自明だ。
戦地での愛がまた弱い。
失敗=死な訳だから、生の謳歌は死なせたくない裏返しであり、そこに愛を持ってくるのは当然だけどな。
小さな綻びは今回ない。ハイドリヒの帰国が早まったことはあるが、プロジェクトを見せてもらってないのでサスペンスが起きない。
ナチス相手の暗殺ものは映画の全ての要素が入った面白さの宝庫になるものを、実話通りなのかも知れないが、映画は映画の文法で解釈しないとね。
ほんと映画は脚本が7割。
ダメダメ脚本だけど、セットも俳優も凄くいいし、落ち着いたフィルムの様な色彩設計が戦争の色してる。
もったいないな。
60点
「ジャッカルの日」はこの4つに加えて、ドゴールを守る警察側の動きも加わる完璧な映画となった。 監督がフレッド・ジンネマンだから当然だよね。
70年代初めから乱歩・ホームズ・ルパンを卒業して内外の小説を読み始めたけど、フレデリック・フォーサイスの出世作にして最高作だと思う。
ジャーナリスト出身作家の独特の文体を初めて意識した。リアルで映像が浮かぶ。抜けがいい。
「オデッサファイル」も「悪魔の選択」もよかった。
「ユリノミクス」で笑いものに!小池百合子という名の野望★都知事を踏み台にして民進党をつぶし総理を目指す女と「希望の党」PR動画にぞっとする。近未来SF小説「1984」の党首とだぶるが、小池にはまって溺れていく死屍累々の人達が見える。
ここ数日、小池百合子一色でマスコミ報道が変だと思う。
「希望の党」の宣伝を一方的にさせられている。
例えば、結党の記者会見
平日のワイドショーの時間帯
小池の入場前に党のPR動画を流せばそこも中継せざるを得ない。
民放連の幹部と小池側が裏で握って(広告代理店が動いているな)いるんだろう。
中身のない、感情に訴える反知性に驚いた。
戦う、改革者のイメージだけ。
党首の、党首による、党首のための政党が誕生しつつある。
表舞台は小池と前原誠司で
おそらく死んだふりの小沢一郎がすべてシナリオを書いてるんだろう。
この選挙で、小池は都知事を辞め、衆議院議員に再びなる。
民進党は実質解党され、左の勢力の少数が残党として残る。
(社民と統一会派か合併でもするのだろう)
すると
与党は大きな自民と小さな公明
大きな希望、小さな維新、小さな共産党
さらに小さな、どこにも行き場所のない民進残党
希望が維新と組めば、自公と互角に対抗できる。
自民内の反安部(石破や野田)を刺激して首班指名で小池と書かせると
最短で2017年10月末に歴史上初めて女性の首相が誕生する。
小池はそこを狙っていないはずがない。
しかし小池政権は長くは続くまい。
「会議は踊る」で同じ党内から、側近も、官僚も総理の資質の無さで早い時期にカオス状態となり早晩退陣する。
その混乱時にアメリカの北朝鮮攻撃が始まったら・・
日本にミサイルが飛来したら・・
難民が海を越えて来たら・・
国にとって国民の命にかかわる安全保障より大切な政策はないこと
消費税の使い道うんねんが争点ではないこと
などマスコミは十二分にわかっているのに、小池政権誕生ファーストの前に
大義がどうとか意図的にはぐらかす。
革命家・小池も壊し屋・小沢一郎も一代横綱だからやがて引退する。
残るのは、選挙もなく、責任もとらない、説明責任も果たさない
顔の見えないマスコミの集合体が一番恐ろしい。
税金使い放題、やりたい放題の政治家に好き勝手なリアルドラマを許すな。
日本のエンタメ界はそこにメスを当てないとダメだめでしょう。
ガッキーダンスもいいけど
朝ドラの昭和回帰もいいけど
すぐ目の前に大きな危機があるのにね。
TVでも、映画でもこのリアルドラマを超えないと
子供が喜ぶバカドラマばっかしじゃないか。
ポスト安部は、民主的に選ばれたひとり独裁の小池と、それを支える、隠れマスコミの全体主義、批評を忘れたエンタメ界
