批評サムライ  ~映画・ドラマ・小説・エンタメ ★斬り捨て御免!~

責任が何でも曖昧なこの国で娯楽くらいは白黒ハッキリ!大作も小品もアダルトも興業収入も関係ない。超映画批評にない「上映途中の居眠り」が特技。シネマハスラー宇多丸氏、たまむすび町山智浩氏、シネマストリップ高橋ヨシキ氏を見習って公開初日最速レビューを心掛け評価は点数制。地方在住フォトグラファーがど田舎のシネコンでネタバレあり&あらすじ&見たまま感想ブログ

1年で一番自殺の多い9月1日問題。9月は「時任三郎」になろう。山田太一脚本の傑作ドラマ「ふぞろいの林檎たち」が今こそ輝く。”死ぬ気ならば、学校から、家族から、地域から逃げろ”と言いたい。【いじめ自殺防止のための共同宣言】

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今月、ドラマ史上最も尊敬し、作品を見てきた脚本家・山田太一氏が病気療養中の記事が出た。

『男たちの旅路』『岸辺のアルバム』『ふぞろいの林檎たち』──テレビ史に残る多くの名作ドラマを生み出してきた脚本家・山田太一氏。久しく新作が発表されていないが、この間、自身に大きな変化があったという。老年時代を題材とした作品も多い山田氏が、83歳になった今、自身の「老後」について初めて語った。”

詳細は・・・

「岸辺のアルバム」「ふぞろい」「男たちの旅路」・・・

70年代、まだネットがない、DVDも、ゲームも、スマホのない時代

娯楽の王様はテレビで、一人彼の作り出す問題提起が伝わった。

他の脚本とは違うのが子供の私でもわかった。

 

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数百人はいるであろう脚本家の中で、次から次へ志の高いドラマを量産するクリエイティブに子供心に脚本家になりたい、と密かに思った。

(30歳過ぎてシナリオセンターに通い、真似事を書いてみたりした)

その山田太一の新作がもしかして見られない・・・

 

youtubeで作品を探したら

「ふぞろいの林檎たち」パート1の1、2を見る。

面白い、役者が生き生きしてる。

登場人物のキャラ立ちが完璧だ。

このアンサンブルが楽しい。

 

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そして、第3話

就活中の時任三郎が警備員のバイト中のエピソードがある。

当時も強烈な印象だったことを思い出した。

 


ふぞろいの林檎たち第3話「生き生きしてますか」

 

この短いサリフで命のやりとり(死にたい VS 死なせない)シーンは

今まで見てきた全てのドラマの中で最高にしびれる。

 

部長「出ていきなさい」

時任「行きません」

 

部長「いきなさい」

時任「行きません」

 

当時の私なら声も掛けないし、すぐに立ち去るだろうな。

 

このエピソードから物語は意外な展開に膨らんでいく辺りが

並みのシナリオではない巧さに驚く。

 

具体的で、現実的で、本質的だなーと。

今見ても風俗は変わっても人間の悩みと行動は変わらない。

 

抽象的で、非現実的で、表層的な若者ドラマだらけの中で

今でも山田ドラマは他の追随を許さない訳だ。

 

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そういう第3話を見ていると今週9月1日を迎えることに気がつく。

 

この一か月くらい「時任三郎」になろうと思う。

周りの子供たちをよく観察しようと思う。

 

家族であろうと、親類であろうと、誰の子であろうとだ。

 

多少のトラブルはあるかも知れない。

変なおじさんが子供に声を掛けている・・・と。

スマホ時代は即写真撮られて、110番だ。

それでもいい。おせっかいは100も承知だ。

  

普段と違ってないか?

言葉が少なくないか?

異常に明るくないか?

体にあざや傷がないか?

サインを出しているんじゃないか?

 

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彼らを守るべき学校では

「いじめ」という名の校内暴力に

学校、教育委員会の原因解明にあたり

いじめはなかった、軽微だったとする隠蔽工作が

日本全国で続々明らかになっている。

 

教育委員会主導で第三者委員会を作っても

信憑性を担保しようとしてもそこでも先に結論ありき

の人選されたら核心に向かわない。

 

教育機関は、自らに傷がつくのを恐れているのだろうか?

2、3年したら人事異動だ。

原因不明で、何もなかったことにしたい。

いじめとなれば加害者児童とその家族への対応もある。 

 

子供は学校と家しか行く場所を知らない。

 

近くに小学校があり、その横が海岸なので9月1日は8時前後に松林を歩く。

始業時間までに学校に来たけれど

体が中に入れない、行きたくない子たちが

海岸にランドセル背負っているかも知れない。

発見されないようにポツンと座っている様な気がしてならない。

 

私もそうだった。

発見されにくい校舎の裏やトイレに隠れたことがあった。

 

そういう子がいれば以下の様なことを話すつもりだ。

 

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学校に行きたくなかったら、行かなくてもいい。

学校が君にとっての地獄なら、行かなくてもいい。

 

ただ、教えてほしい、何があったのか?何が起きたのか?

もし、今、話すことがつらかったら、話せるときまで私たちは待っている。

 

命はリセットできない。

想像してほしい。

君がいなくなってしまったら、君の大好きな人たちがどれだけ悲しむのか。

 

君につらい思いをさせた人たちは反省するのか?罪を償うのか?

 

逃げる場所は必ずある。

もしも、君が逃げるなら、この宣言に賛同したすべての団体とすべての人たちが、君の逃げ場を探す。

 

もしも、君が戦うのなら、この宣言に賛同したすべての団体とすべての人たちが、君を徹底的にサポートする。

 

私たちは、君が声をあげてくれないと、君を見つけ出すことができない。

だから教えてほしい。

 

私たちは、君の話を聴く。

君の元へ駆けつけて、直接助けることもできる。

 

だから、ちょっとだけ勇気を出して連絡してほしい。

一人では大変なら、私たちに連絡してくれればいい。

必ず、その勇気に報いるサポートをする。

 

いじめ自殺防止のための共同宣言)より

 

【電話相談・メール】

ijime-sos.com

 

【電話相談】

チャイルドライン(18歳未満、日曜を除く16〜21時)TEL:0120-99-7777

 

24時間子供SOSダイヤル TEL:0570-0-78310

 

よりそいホットライン(24時間)TEL:0120-279-338

 

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「ふぞろい」はパート4で止まっている。

石原真理子問題が解決しない限りパート5はない。

 

彼女のブログを見ると・・

宇宙と会話しているのか?

精神世界の樹海で、出口を見失った旅人か?

いや出る気もない、自分探しの一人宗教の教祖かな

 

これでは解決する訳がないので・・・もう見られないんだろう残念。

 

 

シリーズを通して

普通に生きてる20代の若者が

思い通りいかない、上手くいかない人生に

何とか折り合いつけながら、恋をして

家庭を持って、仕事に疲れ、夢敗れ、生き方を模索する

 

「生きてりゃいいんだ、生きてるだけで、仲間がいれば」

 

だからこそ10代で死なれちゃたまらない。

自分の子とか関係ない。

 

 

おせっかいおじさん、おばさんになろう。

子供たちの仲間として

 

ふぞろいの林檎たち DVD-BOX

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次回は 映画「エル ELLE」を予定

映画「ワンダーウーマン」公開初日レビュー (パティ・ジェンキンス監督、ガル・ガドット)DCコミック実写映画の典型で、女性戦士へ共感が出来ない、アクション偏重の残念作。

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なんか最近のシネコンはハリウッドの漫画実写化のオンパレードで

くも男、スーパー男、こうもり男

緑っぽい変身する男、機械のスーツを着たり・・・

全くその手の嗜好がないので何がなんだかさっぱりわからない。

 

映画が楽しければいいのだが

どの映画も頭の5分、10分でもう帰りたくなる。

 

映画というより、TVマーケティング(番組タイアップやCM)によって

釣られた魚?、金払ってイベント動員されたバカな客か?