あー嫌だ、嫌だ。
PS)その後は、見事に民意が離れた。だけどマスコミは決して反省しないので、いつか別の小池が現れたら必ず神輿を担ぐ。
PS) その後、立憲民主党などが立ち上がり政界はますますカオスになっていく。
金曜からまた映画・動画批評に戻ります。
ショート映画にドラマを学ぶ!「銀座ダイヤモンドシライシCM」(行定勲監督 大西礼芳、鮎川桃果)この輝きと生きていく幻想女とマリッジリングを買ってしまう男は多いな。
この秋、見たい映画が続いているのはいいことだけど
映画館に行く=仕事をしない
「世界の映像作家から仕事のヒントをもらってる」
などと写真学科の学生みたいに誤魔化していたが、権利収入のないフリーランスは基本、時給でなんぼ。
尻に火が付いてきたので少しセーブしてネットサーフィン(言い方が古いね)してたらなかなかいいものがあった。
CMは原則30秒か15秒だけど1分21秒のWEB限定バージョンながら主演者、起承転結、BGM、撮影のバランスが確かに映画仕様。
これは間違いなくドラマになってるな。
働く若い女性が彼氏からプロポーズされる
それだけだけど、隠れたメッセージがいくつか見えてくる。
今の若い男性がひざまづくのかは知らないが、ドラマは劇的でないとね。
「夜景の輝き」
「海の輝き」
「この輝きと生きていく」
誰しもがそう思って暮らしてはいるが・・・
日本の夫婦の3組に1組が離婚している。
別れないと、松居一代や斉藤由貴タイプだったら不幸だし
別れたら別れたで、泰葉タイプだったらいつ背中から刺されるか
男と女は難しい。
おまけ)
映画「三度目の殺人」是枝裕和監督 福山雅治、役所広司、広瀬すず 誰が犯人か?よりも随所に張り巡らされたミスリード、記号、メタファー探しを楽しむ。
今月は見たい作品が多くて、3K(黒沢、是枝、北野)の2本目
ミステリーは、とりわけ法廷物は少ない観客と見るべきだ。
九州のど田舎シネコン、平日の21時、私を含め5人
最高のコンディションで是枝映画と向きあう。
あらすじ)
重盛は勝利にこだわる弁護士。30年前に強盗殺人の前科を持つ殺人容疑のかかった三隅の弁護にあたる。
三隅は、自分を解雇した工場の社長を殺して金銭を盗んだ。容疑はほぼ確定しており、このままいけば有罪は確実と思われた。
やむを得ず仕事を受けた重盛は、三隅と話す内に本当にこの男が犯人なのか?
その理由は?わかなくなっていく・・・
キャスティングがいいな。
何を着てもかっこいい福山が今回はスーツしか見せない。
役所は囚われの身なので動けない分、広瀬すずが後半の主役として傷ついた少女を傷ついた風に演じる。
今旬な斉藤由貴が、子供に依存するウソつき母なのは笑った。
プライベートは関係ないとは思うが、バカ不倫男のパンツ頭かぶりの絵が強烈過ぎて
大人映画を支える女子の反発はフォーエバー。
もう斉藤をスクリーンで見ることは2度とないのだろう。
自らのウソで卒業させられた。
力抜いた感がいつもより自然な吉田鋼太郎
近寄ると切れられそうな検察官・市川実日子
味のある事務員おばちゃん・松岡依都美は初めて知った
新米弁護士・満島真之介は・・・なんかよくわからない
黒沢清映画もそうだけど、映像に映った何気ない1シーンは決して偶然ではなく必然である。
カナリア、十字架、電線、交差点・・・
デビッド・リンチの怪奇趣味程ではないがメタファー、寓意、暗意などを映像に散らかっていて
そこを楽しむべき映画となっている。
サスペンスだからと言って真実はどこか?
新犯人は? などと野暮なことを言う方がどうかしている。
中学生にもわかるようなハリウッドバカ映画の方がむしろ異常で
何でもスッキリすればいいというものではない。
福山の心象風景が数カットインサートされる。
そのイメージをどうとらえるか?
人によってはミスリードと?