悲しくなる。

 

その時楽しければ、カッコ良ければいい客が世界中に数億人いて

関連グッズがまたバカ売れ、シリーズ化してさらにガッポリ

話題が尽きたら、違うキャラと組み合わせる・・・

 

「失楽園」で言う「強欲」とかこのことか。

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昨年「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」というのが

公開されたようで(見ていない)そこで「ワンダーウーマン」が突如現れる。

 

確か70年代の海外ドラマをリアルで見たな。

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この時から私はアメコミの派手さが気に食わない。

つげよしはる、蛭子などガロ派であり

ゴルゴが青春だったので日本の漫画、劇画のクオリティが世界最高と勝手に

思ってるのでこの余りにC調な勧善懲悪が耐えられない。

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青少年男子にはこの体とコスチュームをテレビで放映するのは

今思えば犯罪だよね。

 

さてそんなDCコミック嫌いなおじさんが見た映画「ワンダーウーマン」

を見た訳は、映画「モンスター」を演出したパティ・ジェンキンスが監督となれば

何かメッセージがあるはず。

女性の、女性による、女性のための映画とか・・・

並みのハリウッド大作とは違うだろうと。

 

初日は、いつものど田舎シネコン金曜15時、2割入りで始まった。

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あらすじ)

女性だけが住む島で育ったアマゾン族の王女ダイアナは、幼い頃から戦士になることを夢見ていた。成長したダイアナは海岸で墜落事故を起こしたスティーブ・トレバーを救出する。

真実の投げ縄を使ってドクターポイズンマスタードガスの新兵器を開発していることを聞き出し、「外の世界」の悲惨さにショックを受ける。戦いの神アレスの関与を確信したダイアナは、トレバーとともに「外の世界」へと戦争の早期終結のためロンドンへ向かう。

 スティーブが集めた仲間の力を借りつつ、戦場の最前線や要人の祝賀会へ赴きアレスを探すが・・

冒頭の島のシーンのアマゾン族は美女しか出てこない。

その中で少女ダイアナが戦士に変身していく。

日本女性だと応援したいけど

白人女性がこれやるとなんか恐ろしいな。

緑の色味がやりすぎの様でもあるけど、現実離れの世界観を与えてくれる。

 

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ロンドンシーンは一転してHDR(ハイダイナミックレンジ)のオンパレードで見る価値があるが、やがて慣れてくる。

アクションシーンはSFX技術の最先端なんだろうけど

だから何? と。

どのアクションシーンも長過ぎる。

「インディージョーンズ」の第一作を見よ。

アクションが魅力なのは、非アクションが楽しい時だけ。

庶民生活に初めて触れるという点で「ローマの休日」があるが、このアマゾネス美女をアン王女と考えれば、非アクションはもっとワンダーな映像になったはず。

ここで共感が出来ないので、アクションだけが浮いてしまいバランスが欠いている。

 

パティ・ジェンキンスらしさはどこにも見られず、ただのDCコミック映画監督になってしまい、今回もただのバカな客になったしまった。
訴えたかったことは何なのか?

女性の解放をアクションで見せただけではヒットはしても心を撃たない。

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「マミー」ではすぐ帰りたくなったが、ガル・ガドットは魅力で見留まった。 

少女と大人の真ん中で、正義感の塊りで、恋する乙女で、ドイツ兵をこれだけ殺す女性を初めて見た。

ただの美女、セクシーとは違う彼女の人間性が時々見える。

シリアスなドラマでは見たいな。

 

20点

傑作映画シリーズ100本|No 003 「エクソシスト」ウィリアム・フリードキン監督 リンダ・ブレアー、マックス・フォン・シドー、エレン・バースティン 音楽:マイクオールドフィールド 44年前の体験は余りに強烈でいつ見てもその完成度に驚くばかり!

日本公開は1973年7月13日

もちろんインターネットはなく、映画の情報は専門誌の「キネマ旬報」「ロードショー」「スクリーン」などで、映画評論家が先に見てきた感想をメディア経由で知るしかない。

中学生ともなれば、友達と映画館行くのが大人への第1歩

アメリカ発の大ヒットホラー映画で、悪魔つきとくれば10代が食い付かない理由は何もない。

 

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このビジュアルが新聞の夕刊に載った時のカッコ良さ

後半、エクソシスト(悪魔払い)が、少女が住む屋敷にタクシーから降り立った直後

のシーンだ。(光の元が少女のいる部屋)

これからどんな恐ろしいことが起こるのか

悪魔VS人間の真剣勝負が見られる予感がMAXに。


Mike Oldfield - Tubular Bells ✔ (The Exorcist Soundtrack) HD

ラジオではイギリスの前衛作曲家マイク・オールドフィールズの「チューブラベルズ」の1曲がテーマ曲と鳴って、未だ見ぬ映像の恐ろしさを掛け算される。
ミニマムミュージックの繰り返し、反復にもう頭の中は授業中もこのメロディーが鳴っていた。

 

エクソシスト - チューブラー・ベルズ(『エクソシスト』より)

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全国の映画小僧の心は完全に鷲掴みされて公開を待つばかりだ。

仕込みは100点

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あらすじ)

 

イラク北部。

古代遺跡で発掘するアメリカの古生物学者でありカトリックの神学者のメリン神父がいた。そこで古代からの悪霊・パズズの偶像を発見する。
10年ほど前にもアフリカで闘ったことがあり神父は、パズズの復活が近く、再び闘わねばならないことを悟る。

アメリカ、首都ワシントン
人気女優クリス・マクリールは、映画出演のため、娘を連れて高級住宅地ジョージタウンの一軒家を借りて住んでいた。
夫とは離婚し女手ひとつで娘リーガンを育てている。込みのお手伝いカール&ウィリー夫妻や、子守をする若い女性・シャロンも家にはいた。
ある夜、クリスは物音を聞きつける、天井から何か聞こえる・・・・

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見終わって、言葉がなかった。

余りに怖すぎて・・・

悪魔に変わっていくリンダ・ブレアの顔が脳裏に焼き付いていた。

それから多くの恐怖映画がアメリカからイタリアから一気に日本に上陸した。

恐ろしさが足らないのだ。

取って付けた怖がらしではもう満足できない。

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今では動画配信でタブレットで1日何回でも見れる時代だ。

細部を細かく見ていくと一流の映画人が最高の仕事をしているのがわかる。

「ゴッドファーザー」のマーロン・ブランドのマフィア顔を仕上げて特殊メイクNO1のリック・ベイカーの仕事術の素晴らしさ、悪魔の不気味な声や様々なBGM音響のクオリティの高さ、どこを取ってもスチール写真でいうルックが決まっている。

画面に無駄なものが見当たらない。

まさに「神は細部に宿る」

 

脚本と俳優陣は本当に素晴らしい。

悪魔と戦う神父を中東イランで先に紹介し、来たるべく対決の予感を感じさせる。

 

マックス・フォン・シドーの、現代の苦悩を一心に背負った様な表情がセリフ以上に雄弁だ。名優は息の吸う吐くで何かを物語る。

 

70年代最高の女優エレン・バーステイン

誰からも慕われる女優、愛情溢れる母、戦いにひるまない強さを見せつける。

 

母との心の距離感に悩むカラス神父のジェイソン・ミラー、少女を救い出そうとまさに命をかける。

 

少女を救おうとする、この3人3様の心模様と行動が名優たちの抑制ある姿勢から見えてくる。

 

そして余りに強烈な世界デビューを果たしたが故に、この呪縛から一生逃れられないリンダ・ブレアーの少女らしさと、それ故の悲しみ。

 

監督のフリードキンは、前作「フレンチ・コネクション」で大都会の事件捜査のリアリズムを見せつけた。地下鉄、モノレール、麻薬捜査、車解体・・・生の刑事の執念が見えた。