そこも楽しむ。
場面転換に空撮を挟むが、ドローンの低級飛行で作家性を見る。
ワクワクするな。
ヨーロッパ映画では当たり前のことだけど
わかり易さをあえて省き、物語の結末で評価されることを拒む。
観客に真意を読み解く力を強いる。
これが21世紀映画の世界標準
是枝裕和2.0が見えた。
90点
次は「足立区のたけし、世界の北野」
映画「散歩する侵略者」(監督:黒沢清 長澤まさみ、松田龍平、長谷川博己)日常ホラーの帝王がSFでも半径50mの静かな侵略を成功させる。この不穏な空気を感じられる人は幸せだ。
「エイリアンコバなんとか」の出来の悪さが我慢出来ず
江戸のカタキは長崎で討つので、珍しく1日2本目となった。
いつものど田舎シネコンの、いつもの最上段右側辺りで
少ない観客と一緒に黒沢清の新作を見る幸せを
どう表現したらわかってもらえるかな。
毎朝の厚切トーストとスクランブルエッグ、ブレンド珈琲の
絶対安全な食品と、絶対安心なメニューが、絶対の朝を迎えさせてくれる
・・みたいな。
黒沢の場合は、「絶対の不穏」なんだけどね。
宇宙で恐怖を見せてくれた巨匠と
日常生活で恐怖を追求した職人との対決だ。
これは至福の時間に違いない。
世界のリドリーより、我らがキヨシ
あらすじ)
数日間の行方不明の後、不仲だった夫がまるで別人のようになって帰ってきた。
急に穏やかで優しくなった夫に戸惑う加瀬鳴海。
夫・真治は会社を辞め、毎日散歩に出かけていく。一体何をしているのか…?
その頃、町では一家惨殺事件が発生し、奇妙な現象が頻発する。
ジャーナリストの桜井は取材中、天野という謎の若者に出会い、
二人は事件の鍵を握る女子高校生・立花あきらの行方を探し始める。
やがて町は静かに不穏な世界へと姿を変え、事態は思わぬ方向へと動く。
「地球を侵略しに来た」真治から衝撃の告白を受ける鳴海。
当たり前の日常は、ある日突然終わりを告げる・・・
映画冒頭、コメディタッチの掴みが秀逸だ。
宇宙人1号になる恒松祐里はさっぱり知らないが存在感が抜群。
これは第2の有村か、高畑か?
確かな演技で堂々としていて素晴らしい。
主演3人を囲む市井の人達キャストがいい。
半分が侵略され、何かの概念を奪われる。
前田敦子の自然さ。
黒沢作品に出るときだけ輝くのは何故だろう?
東出は侵略されないが、教会の牧師で何か変。
宗教に既に侵略されている設定なのか?
とてもピュアな役をやらせるといい役者だな。
名優となったアンジャッシュ・小嶋の出番は覚えてないので
多分私が睡魔に侵略されていたのだろう。
日本のどこかの街で繰り広げられる日常生活に
宇宙人が現れ、概念を奪っていく。
政府に何かを要求するでもない。
宇宙船もない。
だから軍隊もなければ政治家もヒーローも、ヒロインもいない。
名もない市民(侵略者となった3人とそのガイドと被害者)がいるだけ。
しかし、静かに侵略は広がる。
故に、喫茶店で人類の生きるか死ぬかが静かに語られる。
"とんでもないことが、すぐそこで起きている"
他に類を見ない、面白さ。
昨年のベスト「シン・ゴジラ」が怪獣を描くと思わせて為政者と彼らの統治システムを見せる実験を行った。
このドラマは見えない侵略者を半径50mくらいの日常生活で描く実験を行った。
どちらも日本映画史に残る1本となる。
両方に主演した長谷川博己がスクリーンでどこへ向かうか楽しみだ。
つまらないTVドラマ出て欲しくないね。
役所広司のように映画のスクリーンで主役だけやって欲しい。
才能ある映画人とだけ仕事をすべきだ。
松田龍平は最初から宇宙人的な無重力感が前からあってハマり役
主婦・長澤まさみもいい。
音楽の林祐介スコアが抜群に映像と合っているし
この3人が暮らす田舎さが絶妙だ。
東京もNYもロンドンも出てこない、世界のどの街でも起こりうる不気味さ。
随所に吹く風の黒沢調なこと。
「不穏」・・・日本語にしかない微妙な空気が
世界の映画ファンを侵略する・・・なんと素敵なことか。
WOWOWではスピンオフドラマがまもなく黒沢演出でスタートする。
オリジナル脚本とか原作ありの脚色とか関係ない。
何が恐怖で、それをどう見せるか?
新たな領域に進んだ。
唯一無二の表現を求める志の高さ
芸術家とはこういう人のことを言う。
ホラーの枠をまた広げる黒沢清2.0を見た。
今年の日本映画のベストである。
100点
さらばリドリー、悲しきエイリアン