 

この映画ではいくつもの対立、皮肉、メタファーが豊富に織り込まれている。

文明発祥の地メソポタミアの砂漠から、科学技術最先端のアメリカの首都が主戦場になる。

何不自由ない富裕層の人気女優の娘に取りつく悪魔

カトリック教会内で葛藤する神父

 

西洋医学で解決できない果てに母は教会に救いを求める

3つの点が交わって、悪魔との対決へと向かう

ここからは映画史にないインナートリップを同時体験することになる

 

観客は少女を救いたい。

2人の神父に救い出して欲しい。

もうこの3人に共感するしかないのだ。

 

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この後、「エクソシスト」は2、3と続編が作られ

「オーメン」「シャイニング」などホラーは山の様に現れるが

登場人物への共感が薄い脚本と演出では、感動はない。

 

恐怖はただ恐ろしいだけでいいのだろうが

恐怖映画は登場人物への共感が必須なのだ。

 

「この恐怖を超えた映画はいまだ存在しない」

このキャッチコピーは本当に正しい。

 

 

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映画「彼女の人生は間違いじゃない」R15(瀧内公美、光石研、高良健吾、柄本時生、篠原篤、蓮佛美沙子 監督:廣木隆一)今こそこういう日本映画が本当に必要なんだと思う。

ふと今日は映画の日だと気が付き、名画座を調べると九州では本日公開の不思議なタイトルの映画が丁度いい時間で始まる。

 

しかし、気に食わない。 

彼女の人生は間違いじゃない・・・主語+動詞+目的語

 

先入観を一切抱かせるな!

言いたいことは映画本編で言え、と。

どう感じるか、客の心にタイトルとはいえ入ってくるなと。

 

そんな事を思いながら、しかし中身の情報は全くなく平日に夕方約15人でスクリーンと対峙する。

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あらすじ)

東日本大震災から5年後の福島県いわき市。みゆき(瀧内公美)は、父の修(光石研)と仮設住宅に二人で暮らし、市役所に勤めてる。週末になると彼女は「東京の英会話教室に通っている」と嘘をつき、デリヘルバイトのために高速バスに乗って渋谷に向かう・・

 

近年まれに見る日本映画の収穫だった。

 

被災地の声と声にならない苛立ち

それを支える役者というリアリズム演技の多様性

高速バスを巧みに使ったモードチェンジ

 

被災者もそうで無い人も

みんな生きていかないといけない。

額に汗してる人生スケッチが、翻って自分はどうなんだろう?

と、ここまで迫ってくる。

 

主人公は声高に主張はしない。

セリフで言ってしまうとそれだけの共感で終わってしまう。

映像で見せつける。

  

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主人公役の瀧内公美は全く知らない。

どんな人なのか、過去作も多分見たことが無い。

しかしスクリーンで素晴らしい存在感。

 

あの日無理やり母と家を奪われた、被災地で地方公務員として仮説に住む20代女性の叫びが聞こえる。

ヌードがこんなに美しい女性を久しぶりに見た。

 

若手女優が脱ぐと「一皮剥けた」などと

つまらない評価法がいつもある。

 

R15で映倫はほんとにいいのか?という程のアダルトの色彩が強いが

この性=生が描かれると深い相克が見えてくる。

 

彼女なりにこれで唯一心のバランスを獲る術なのだろう、と。

  

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 そして父役は学校が同じだった光石研

最近の映画で父と言えば半分は光石が演じている感がある。

あの日以来、流され、半分死んでる世捨て人の小さな再生を見せてくれる。

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柄本時生の口を開けたままの情けない表情はなかなか見れるものではない。

自身が被災者である地方公務員の矜持がありつつ、仕事へのいたたまれなさ、自分の不甲斐無さ、いろんなマイナス感情の塊りのキャラクターを深刻にならずに、飄々と演じ切る。

他に並ぶ者がいない、彼の独壇場だな。

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 都会から来たカメラマンの蓮佛美沙子

重いシーンの中で唯一のマドンナで海で解放感を醸し出す。

彼女をスクリーンで初めて見るが、力が全く入ってない。

 

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サスペンスも、ホラーもない

恋もなければ、死もない

物語はあるようでない。

 

3・11の大きな死をみんな知っている前提で、残された者が

その場所で(被災地でも、東京でも、どこでも)考え、悩み、苦しみ

その時なりの答えを模索する。

 

観客はその模索を同時体験するだけ。

福島第一原発が陰の主役だ。

 

(税金投入は別にして)直接の被害なく電力を使う側として

この問題をどうするのか?突きつけられる。

 

タイトルの話に戻るとやはり蛇足だ。

作者の思いは本編で伝えればいい。

 

余計なことをするべきで無い。

その分のマイナスで

 

95点

 

今年見た(7月末時点)邦画、ドラマのベスト1

彼女の人生は間違いじゃない (河出文庫)

彼女の人生は間違いじゃない (河出文庫)

 

 

 

公開初日最速レビュー!映画「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」(トム・クルーズ、アナベル・ウォーリス、ソフィア・ブテラ)ド田舎シネコンをほぼ満席にするも、B級にさえなれない限りなく意味の無い大失敗作。

九州は暑い。
こういう日はアクションに限る。
評価できない作品があるものの、そこはトム・クルーズ

 

f:id:kudasai:20170728185427j:plain毎年、出演作が途切れない人気はスターの所以。

この寂れたシネコンではシニア層も多くほぼ満席。

名前のせいか、CM量かは知らないが流石!

 

飛行機は墜ちるは、変な格好のミイラ女王はいるし

共演の金髪女優が美人でセクシーだし

エジプトだし、考古学の発掘ものだし

毎月のように来日するトムは

本当は世田谷辺りに住んでのでは?と親日家アピールを

決して忘れないサービス精神が好感だし

お、これは21世紀の「インディー・ジョーンズ」再来か?

と、正直期待値は高い。

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あらすじ)

中東で、古代エジプトの文字が刻まれた石棺が発見される。その発掘に居合わせたアメリカ軍関係者のニック(トム・クルーズ)は、考古学者のジェニー(アナベル・ウォーリス)らと共に調査のために石棺をイギリスに運ぶ飛行機に乗り込む。だが、フライト中に思いも寄らぬアクシデントが起きて、ニックをはじめとする軍関係者を乗せたまま輸送機はロンドン郊外に墜落し、石棺の所在もわからなくなってしまう。

 

最大の失敗は脚本の構成。

掴みは、トム主演の大作にしては実に下手くそ。

先に古代エジプトの説明を無理やりしてしまうので実にわかりにくい。

「インディ」の第1作が格好のお手本なのに、見てないんだろうか?

 

登場人物のキャラクター、所属する組織でのポジション、対立する者、謎とゴール

これらが最初の20〜30分で子供でもわからないといけない。

 

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要約すると話はシンプル

エジプトの女王になれない女が悪魔と手を結び

父と弟を殺し、生きたままミイラになった。

トムがミイラを見つけて(故に女王に選ばれる)生き返った女王はゾンビどもと街を破壊。よくわからない謎の組織とパートナーで退治する。

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天才スピルバーグならばもっと楽しい、わかりやすい娯楽作にしたであろうが

女王はエクソシストの出来損ないの様な格好でワーワーわめいて暴れるだけのB級にもなれないクズアクション映画になり下がった。

 

細切れの特殊映像をただ並べただけでトムと女王が右往左往。

後半1時間で帰ろうと何度も思った。

このバカバカしさ。

 

映画館は満員で楽しんでる人がいるだろうから

退出で少しでも気分は壊したくないので我慢した。

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どうしたらこういうバカ映画ができるのか?

緩急のない、美男美女がいるのにロマンスもない

物語の順番が間違った、キャラクターを描かない

これではトムに共感できる訳がないだろうが。

 

ゴールが何なのかさえわからない。

女王は何をしたいのか?

改造人間になったトムは何をしたいのか?

組織は何が目的なのか?

  

こんな超出来損ないを2017年、ハリウッドが何故制作するのか?

脚本の時点で失敗100%はわかりそうなものなのだが。

シナリオドクター100人が100人ダメ出しするくらいの対立がない。

時間制限のサスペンスもない。
人類を救う大義もない。

 

これが「トム・クルーズ主演」のデメリットだろう。

来年辺り、またしらっと 別映画で主演して

笑顔で来日してくる辺りの根性は好きだけど。

 

0点

 

本当に金返してください。

時間返して欲しいよ。

 

映画「ライフ」のB級SFの快作!レベッカ・ファーガソン、ジェイク・ギレンホール、真田広之 監督:ダニエル・エスピノーサ リドリー・スコットの名作「エイリアン」スピンオフと思いきや、飛行士の使命感と人間性に焦点をあてた大ドンデン返しがお見事。

真夏日が続く暑い夜はホラーに限る。
いつものど田舎シネコンに向かうと、夏休み前の3連休の初日

おそらくジブリ出身監督のアニメ目当てであろう

チビッ子とファミリーでごった返す中一人ホラースクリーンに向かう快感。

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あらすじ)

火星探査機を回収する任務を受けた国際宇宙ステーション(ISS)チームは6人。

探査機が持ち帰ったカプセルには火星から採取した土壌サンプルの中に未知の細胞があることを発見する。

生物学者のヒュー博士は細胞を冬眠から復活させることに成功

人類初の「地球外生命体」を発見に世界が興奮し「カルバン」と名付けられた。

 ある日、実験室から気体が漏れる事故が発生、急激な空気成分の変化で再び冬眠に入ってしまう。

汚名を挽回しようとヒューは電気ショックを加えた瞬間「カルバン」は凶暴化、ヒューに襲い掛かる・・・

 

船長のレベッカ・ファーガソンはトム・クルーズの「何とかポッシブル」に出ているようだが主演作は初めて見る。

知的な雰囲気とリーダーシップ発揮できそうな力強い発言力でチームの信頼を集める。

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遂に不倫記者会見をした渡辺謙と並んで

「ラストサムライ」の一人、本物の侍の趣きの真田が実に人間味ある

寡黙で知性的、落ち着いたエンジニアを演じている。

これが日本人として嬉しい。

さすがアクションスターのDNAで誰よりも船内を素早く移動する。

ワイヤーワークで皆んなに教えたらしい。

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そしてハリウッドに生きる曲者NO1のジェイク・ギレンホール

初めて見たデヴィッド・フィンチャーの一級サスペンス映画「ゾデアック」のマンガ家、映画「プリズナーズ」の変わった刑事・・・など何かに取り憑かれた様な市井の市民を演じさせたら右に出る者が無い。

 

地球に絶望するひねくれ者の宇宙飛行士役は、何かやらかす匂いがプンプンする。

これらキャスティングが抜群。

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冒頭の探査機を回収シーンからサスペンスの盛り上げがうまいな。

宇宙船SF映画の最近のリアル感は凄いね。

(この為に、エンドタイトルで数百人のCG関係の名簿を長々と見せられるけれど)

 

信頼しきった6人に、最初は歓迎されていた生物が一人、また一人と人間を襲い食べていく。

どうして知性を持って宇宙船内を高速で動けるのか?
どうして宇宙空間で生きていけるのか?

疑問を持つ時間を与えないくらいのジェットコースターホラーでラストシーンの「猿の惑星」級のエンドに持っていく。

これこれ。
このSFホラーB級大作が真夏の夜にぴったりだよ。

ありがとう。


小難しいリドリー・スコットの「プロメテウス」とかより、よっぽど潔くスッキリして、「映画は見世物」という50年代SF映画創世記に戻ったような楽しさに包まれる。

 

ジェイク・ギレンホールが全部持っていく。

この夏最高の1本だ。

 

90点

 

 

松居一代SNS劇場★脚本家大宮エリーや宮根誠司ら巻き込む。船越英一郎の個人情報と不倫暴露。YouTubeに続きTwitterで攻撃開始!精神疾患の妄想か?ブログのデスノートとは?息子は無事か?レベル石原真理子に近ずくか?

 

続々アップされる動画で、第三者の名前を(おそらく勝手に)出して巻き込んでいく手法は酷いな。


SNSを駆使した松居一代劇場が始まっている。
ワイドショーが取り上げるので必然的に一方的な愛憎劇を見せられる。
しかも無料ときたもんだ。

 

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主演、脚本、撮影、監督=松居一代

 

彼女のSNSを整理する。

 

旧ブログ(2016年で終了するも公開中)

 

[ 主婦 ] 松居 一代 ブログ -船越家の毎日-

 

アメブロのブログ(ここが主戦場と思われる)

 

ameblo.jp

 

ブログを見る限り神様は現れても、宇宙との会話は無いので

80年代美少女界に現れた石原真理子程は壊れてはいないようだ。

 

今日(7月4日)からスタートしたYouTube動画

離婚調停中らしいのでこの動画が裁判所の心象と

今後の彼女の芸能界でのポジションにとても不利に働くと思うが

 

この異常で、異様で、異次元の松居の一人芝居は一見に値する。

 

 

第1弾 週刊文春


松居一代、週刊文春にだまされた

 

7月4日 公式ツイッターを開設

松居一代 (@kazuyo_official) on Twitter

 

夫の船越英一郎は2時間ドラマの帝王と言われ
NHK初の芸能ネタなしのワイドショーMCを月曜から金曜まで務める。

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www4.nhk.or.jp

 

 

おそらく午後2時は民放で松居

NHKで船越の夫婦独占間違いなし。

 

松居さんが何者かは書籍を見て初めて知った。

 開運屋? お掃除の人? 凄腕のディーラー?

松居一代の開運生活

松居一代の開運生活

 

彼女は私が好きだった映画に出ていたことが判明。

山崎努の愛人として身体を売る役


マルサの女 ー 伊丹 十三

 

伊丹十三五社英雄も松居の戦闘能力を見抜いていたのか? 

 

無料のSNS使って夫婦間の一方通行の情報拡散も

国民には何の関係も無いことだけど

 

問題はこれが

ドキュメンタリーなのか? 妄想なのか?さっぱりわからない。

 

わからないが、この人が確信犯であろうことはわかる。

決めたことはやる。
普通の人がやらないことでも自分の信念でやる。
法は関係ない、と。

 

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アメリカ映画「危険な情事」のグレン・クローズの匂いがする。

誰かを傷つけないことには決して収まらない

 

繰り返し繰り返し放送されると見ている心情も変わってくる人が出てくる。

変な人がそうでなくなったり、過激な人が当たり前に思えたり。

 

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現在でもニコ生のライブ放送している人たちが

主に10代20代でごく少数いるにはいるが

今後、常識ある30〜60代くらいで

SNS使って夫婦間、親子間、パートナー間のトラブルを

どんどん発信する風潮が現れるだろう。

 

エッジの効いた人は批判されやすいが

有名人がこれやると一部には支持しカリスマ、教祖になりうるので怖い。

主張は賛成しないが、手法は頂くと。

 

松居はこの騒動を利用して何かを狙っていると考えた方が自然だ。

 

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そうでない(別の目的がない)としたら

例え法的に決着しても

誰にでもある鬱期に入って突然怒りがフラッシュバック

 

許せなくなって・・

元夫か、子供か、文春関係者か、全く関係の無い第三者か・・・自分自身か

動画の瞳の奥はそういう黒だった。

 
先の読めないドラマは数ある中で(ドラマなら殺人も爆死もありだが)
元家族の着地点が2時間ドラマの悲劇にならないことを祈るばかりだ。